秘密から始まる青い春
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「「お疲れっしたぁ!」」
今日もやっと部活が終わった
早く帰って汗流したい
「おい!影山!もちろん今日はソッコーの自主練すんだろ!?」
「おお!ソッコーの合わせすんぞ!」
野生児2人が意気揚々と自主練を始めようとしているのを横目に、山口に声をかけ部室に行こうとした
「ゴメン、ツッキー!オレもちょっと自主練して帰るよ」
山口は気合いを入れるかのように持っていたボールを強く掴んだ
「・・そっ、じゃあお疲れ」
本当はさっきの話しをしたかったんだケド
僕には関係ない、と体育館を出た
どいつもこいつも熱すぎ・・
今日は見学だけの苗字は清水先輩に促され、あれから1時間経った頃に
「皆さんありがとうございました、お疲れ様です!」とまた深々と頭を下げ、体育館を後にした
途端にバレーに集中する影山とは裏腹に、少しこっちは気が抜けてしまった
毎日会えるようにはなるけど、やっぱりなかなか喋る機会は持てないな・・
ハァー、と少し長いため息が出た時だった
『月島くん』
あの声に呼ばれてハッとする
校門の所から先ほどと同じように顔を出し、僕と目が合うと微笑んだ
「苗字・・さん?」
『お疲れ様ー!』
タタッと僕に駆け寄ってくる、居ないはずの彼女
『練習凄かったね、月島くん目立ってたよ』
「そう?・・と言うか何で居るの?先に帰ったはすデショ?」
『うん、帰ろうと思ってたんだけど、なんかこのまま帰るの勿体ない気がして・・』
エヘヘっと苦笑いする苗字に、表しようのない感情が湧き上がってくる
『せっかく2人と会えたのにお話し全然出来なかったしね、まぁ部活しに来てるんだから当然かー』
迷惑、だった?と少し顔を下げ窺うように聞いてくる
「迷惑じゃないよ、少し驚いたダケ」
『良かった』
僕の応えに安堵するように笑う苗字
何でこんなに可愛いのだろう・・
「じゃあ、一緒に帰る?」
言いながら足を進める
『うん!あ、でも影山くんは?』
「ああ・・影山なら自主練するからまだ帰らないよ」
タタッとまた小走りで僕の跡をついてくる苗字
『自主練!?凄いね、あれだけ部活で頑張ってたのにさらに自主練もするんだ』
「バレー馬鹿につける薬なんてないよ」
影山のことを褒めることが面白くない僕は、ボソッと呟く
『月島くん、ヒドい』
ヒドいといいながらもクスクス笑っている
『でもそれだけ夢中になれるって凄く良いことだし、影山くんらしい』
「その分、勉強の方は置き去りにされてるケドね」
『わぁ!それは・・私も人のこと言えない』
「進学クラスが何言ってるの?」
『そうでした』
2人で視線を合わせ、笑い合った
僕の言葉に彼女が笑ってくれる
ただいつものように毒づいているだけなのに
楽しそうな彼女にさっきまでの疲れが飛んでいく
「行こ」
『うん』
影山に気付かれない内に、ここを離れよう
悪いね、王様
たかが部活に
熱心になり過ぎると
足元掬われるよ