秘密から始まる青い春
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「影山、この後時間ある?」
幸せオーラ全開の山口を先に帰らせ
影山に話しかけた
「・・苗字のことか?」
「へぇー、察しがいいじゃん」
珍しー、とイヤミを言うが
前と同じように王様の耳には届いていないようだ
「俺は話すことねぇーけど」
「僕にはあるんだよ」
***
「苗字さんの跡、つけたの?」
「んなわけねぇだろ!」
学校近くの公園で男2人、ブランコに座って話している
「ふーん、まぁそんな器用なことキミにはできないか」
「当たり前だろ!」
褒めてるわけじゃないが、全力で肯定してきた
「・・たまたま、家帰ってたら苗字が近くまで散歩に来てた」
「・・それで?」
「送ってった」
「家まで?」
「おう」
「じゃあ苗字さんの家知ってるんだ」
「近くまでだから、家まではわかんねぇ」
「は?本気?僕だったら家の玄関入る所まで見送るケド」
「・・苗字がここでいいって」
「ほんと・・ワキが甘いね」
うるせー!と噛み付く勢いで言う影山に嘘は見当たらない
たぶん本当だ
「じゃあ彼女には何もしてないってこと?」
「何もってどういう意味だよ」
「意味わからないならイイよ」
「お前の言ってることがわかんねーよ」
良かった
いや、良くないケド
僕の知らない苗字を先に影山が知るなんてホント最悪だ
だけど影山は本当に彼女を送ってっただけで
僕が杞憂していた事は何もなかった様子
コイツが天然バカで良かった
取り敢えず話しは聞いたし
そろそろ帰ろうかなと思ってた時だった
「あ、苗字からまたチョコもらった」
思い出したかのように影山が言う
「いきなり手ぇ握るから何かと思ったら、チョコくれた」
たぶん 握られた方の手をジッと見つめながら
少し、嬉しそうに
見たことのない顔で微笑んだ
頭が
カッと熱くなる
黒い物が渦巻くのを感じた
会話ぐらいなら放っておこうと思ってたのに
彼女に触れてるなんて
抜け駆けは
絶対許さない
・・やってくれるね、王様
***
「山口、今日彼女のとこ行くデショ?」
「う、うん!委員会はないけど、部活前に会ってくる」
昼休みに放課後の予定を聞くと、顔を赤らめながら山口は頭を掻いた
・・女子みたいな反応
「・・嬉しそうだね」
「当たり前だよ!部活もあるからそんなに会えないし」
幸せそうでなにより
「まぁ今度、良かったらそのひとのこと教えてよ」
僕の言葉に当然、わかった!と返してくると思っていたのに
山口は「えっ」と眉をハの字にしてコチラを見た
「・・イヤなの?」
「あっ!いや、違くてそのぉ・・」
顔の前で両手をブンブン振り回して否定するのはいいケド、山口は何かをとても言いづらそうにしている
「なに?」
うーん、と唸っていた山口はチラッと僕を見る
そして重そうな口を開いた
「・・だってツッキー、モテるんだもん」
「は?」
「だから・・チョット・・」
モゴモゴと口を動かす山口を見て、察した
「・・あのさ、キミそんなバカだったっけ?」
「だって本当のことじゃん!」
「だからって何でそんな発想になるの」
「ツッキーには分からないよ!」
山口はムキになって続ける
「は、初めて好きになった子で・・不安で仕方ないんだよ」
その言葉に 何故か
自分が重なる
「・・わかった、山口のいい時にまた紹介して」
「・・ゴメン、ツッキー」
肩を落とす山口に
「そんな顔して会いに行ったら彼女に失礼なんじゃない?」
と言えば、途端に顔をパァっと光らせる
「ツッキー・・!」
「・・ちょうど僕も用事があって、今日は授業終わったらすぐに出るよ」
了解!と元気を取り戻した山口は敬礼してくる
不安・・
僕も誰かに取られるんじゃないかって
ずっと不安だ
でもそんな山口が
今は羨ましい