How-to 影山くん
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なぜ
私は今
自分の彼氏にガンを飛ばされてるのか
まったく意味がわからない
思えば最近少しおかしかった
・・まぁある意味いつも変なのは変なんだけど
朝のおはよの時も
いつも寝てるはずの授業中も
お昼も
部活に行く前も
ずっと1日中、隣りの席からコッチを見てくる
それも目付きが悪いせいか
ずっとガンを飛ばされてるかのよう
や、嬉しいんだけどね
そんなに私のこと見てくれて
でもね
やっぱり気になるよね
なにゆえ私にガンを飛ば・・、見つめてくるのか
気になってしょうがない
そんな日が2日続いた頃
私は意を決して飛雄に聞いてみた
『と、飛雄?』
「あ?」
『最近、私のこと睨ん・・良く見てるような気がするんだけど、何か気になることでもあるの?』
すると彼は何かを考える素振りをして
「ちょうど良い、名前ちょっと付き合え」
『へ?ちょ、ちょっと!どこ行くの?』
私の腕を掴んで歩き出す
飛雄の歩くスピードは私に合わせてくれることなく、ズンズン進んで行く
いや、早すぎ・・!
ついて行くだけなのに息が上がる
やがて屋上に上がる階段が見えて来て
その階段を上がりきると、やっと彼は腕を離してくれた
ハァ・・ハァ・・
走ったワケじゃないのに
こんなに息苦しいなんて
両膝に手を当てて息を整えていると
突然
彼の手が伸びてきて
バンっ!と壁と飛雄の間に挟まれた
こ、これは・・!少女マンガで良く見る
壁ドン・・!!
まさか飛雄にされる日が来るなんて・・
そんなことを目の前の、彼の顔を見ながら考えていたら
殺されそうなぐらいに睨んでいる瞳に気付いた
な、なんでー!
え、え、なに?
私殺されちゃうの?
壁ドンされたかと思ったら
彼氏にまたガン飛ばされるってどんな状況!
引きつった笑みを浮かべて
彼の名前を呼ぼうとした時
ふと、視界が暗くなったかと思ったら
ガチンッと音がして
『いたっ・・!』
唇に衝撃と痛みが走った
咄嗟に痛みの走った口許を手で覆う
涙目になりながらも、うっすらと目を開けると
飛雄も同じようにして向こうを向いている
え、なに・・どう言うこと?
突然のことに頭がついていかない
痛みでしゃがんだまま飛雄を呼ぶ
『ひょ、ひょびお・・!』
唇が痛くて上手く言えない
でも彼は勢いよくコッチを向いてくれた
「名前・・!大丈夫か?」
しゃがんでいる私の背中に手を置き
顔を覗き込んでくる
飛雄の下唇が少し赤い
『・・うん、だいじょぶ』
片方の手だけでピースサインを作ってみた
「口、見せてみろ」
心配するように飛雄の眉が少し下がっている
『大丈夫だよ〜』
と、まだ口許を片方の手で隠していたら
いいから!と強引に腕を引っ張って
手をどかせられた
「・・血、出てんじゃねーか」
あ、やっぱり?鉄の味がしたからなぁ・・
と思っていると
「・・ワリィ」
そう呟き
悲しそうに肩を下げる飛雄
わ、この表情ちょうレア
叱られたワンコみたい
・・じゃなくて!
