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『「「ご馳走さまでした」」』
両手を合わせみんなで口を揃えた
【たまには頼って甘えて】
お腹いっぱい・・・幸せだなぁ
スッと影山くんがお皿をかき集め、キッチンに持って行く
私もそれを手伝いながら
『影山くん、私するよ片付け』
と言ってシンクの中に手を伸ばした
けどその前にぬっ、と腕が出てきて
「名前はメシ作っただろ、片付けはオレがやる」
そう言って袖をまくる
『いいよ、今日はそんなに疲れてないし』
ほら、と腕をぐっと曲げて、元気アピールしたんだけど
影山くんは私のおデコに人差し指を当てて
「顔が疲れてんだろ」
トンっと押してきた
「今日はオレの番、ゆっくりしてろ」
それだけ言って片付けを始める
そんなこと言って、いつもやってくれるんだから・・・
おデコを触りながら、しぶしぶキッチンから出て、ソファの側に行くと
「やっと諦めた」
ソファに寝そべっていた月島くんが、私を見て起き上がり、三角座りをしてポンポンと隣を叩く
「いい加減わかりなよ、言っても無駄なの」
ぽすん、と隣りに座った私に呆れたように笑う
『だって・・・申し訳ないじゃん』
「そう思う事が既に無駄だよね」
月島くんの言葉に、ムー・・・といつも影山くんがする様に唇を尖らせた
『ふたりに甘えてばかりだと、悪いと思っただけなんだけどなぁ・・・』
いつも優しくて
いつも気遣ってくれて
いつも甘やかしてくれる
だから私も、ふたりに同じことしてあげたい・・・
「・・・名前はさ、いつも自分が甘えてるから、それに罪悪感を感じてるの?」
『んー・・・罪悪感って言うか、少しは私を頼ってくれてもいいのに、っとは思ってる』
ふーん、といつもの様に漏らしながら月島くんは口を開いた
「じゃあ今日は、僕が甘えさせてもらおうかな」
『えっ』
と私が反応するより先に、月島くんはポフっと膝に頭を乗せてきた
『ーーわひっ!』
突然過ぎて変な声が出た
「なに今の、鳴き声?」
私を見上げながら、余裕の笑みでいつもの様にからかってくる
『い、いきなりだったからビックリして声が出たの!』
「それはそれは、申し訳ありませんね」
ちっとも申し訳なさそうじゃない月島くんに、ふて腐れた様にため息をついた
でもその後ジッと下からコッチを見てくる視線に気づいて
『あ、あの・・・なんですか?』
まじまじと顔を見られ、少し身じろいだ
「下から見ると、こんな風に名前を見れるんだね」
真面目な顔でそんなこと言って、思わず口をグッとつぐんだ
そんな私を他所に、月島くんは珍しいとモノでも見るかの様に嬉々とした瞳で、少し顎を上げ更に顔を見ようとしてくる
「いつもと違う角度から見ると、なんか不思議な感じがする」
『そ、それは月島くんにはいつも見下ろされてるからね』
ホント、そんな事言ったらコッチもだよ・・・
いつも高い所から見下ろされてて
遠い所にある月島くんの綺麗な顔が
すぐ近く、それもこんな上目遣いで見られて
スゴく恥ずかしくて、顔を隠したいけど
そんなこと月島くんは絶対、見逃さないだろうし
ふいっ、と顔を背け、ささやかな抵抗を示した
でもそんな私に
「ねぇ、甘やかしてくれるんだったら、頭ぐらい撫でてくれてもいいんじゃない?」
と下から不満そうな声が聞こえる
な、撫でる・・・?
頭を?
「・・・待ってるんだケド、早くして」
な、なんでそんな、しかめっ面で催促されないといけないんだろう
『わ、わかりましたよ、月島様っ』
ぶっきらぼうに、ワザと“様“付けで呼んで、恐る恐るそっと手を置いてみた
ーーぉ、おおっ・・!なんて柔らかいっ・・!
