秘密から始まる青い春
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『あれ?』
音楽室の扉をあけると先に月島くんが待っていた
「お疲れ様」
そう言って珍しく微笑みかけてくる月島くん
『月島くん用事があったんじゃないの?』
お疲れ様、と返しながらお昼に山口くんと会話していたことを思い出す
「聞いてたの?」
驚いた様子で月島くんが目を見開く
『あ、そのゴメン・・お昼に会話してるの盗み聞きしちゃった』
いつも山口くんと楽しそうに、話ししてるからとバツが悪そうに言うと
月島くんは少し嬉しそうな顔で言う
「いいよ、苗字さんに聞かれて困る話し、してないから」
ポンポンと月島くんが座っている隣りを叩かれ
「コッチ、きて」
優しい声で誘われる
・・ドキッとした
窓際にある並べられた机に座っている月島くんの隣に、お邪魔します・・と少し距離を取って遠慮気味に座った
「そんなに警戒しなくてイイよ」
私の様子にクスッと月島くんが笑った
今まで
こんな月島くん
見たことなくて
どうしたらいいのかわからない
「待ってた」
『えっ』
「いつも苗字さんが待っててくれるから・・」
そう言いながら月島くんの顔が上から近寄ってくる
「たまには僕が苗字さんのセリフ、もらってもいいかなって思って」
あ・・カラダ
動カナイ
月島くんの綺麗な瞳に捕まった私は
目を見開いたまま微動だに出来ない
「苗字さん・・」
吐息がかかりそうな距離で
名前を呼ばれる
『っ、、!つき・・!』
「・・・ごはん粒、付いてるよ」
『ーー・・!!』
どどど、どこー!と叫ぶ私に
ここ、と頬に触れられた
「午後からずっと気になってた」
手を離した月島くんが指をペロっと舐める
ヤバい・・死んじゃう・・
高校生にもなってごはん粒付けてるとか・・!
しかもそれを月島くんに取ってもらうなんて
私は恥ずかしくて恥ずかしくて
熱くなるぐらい真っ赤になった顔を
月島くんから逸らすことしか出来なかった
目がグルグル回る
頬に触れた指は
優しくて
意外にも暖かかった
***
真っ赤になって俯く彼女に
ほんの少しだけ罪悪感が込み上げる
彼女の白い頬に
初めからご飯粒なんて
ついてない
我ながらこんなことに嘘をつく自分に、自己嫌悪する
だけど彼女に触れたこの手は
自分でもわかるくらい熱を持って
もう一度触りたい衝動をなんとか抑えていた
・・思ってた以上に柔らかい
ふと、廊下の人影に気付く
コチラを睨み付ける影山と目が合った
それは驚きと殺意が入り混じった目
僕はその目に向かって
顎を上げてわざとらしく
口の端を上げた
バァーン!と勢い良く扉が開く
ビクッと肩を揺らす苗字を横に
僕の胸ぐらを掴む影山
「・・テメェ!」
「なに?」
冷めた表情で見る僕に今にも血管がキレそうな影山は
「なにじゃねぇーだろ、テメェふざけてんのか!」
「僕はいつだってマジメだけど?」
取り敢えずコレ離しなよ、と影山の手を掴む
「苗字さんの前だよ」
ハッとした影山は隣で青くなっている苗字を見てゆっくりと手を離した
制服を直しながら僕は笑顔で彼女を見る
「ゴメンね、苗字さん。ちょっと王様、頭に血が上ってるみたいだから、2人で話ししてくるよ」
『で、でも・・』
「大丈夫、苗字さんは心配しなくて良いよ」
帰り、気をつけてね
なんて余裕のある言葉をかけ影山を外へ促す
「クソっ・・!」
悪態をつく影山は入って来た時と同じように勢いよく外に出た
・・あーあ、ホントこれだからお子様は
彼女をもう一度見て、片手をヒラヒラ振り教室を後にする
さて、これからが楽しみだ