シェアハウス・・?始めちゃいました
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「おい、月島!身体デケェんだからもっとそっち寄れ!」
「は?そっちこそ、横幅は僕よりデカいんだから身を縮めなよ!」
『…やっぱり3人だと、ちょっと狭いねぇ』
【12月31日 寒い夜に暖をとる】
大晦日
3人でご飯を食べ終わった後のゆるゆるタイム
数日前から寒波に見舞われた我が街
寒すぎて寒すぎて
足下が冷える底冷えに
月島くんが実家にあった使っていないコタツを持って帰って来てくれた
そして今日広げ、ご飯を食べ終わった私は2人が片付け担当なのを良い事に
一足先にコタツへと滑り込んだ
『あ…あったかい…』
ああ、この冷たい足下が暖まる、じんわりとする感じ…
『幸せ〜…』
コタツのど真ん中を陣取り、ぬくぬくを満喫していると、「隣、入るぞ」と声がして右側から影山くんがコタツに入ろうとしていた
『あ、影山くん、洗い物ありが…』
とう、と言い終わる前に今度は左側から月島くんの声が降ってくる
「ちょっと影山!最後の片付け人に押し付けて、さっさとコタツに入ろうとするの止めてよね!」
影山くんに文句を言いながら、月島くんもコタツへ足を入れる
「何だよ、寒かったんだからイイだろ」
「寒いのは僕も同じ!…と言うか、別に寒がりじゃないデショ王様は」
「今日は寒ィんだよ」
「ふーん、今日は、ね。そう言いながら、ただ名前の隣を陣取りたかっただけじゃないの」
月島くんの言葉に影山くんは一瞬ぱちくりと止まって、私を見た
そして、ニィ…と普通の人が見れば、何か企んでそうな不気味な笑みを浮かべる
あ、影山くんが笑いかけてくれてる
それにこちらもニコッと笑い返してみた
するとぐっと身を寄せて、私の手を取る影山くん
「当たり前だろ、隣に座んねェとこうやって名前の冷たい所、あっためてやれねーし」
にぎにぎと大きな両手で包んでくる
ああ…影山くん酔ってるなぁ
でも、お酒のせいか、普段からなのか
影山くんの体温はビックリするくらい暖かくて
本当にポカポカして暖まる
きもちいい…
「なに自然に手、握ってるの…」
腕を伸ばし、ぺしっと包む影山くんの手を払い除ける月島くん
「…てェな、つーか名前が狭そうだろ、もっとそっち寄れよ」
はたかれた手をさすりながら、月島くんを睨む影山くん
確かにいくら長テーブルのコタツだからと言って、横並びに3人並べば結構狭い
しかも両隣りは体格の良い男性ときている
「そっちが寄れば良いデショ。と言うか名前、もっとこっち来なよ。そっちに引っ付いてたら変な事されるよ」
『わっ、』
月島くんが肩を掴んで自分の方へ引き寄せる
ポスっと埋まった彼の胸元は、やっぱり暖かい
それに何より…
『良い匂い…』
月島くんから漂う少し大人びた落ち着いた香りに、思わずボソッと呟いてしまいハッとする
『あっ、その…』
パッと離れた私に月島くんは一瞬の間の後、嬉しそうに笑って
「ホント?良かった、ならもっとくっついて良いよ」
そう言いながら、また私の肩をそっと抱き寄せる
このままで良いのだろうか
再度包まれた温もりに、離れようかと逡巡したが
今日は大晦日
今年最後の日
お言葉に甘えてしまおう
……まぁ、いつも甘えてるんだけどね
「月島!お前こそ、何勝手に…、」
『影山くん』
憤慨している影山くんに両手を広げる
『影山くんは私に寄りかかってよ』
ね、とそのまま膝をぽんぽんと叩き、ここにおいで、と招く
影山くんは意外そうな顔をして固まった後、少し恥ずかしそうに視線を逸らしながら私に近寄った
「名前、気を遣わなくて良いよ」
『だってこうすれば、皆んなで暖を取れるんだよ』
不服そうな声の月島くんにそう言い、影山くんを促す
彼は「お、お邪魔しますっ…」とどこかぎこちない動きで私の太もも、と言うか骨盤辺りに頭を乗せた
『なんで影山くん、敬語なの?』
「う、うっせーな、だってなんか名前の方からそんな風に言われると、焦んだろ」
ふふっと笑ってしまった私に影山くんは唇を尖らせた
「…僕、重いんですケド」
『そこは頑張って』
「我慢しろ」
私達の言葉に月島くんはピクリと眉を寄せた
そして長いため息をもらして、それ以上は何を言っても無駄だと判断したのか
何も言わなかった
あ〜…、あったかい
***
くあっ…と、影山が何度目かの欠伸をした
名前も頬をうっすらと赤く染めて、眠たそうな顔をしている
…あれだけ顔が赤くなってるなら、充分あったまったみたいだね
ずっと寒い寒いって零してたから、持って帰って来て良かった
幸せそうにとろんとさせている目元に、フッと笑みを洩らした
すると突然、名前が寝言の様にゴニョゴニョと何かを口走る
「え?」
小さな声に聞こえない僕は、少し耳を傾けた
『ことしも、よろひく…お願いします…』
少々呂律が回っていないようだが、聞き取れた言葉にさっと時計を見た
針は12の数字を少し過ぎた所に居て
ああそう言うこと
「時間過ぎてたんだね」
と振り返れば、そこにはもう瞼を閉じてスヤスヤと寝息をたてている彼女の姿
その下にいる影山も名前の身体に埋もれてグーグーと寝入っている
それだけ言う為に頑張って起きてたんだ
眠たかったくせに
彼女の額をそっと撫でる
ほんのり暖かい
でも耳たぶを触ればそこだけひんやりしていて
「…きもちいい」
指先ですりすりと撫でながら目を閉じる
「こちらこそ、今年も来年も…」
ずっと、よろしく…
僕もそのまま、ゆっくりと意識を手放した
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