秘密から始まる青い春
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お風呂から上がって、ベッドに倒れ込んだ
自然と出たため息が宙を舞う
『・・どうしたらいいんだろう』
天井を見つめ1人呟いた
あんなに怒ってる影山くん初めてみた・・
理由は良くわからないけど
とにかく彼は月島くんの何かが気に入らなかったんだ
いくら私でもそれはわかる
始まりは歪だったとしても
せっかく出来た友達なのに・・
私は何も出来なくて
ゴロっと横にうずくまる
なんでいつもこうなんだろう・・
私には友達がいない
正確には
逃げたんだ
友達からも
幼なじみからも
親の都合で引っ越すことで
弱い私は全てから逃げた
どうすることも出来ない、と言い訳して
でも・・
グッと閉じた瞼をゆっくり開く
今度は逃げたくない
私からもっと2人を知るんだ
そうすれば2人のこともっと理解できるはず・・
そう決意した
***
それは晴天の霹靂
いや、実際には分かってたはずなんだケド
その日は突然訪れた
『ウソ・・』
「マジかよ・・」
「・・本当みたいだね」
音楽室に続く廊下の真ん中にある立て札の張り紙を見て口々に呟く
そこには
"立入禁止"
と書かれてあった
朝のホームルームが終わる間際、担任が思い出したように言う
「おう、そう言えば旧音楽室とかある場所、改築が決まって明日から工事だから、皆んなあの場所には入んなよー」
危ないからなー、と言いながら教室を出て行った
担任の背中を見送った後、驚きを隠せない僕は直ぐに彼女の方を見る
苗字も同じように担任が出て行った扉の方を見ながら固まっていた
そして
苗字と僕、影山の3人でいつもの時間にここを訪れ今に至る
いつかこんな日が来ることは分かってた ケド・・
・・それにしても突然過ぎるデショ
目の前の張り紙を睨みつける
これで彼女との秘密の契約は終わり
なんてこと
絶対に させない
彼女の方を見ると、落ち込んでると思っていたのにその表情は何かの決意を決めたように唇を固く結んでいる
「?、苗字さ・・」
不思議に思いながら声をかけようとした時
『月島くん!影山くん!』
「ーー!」
両手を握りしめながら絞り出すように名前を呼ばれた
呆気にとられた僕と影山は背筋を伸ばし苗字を見つめる
彼女は少し息を吐いて呼吸を整えると
意を決したようにこちらを振り向いた
『あのっ!ここで会えなくてもまだ、私と一緒に居てくれますか?』
突然の告白に目を丸くする
え、チョットこれどういう意味・・?
戸惑っていると、さらに彼女は続ける
『せっかく仲良くなったのに、このまま・・3人の時間が終わるのスゴく嫌で・・』
何より・・もう逃げるのはイヤ・・
ボソッと小さく気になる言葉を呟いた彼女の瞳は潤んでいた
『だからっ・・!』
「当然だろ!」
苗字の言葉に気圧されていた僕を余所に、影山が応じる
「俺も苗字と一緒に居たい」
真剣な眼差しで苗字を見つめている影山に、何で恥ずかし気もなくそんな言葉がすぐに返せるのか、焦りながらも恨めしく思った
先を越された・・!
影山の言葉に嬉しそうにしている苗字に
「僕も、同じ気持ちだよ」
と声をかけると
『2人とも・・ありがとう!』
その瞳いっぱいに涙を溜め、安堵したように笑った
まさか彼女の方から一緒に居たいなんて
言われるとは思ってなくて
でもこれで僕から無理に引き留めることはしなくて良くなった
チラリと影山を見ると、目尻を下げてまた見たことがない優しい顔で苗字を見ていた
そんな影山を横目に、僕は前から考えていた事を苗字に伝える
「ねぇ、苗字さん」
『なに?』
「良かったら、」
涙目の彼女の目を見据える
「バレー部のマネージャー、してみない?」
驚いた表情の彼女と
隣りで口を開ける影山が見えた