秘密から始まる青い春
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「苗字さんってさー、バレーのこと詳しいの?」
『え?なんで?』
「俺たちが練習してる時とか、試合形式でバレーしてる時も、あんま清水先輩に聞いたりしてなさそーだったから」
帰り道で日向が苗字に話しかける
苗字がマネージャーになって1週間が過ぎた
始めは見慣れないジャージ姿に新鮮だなっと思っていたケド
1週間も経てば、前からマネージャーをしていたかのようにテキパキと仕事をこなす苗字に感心していた
そしていつの間にか
自主練をしない日は
大体いつもの1年メンバーで帰るようになっていた
その帰り道での日向の言葉に、どれだけ視野が広いのか少し呆れたケド
それは僕も同じ考えだった
マネージャーに誘ってみたケド、ルールや説明は清水先輩がしてくれるだろうし
なにより
それでも分からないことがあれば
僕が手取り足取り教えるつもりだった
だけど
彼女は尋ねてくることはおろか
記録やスコアなどをノートに書き込む作業も
特に悩む様子もなくスラスラ書いていた
バレーに関わっていないと分からないはず
「僕も気になってた」
少し覗き込むように苗字に話しかける
苗字は、それはー・・、と言いながら足元に視線を下げた
『幼なじみがバレーしてたから・・』
「幼なじみって、同い年?」
『ひとつ上とふたつ上』
「え、じゃあその幼なじみって高校もバレー部なのか!」
食い気味に日向が聞く
『う、うん。そうだったと思う・・』
「思う?」
『高校入る前に、コッチに引っ越して来ちゃったから・・良く覚えてないんだ』
苦笑いしながら
自分の耳たぶを触った
あ、
・・また 何か隠してる
自分でも分かるくらい
不機嫌な顔をしているのを悟られないように
顔を前に向けた
「そいつとは連絡とってねぇのか?」
影山が日向の横から割り込んでくる
『あー、うん・・引っ越す前に色々あって・・』
言葉を濁そうとする苗字は『あっ!』と坂ノ下商店を指差し
『ノド乾いちゃった!みんなも何か飲まない?』
と言いながらそそくさと店内に入って行ってしまった
「俺もー!」と日向はそれに続いたが
「・・今の、完全に話し逸らしたよね」
と山口が僕の後ろで呟く
「・・苗字さんにも言いたくないことの、1つや2つ、あるんじゃない」
眼鏡の位置を直して店内に入ろうとした時
「・・東京」
ボソリと影山が呟いたのを僕は聞き逃さなかった