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高校最後の春
桜が舞う卒業式
やっちゃん、こと谷地仁花が日向くんに
一世一代の告白をしました
それを嬉しそうに、はにかんで受け取り返事を返す日向くん
不安そうだった、やっちゃんの顔がパァっと明るくなって涙を零す姿に
『よ、良かったね・・!やっちゃんっ!』
一緒に涙したのは言うまでもありません
【全てのはじまり】
「他人の告白見て泣けるってスゴいね」
「・・・谷地さん、アイツが好きだったのか」
グスッとタオルで顔を拭う私の後ろで、冷めた声の月島くんと、驚愕の真実に訝しげな声を出す影山くん
『もぅ・・・ふたりとも雰囲気ぶち壊しだよ』
振り返って涙目のままふたりを見た
「そんなに嬉しかったの?」
『うん、嬉しいよ』
「自分のことじゃないのに?」
『やっちゃんの・・・同じマネとして友人として、その想いが届いたことに、嬉しくないはずないよ』
ふーん、と興味無さげに件のふたりを見る月島くん
「・・・じゃあさ、自分のことだったら、どうなの?」
『えっ?』
ジッと、私を見る月島くんの言葉の意味がわからなくて、首を傾げた
「・・・まだわからない?」
少し眉間にシワをよせて、月島くんはメガネを直し、また私を見据えた
「キミのことが、好きってこと」
・・・・・へ?
突然の事に、感動の涙も引っ込んでしまった
いや・・、いやいや違う・・ウソだ
「ウソじゃないよ」
『ーー!!』
よ、読まれたっ!心を読まれた!
アワワワ・・!と口をパクパクさせていると
「何それ、サカナみたい」
プフっとバカにしたように、月島くんが笑った
『し、失礼なっ・・!』
「だってそんなに驚いた顔するとは思わなかったから」
で、返事は?と私に詰め寄る月島くん
その前にいきなり黒い壁が現れて
『影山、くん・・』
壁の正体は頭も黒い影山くんの背中
「何で王様が出しゃばるの」
「・・・お前だけ、ずりぃだろ」
「・・は?」
くるっとコッチに向いたかと思ったら、その目は吊り上がり、爛々としていた
でもわかってる
この目の時はいつも真剣だってこと
3年間一緒だったもんね・・・
「苗字、オレもお前のこと・・・スキ、「じゃないと思うよ」
月島くんの声に影山くんは勢いよく睨んだけど、当の本人は明後日の方を見ている
「・・・チッ、苗字っ!」
『は、はいっ!』
「オレと付き合え!」
半ば、命令のような、こんな叫びに似た告白に、危うくハイッ!、と返事をしそうになった
「王様らしい、自己中な告白だね」
「うるせぇっ!テメェが邪魔しなけりゃ、もっと上手く言えたんだよ!」
いがみ合うふたりに、目を点にして見ることしか出来ない
ちょ、ちょ、ちょっと・・・待って!
私、今・・・ふたりから告白されてる・・?
慌てる私を他所に
で?、と一緒にコッチを見るふたり
「どうなの苗字さん」
「もちろんオレと付き合うだろ」
ふたりの眼差しは、少しもふざけてなんてなくて
なにこの
ぜ、贅沢すぎる告白はっ・・・!
校内でもNo. 1のモテ男の月島くんと
バレー界で引っ張りダコの有名人、コチラもイケメンの影山くん
そのふたりにまさかっ・・・同時に・・!
これは・・・夢・・?
「だから、夢じゃないからね」
『ひぇっ・・!』
またしても月島くんに心を読まれてしまい、思わず声が出てしまった
だって、そんなっ・・・恐れ多い・・
「・・・キライ?」
「嫌か?」
少し声色のトーンを落として聞くふたりに
『キ、キライでも嫌でもないよっ!むしろスキだしっ!』
・・・あれ?
唐突に出た自分の言葉に思わず固まる
「良かった、じゃあ・・「オレを選べ」
今度は月島くんのセリフに影山くんが被せてきた
胸を張る影山くんを月島くんはジトッと睨む
『あ、うぅ・・その・・スキ、なんだけど・・』
そう スキだよ
月島くんも 影山くんも
でもね
『わ、わからないんだ・・・仲間としてスキ、なのか・・それともそう言う意味でのスキなのか・・・』
だから・・・
こんな状態で、ふたりの想いに応えるワケには
いかない
『ご、ごめんなさっ・・!「ならさ、先でいいよ」
へっ?
顔を上げると、少し呆れるように笑う月島くんが言う
「だからさ、likeからloveに変わるまで返事は取っておく。それまで一緒の時間を過ごすってのはどう?」
い、一緒の・・・時間を過ごす?
『え、どうって・・・言われても』
そもそも、likeからloveに変わるまでって・・
そんなこと・・
「僕は、自信あるから」
そう、
本当に自信たっぷりに、月島くんは視線を投げかけてくる
その瞳から目を逸らせなくて
「likeとかloveとか訳わかんネェけど、オレはお前のこと普通の女子と違うスキだ。オレは苗字のこと離すつもりはねぇ」
横から男らしい言葉で言う影山くんも、何故か自信たっぷりで
ふたりの真剣な言葉に
戸惑うけど
やっぱりホントは嬉しくて
意を決した私は
ふたりと同じ真剣な眼差しで応えた
『じゃあこれから・・・マネージャーや友だち以上の関係から、始めても・・・イイですか?』
これからもっと一緒に居て
ふたりのこと、もっともっと知って
それから・・・また真剣に応えを出したい
私の応えに月島くんは、仕方がないとでも言う様にため息をついて、また笑った
影山くんは少し納得がいかないようで、ブスッとした表情のまま唇を尖らした
でもその後チッと舌打ちをして
「・・・苗字がそう言うなら、仕方ねぇし」
ポツリと返事を返してくれた
『ふたりとも、ありがとう・・・ゴメンね、勿体ぶらせる形になっちゃって』
「全くだね」
「早くオレに決めろよ」
口々に好きなことを言うふたりに
思わず笑って
それから一度目を閉じ、3年間の思い出に心を馳せ、ゆっくり目を開けて手を差し出した
『今までありがとう、そしてこれからも、よろしくお願いします』
「こちらこそ」
「おう」
微笑みながら、握手を交わした
これが月島くんと影山くんとの
全てのはじまり
(・・・この数年後にまさか一緒に生活するなんて)