フワッフワの髪の毛はとても手触りが良く、短髪のその髪が指に絡む
なんか、動物を撫でてるみたいに癒されるなぁ・・
無意識にわしゃわしゃとその感触を味わっていると
「・・・ねぇ、それって撫でてるんじゃなくて、髪イジってるだけだよね。・・犬みたいに」
『へっ?・・あ、そんなことないよ〜』
危ない危ない・・・
思わず夢中で触ってしまった
ジトっと私を見る月島くんに、苦笑いをしながら再度頭に手をやった
今度はちゃんと優しく撫でて・・・
や、やっぱり月島くんの髪、キモチ良い
「・・・さっきの」
『え、』
「”月島様“って呼んだの、イイね」
何故か下からなのに、いつもと変わらない上から目線でその悪そうな笑みを浮かべ、私を見る月島くん
『そ、そう?』
何がいいんだろう・・・コッチはちょっとヤケクソみたいに言ったのに
「でもさ、呼ぶなら月島様じゃなくて、名前で呼んで欲しいよね」
どうせなら、
そう言って、スッと手を延ばす
「知ってるデショ?僕の名前」
うん・・・、と戸惑う様に頷いた私の頬を月島くんの指が撫でた
「呼んでよ・・・名前」
甘えた様に呼ぶその声と
頬を撫でていた指が唇に移って、愛おしそうになぞる行為に
首の後ろ辺りが、ぞくりっ、として
思わず撫でていない方の手に力が入り、月島くんのシャツを握りしめていた
少し目を細め待っている月島くんは、その私の手に自分のを重ね、そっと持ち上げる
「・・・早く呼んでくれないと、キス、するよ」
『きっ・・・!』
色気を放つその瞳に吸い込まれそう
私は乾いた唇を少し舐めて、視線を泳がせたまま口を開いた
『けっ・・蛍、くん』
「ちゃんとコッチ見て」
すかさず月島くんの手がまた伸びて来て
自分の意思とは関係なく顔をクイッと戻され、彼と視線が合う
『あっ・・・』
真剣な顔をした月島くんに
顔が一気に熱くなった
そんなに見つめられたら・・・恥ずかしくてっ・・
呼べないよ・・・
でもきっと彼は許してくれないだろう
私が彼の名前を呼ぶまで・・
月島くんの瞳を見返したまま、息を吸い込む
『・・・蛍、くん』
たぶん、聴こえるか聴こえないかぐらいの声だったと思う
それでも月島くんは私の精一杯の声に、嬉しそうに微笑んだ
その笑顔に
胸の奥がキュッとして、暖かい
「それじゃあ、ご褒美のキス」
そう言ったと思ったら、今度は少しイタズラな顔をして、握っていた私の手を自分の唇に持って行き
口づけた
その一瞬がスローモーションの様に流れて
手の甲に暖かい感触が触れる
突然のことに、頭がフリーズした
次の瞬間
ガッ!と乱暴に私の手は、横から乱入して来た手に引っ張られ
そのまま、タオルでその場所をゴシゴシと力いっぱい拭かれた
月島くんに口付けられた時から呆然としていた私は、その拭かれている自分の手を見る事しか出来ない
・・・て言うか、ちょっとイタイ
「・・・コレでよしっ!」
その声にやっと、顔を上げた
『か、影山くんっ』
いつの間にっ・・・
タオルと私の手を掴んだまま、満足気な顔をして私を見た
「月島の菌が入ったら汚ねぇからな」
「ちょっと!人のことバイキン扱いしないでくれるっ?」
堪らず月島くんが身体を起こし、影山くんを睨んだ
フンッと影山くんはそれを一瞥し、今度は私を見る
「オレは・・・影山飛雄」
『えっ』
「影山飛雄」
自分で頷きながら、名乗る影山くん
『う、うん。知ってる』
「・・飛雄」
段々と小声になりながらジッと私を見て、自分の名前を真剣に言う影山くんに、どうしたら良いのか
戸惑ったまま、ぎこちなく首を傾げた
「・・・王様、もしかして名前呼んでもらいたいの?」
月島くんの言葉にえっ、と声が漏れる
もう一度、影山くんの顔を見ると、口をへの字に曲げて、少し顔が赤い
月島くんの名前呼んでたから、影山くんも呼んで欲しかったの・・・?
そ、それで、さっきから自分の名前連呼してたの?
「・・・悪ぃかよ」
不貞腐れたように言う彼に
なんだか愛おしさと、可笑しさが同時にこみ上げてきて
「バカなの?それで自分の名前、連呼するとか、普通に伝わらないデショ」
「るっせぇーな!呼んでくれなんて、恥ずかしくて言えるかよっ!」
目の前で繰り広げられる言い争いに
「・・・プフっ」
耐え切れなくなった私は、堰を切ったように
笑い出してしまった
ふたりとも目を丸くさせて私を見ている
だって・・・だって・・・
ふたりとも
なんでこんなにカワイイの
お腹を抱えて笑っている私の横から、ふたりのやり取りが聞こえてくる
「ほら、キミの所為で名前が可笑しくなっちゃったじゃん」
「は?オレじゃなくて、お前に笑ってんだろっ」
「無自覚って怖いね」
「うるせー!月島ボゲェっ!」
ひとしきり笑った私は、涙を拭って顔を上げた
『ゴメンね、突然笑っちゃって』
どっちも面白くなさそうに、私の顔を見ている
そりゃそうだよね、突然笑いだすんだもん
ふぅ、と呼吸を整えて、ふたりを見る
『ありがとう・・・蛍くん、飛雄くん』
今度は少し真面目な顔で真剣に
それぞれの顔を見て、視線を合わせて
ふたりの名前を呼んだ
どちらも少し照れくさそうな顔をして
そう言うトコもカワイイんだよねぇ
結局、私の方が癒されちゃった・・・
ホント、不甲斐ない私だけど
これからもよろしくね
蛍くん
飛雄くん