『どうしたの?突然』
私の言葉に黙ったまま項垂れている飛雄
『・・今のってさ、その・・キス、だったんだよね?』
最初は痛みでなんなのか良くわからなかったけど
この状況はどうも
キスをしようとして
・・し、失敗?したってことだと
理解した
飛雄・・キスしてくれようとしてたんだ
でもなんで突然こんなことになったのか
飛雄の想いがわからない
『・・飛雄?』
「この前」
視線を外して話し始める飛雄
「お前が良く読んでる雑誌、谷地さんが持ってて・・」
『バレー部のマネの子?』
「おう・・。で、特集の部分が開きっぱになってたから、読んだ」
『特集?・・って確かキスにまつわるやつ?』
コクリと頷く
そう言えば、そんなのあったなぁ・・
『え、でも何でそれでイキナリ私としようと思ったの?』
「・・の日だったから」
『え?』
「キスの日だったから」
・・キスの・・あ!今日って、確かに雑誌にそう書いてあったかも
『そ、それでキスしようと思ったの?』
「ーーっ悪りぃかよ!」
プイッと横を向いた飛雄に
どうしようもなく
愛おしさが込み上げてくる
かわいい・・
「・・でもタイミングもわかんねぇし、仕方もしらねーし。どうやってすっか、ずっとお前見ててもいい案なんて思いつかなかったんだよ」
バツが悪そうに私を見る飛雄に合点がいった
それで私のこと見てたんだ・・
あの飛雄が私とキスをするために
試行錯誤してたなんて
「結局・・名前に痛い思いさせちまった」
『これぐらいなんともないよ!』
思わず飛雄の腕を掴んだ
『私は嬉しかったよ!わ、私もそう言うの初めてだったし・・飛雄としたいと思ってたもん』
私の勢いに少し驚いていた飛雄だったけど
フッと優しい表情になると
私の頬を撫でてくれた
「血・・滲んでんな」
申し訳なさそうな、ホントに子犬みたいな顔をして
クイっと顎を持ち上げられた
『ーーっ!』
ゆっくりと顔が近づいて来たかと思うと
ペロッと唇を舐められる
『なっ・・!』
ビックリして、彼の顔を見返す
「名前の味がする」
さっきとは打って変わって
妖し気な瞳で私を見つめてくる
ボンっと自分の顔が真っ赤になったのがわかった
『わ、わたしの味って・・どっ、』
どんな味なの?と問いたかった唇は
再び飛雄に舌でなぞられ
声にはならなかった
ペロッ・・ピチャッ・・
なんとも言えない粘膜の音を出しながら
唇を舐められ
くすぐったいのと
背中の神経を伝う
ゾクゾクした何かで
私の頭はショート寸前だ
『っ・・!』
突然、舐めていただけだった飛雄の唇が
私のとしっかり密着しては離れてをくりかえしていて
これ・・キス、してるじゃん・・!
いくらした事がない私でもわかる
そしていつの間にか唇を舐めていたソレは
私の口内へ
『ふっ・・んんっ・・!』
口の中をなぞられる度に
ゾクゾクが走って止まらない
ほ、本当に飛雄、初めてなの・・?
私は溺れそうになる感覚に
必死に飛雄の肩を掴んだ
瞬間
飛雄に後ろ頭を掴まれて
さらに激しく 深く
『はっ・・!んぅっ』
何度も口付けられた
息苦しいけど
スゴく愛おしい・・
ヤバい
とけそう・・
最後の口付けが終わって
ゆっくりと唇を離す飛雄
カレの顔は
珍しく紅く染まっていて
肩で息をしていた
ただ鋭いその目は健在で
私をしっかりとその瞳に映していた
私はと言うと・・
やっと・・解放された・・
もう息も絶えだえ
初めてのキスで
こんな激しいのされたら、ついてけないよ・・
両手を床につけて上体を少し預けた
「・・名前、大丈夫か?」
『う、うん・・なんとか』
顔を少し上げて
苦笑いを浮かべた
飛雄はそっか、と安心した様に笑うと
「なら、もう一回な」
とまだ紅い顔を近づけてきた
へ?ちょ、まっ・・!
『ダ、ダメっ!』
グイッと飛雄の口を両手で押し返す
「フンフフフー!」
口を塞がれた飛雄は、不満そうに何かを言っている
たぶん、なんでだ!とでも言っているのだろう
『ダメに決まってるでしょ!今何分だと思ってんの!』
その言葉にピタッと飛雄の動きが止まった
私はポケットにある携帯を取り出し
飛雄の目の前に出してみせた
あれから30分ちかく経っている
「マジか」
『うん、みんな待ってるよ』
「ーーっクソ!」
バッと私から離れて走り出そうとする飛雄だったけど
足を止めコチラを振り向いた
「悪い名前!続きは今度またな」
気をつけて帰れよ!と言いながら
去って行ってしまった
私はそんな彼の背中を見送りながら、肩の力を抜いた
ひとりになった静けさの中で
そっと自分の唇に触れてみる
まだ少し痛みはあるけど
そんなことより
私・・ついに、飛雄とキスしたんだ・・
その想いで胸がいっぱいになる
わたし 今スゴくしあわせだ
なぁ影山!
あ?
お前なんで唇から血ぃ出てんだよ
ん?・・ああ、うつった
は!?うつったって・・な、なんかの病気か!?
(ちげぇけど)
まぁ、そんなとこだな
名前とキスしたくて堪らなくなる病気