他校
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【明日世界が終わるなら】
『信介さーん!』
部活終わりの信介さんに駆け寄ると、「おう」といつもと同じ私と正反対のテンションで返してくれる彼が可愛い
『ねぇ、お願いですっキスしましょ〜』
「ほな、帰るで」
「え、ちょ、ちょっとー!」
くるりと背を向ける信介さんに慌てて駆け寄る
あれ?私の声聞こえなかったのかな?
おかしぃな…
『ね!信介さんっ、キスっ…』
「明日は雨かいな」
『ううん!明日は晴れだよ!それよりっ』
「即答やな、何で知ってるん?」
『だって明日他所の学校で練習試合もあるし、もし雨だったりしたらちゃんと把握して準備しとかないと皆んなが困っちゃうでしょ?』
「…さすがやな」
『当然!それでなんだけどっ…』
「名前」
『なに?信介さん』
脚を止めた彼に私もちょこんと止まる
「あんまりデカい声でそんなことゆうたらアカンで」
『え?なにを?』
首を傾げたら、信介さんはため息をついてしまった
「キスしたいなんて、他のヤツがおる所でゆうたら変な目で見てくるやろ」
『え、なんで?』
「なんでもや、ほらあそこ見てみぃ、侑と治なんか後までつけて来とるで」
信介さんの言葉に指を差された場所を見れば、宮兄弟が木の影に隠れていた
いや、全然隠れきれてないけどね
そのデカい身体がそんな物で遮れるわけも無く、木に合わせて変なポーズをしている2人をジーっと見た
もうホント好奇心の塊なんだから…あの双子
「それで?理由は?」
『え、』
「キスしたい理由」
その声にハッとした
そうだった!私はそのために信介さんにまとわりついていたのだ
『明日世界が終わるからですっ!』
ビシッと敬礼して理由を言うと、とてつもなく怪訝そうな顔をされた
「…そんな話し聞いたことないで」
『だから私とキスしてください!』
「まったく意味わからん」
どこ情報の話しやねんそれ…とつぶやく信介さんの顔が冴えない
「そないな不確かな情報、ホンマに信じとるん?」
『はい!信じてるから言ってます!』
「…明日は晴れで練習試合の準備がどうたらってゆうてたんは?」
『もし世界が終わらなかった場合、それは実行されるので準備は事前に必要かと!』
「敬礼といい…言い方軍人か」
信介さんがツッコんでくれた
「いや、それにしてもやろ。それでなんでキスする事になるん?」
『明日世界が終わるなら、信介さんと一緒に居て最後に信介さんとキスがしたいからです!』
ニコッとダメ押しに笑う
『ね!だからお願いします』
信介さんは相変わらず表情を変えない
でも瞬きせずに私をじっと見てくれる
「…なぁ、それホンキでゆうとるん?」
『はいっ!」
「意味もわかっとるん?」
『はい!私、信介さん大好きですもん!』
「…やっぱり意味わかってへんな」
『へ?』
「明日世界が終わるんやろ?」
フッと信介さんの影が迫って、背中にとんっと壁が当たる
影のかかった瞳の圧に視線をそらせない
「やったら…」
くいっと顎を持ち上げられて
「キスだけで終わらす気ぃ…ないで」
あ…、と思った時にはもう信介さんは私の唇にキスを落として
とろけるような甘いキスをいっぱいしてくれました
マジかっ…!?
き、北さんがこないなとこでホンマにキスしてるで!?
絶対せぇへん思ってたのにっ…
じ、事件やっ!
これは事件やでっ!!
こそこそとはしゃいで飛び跳ねていたら、キスをしている北さんと目が合う双子
その目からは……
「わかっとるよな…」
と静かな静かな、それはもう強烈なプレッシャーが放たれ
「「はい……」」
と心の中で返事を返すしかない双子であった
2021.2.5