秘密から始まる青い春
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「さっきのは何なんだよっ・・!」
ドンッと壁を殴りつけこちらを睨む影山
「さっきのって?」
「とぼけんなっ!苗字に触ってただろうが、お前!」
「嫌だなぁ、見てたの?」
挑発するように笑えば
「テメェ・・」
握り締めた拳を震わしている
「・・・キミさぁ、なんか勘違いしてない?」
「ああ!?」
「苗字さんは・・キミのものじゃないよ」
「なに当たり前のこと言ってんだよ!」
「じゃあなんでそんなに怒るわけ?」
「ーーっ・・!!」
僕のセリフに言葉を詰まらせる影山
さっきの威勢はどこへやら
目尻を上げたまま戸惑いを隠せず、足元を見ている
たぶん、自分でもどうして怒ってるのか、まだ分かっていない・・
「・・お互い様デショ」
明らかに動揺している影山に
「元はと言えば最初にキミが挑発してきたんだから」
おあいこ、そう呟いて
呆然と立ちすくむ影山の横を通り過ぎ、部室に向かった
***
月島のセリフが
何度も頭の中で反芻される
なんで俺は怒ってんだ・・
なんで俺、苗字のことになると感情を抑えられねぇんだ・・
バレーと一緒だ
周りのことなんて見えなくなって
ずっとバレーのことだけ考えて
それだけで良かったハズだ
苗字も・・
苗字のことだけ考えてんのに
それだけじゃ足りなくて
イライラする
でも手放したくない
感情がグルグル回る
良い感情も 悪い感情も
面倒くさいくらい
自分でも 何をどうしたいのか
・・わっかんねぇ!・・けど
ひとつだけ これだけは言える
月島に、いや
他の男に触られてる苗字を見るのは
「嫌だ」
月島が去って行った方を睨み呟いた
***
「・・なぁ山口、月島と影山ってなんかあったの?」
休憩しようとドリンクを取りに行くと菅原さんが声をかけてきた
「前から特に仲良かったって訳じゃないけど、最近めっちゃ険悪じゃねぇ?」
「そう、ですね・・何でかはオレにも良くわからないですけど、、ツッキーあからさまに影山を避けてるんですよね」
そして最近イライラしてたり、逆に怖いくらい嬉しそうにしてたり・・
ツッキーはあんまり表に感情を出さないけど
ずっと一緒に居たオレには
良くわかる
そしてそれは
オレにも言えることで
たぶん いや絶対
ツッキーには 誰か気になる子がいる
そう確信している
その子の目星も 大体わかってる
「山口でも分かんないか、まぁ部活に影響ないならイイけどさぁ、つーか、最近2人揃って部活来てたりしたから、仲良くなったのかとおもってた」
でも影山の顔がいつもより更に険しくて威圧感が半端ないんだもんな、と苦笑いする菅原さん
「確かに」
とオレも苦笑いで返す
誰でも構わず噛みつこうとギラギラしているように見える
腑に落ちないのはその影山だ
なんでツッキーとまたいがみ合ってるのか
オレが知っている限り、ちょいちょいイヤミを言い合ったりしているだけだったのに
こんなに2人して会話はおろか、視線も合わせないなんて
ツッキーから聞き出したいけど絶対に教えてくれなさそうだし
自分がツッキーに彼女のことを黙っていた後ろめたさもあって聞くに聞けない・・
そう言えばこの前先に帰った時、影山と一緒だったような・・
「休憩終了ー!」
大地さんの掛け声で我にかえる
とにかく また良い時にツッキーに聞いてみよう
今は取り敢えず目の前のサーブ練習に気合いを入れた