秘密から始まる青い春
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2人で勢いよくドアを開け、中に雪崩れ込んだ
チィーッス!とゼェーゼェー言いながら日向が挨拶をするのを横目に
同じく息が上がっている俺は中を見回す
だが、期待していた人の姿は 見当たらない
「おお!今日は久しぶりに仲良く競争かー?」
田中さんがいつもの様に話しかけてくる
「チッス・・」
「どした影山、元気ねぇーな」
「んなことないっス」
田中さんに返事を返しながらまたキョロキョロしてみるが、やはり見つからない
「あ?なんだよお前、誰か探してんのか」
田中さんの声で俺の様子が気になったのか、西谷さんも来てしまった
「いや何でも、、」
「ああー!もしかしてお前!」
何でもないと、言おうとした俺に西谷さんが声を被せてくる
「新しいマネージャーのことを知ってるなー!」
「ーー!」
ビックリした
まさか西谷さんからその話しが出るとは思っていなかった
「新しいマネージャーってなんですか、ノヤッさん!」
テンション高めで日向が西谷さんに聞いている
「おう!聞いて驚け!我が烏野バレー部に新しくマネージャーが加わることとなったー!」
「な、なんですとー!」
日向は両手を握りしめ興奮したように、それをブンブンと振っている
「これがどう言うことか・・わかるか、日向・・」
ポンっと日向の肩に手をかけ、真剣な眼差しで田中さんが言う
「マネージャーが2人と言うことは・・強さも2倍になると言うことだ!」
「おおー!」
強さ・・2倍・・
田中さんの言葉に俺も、おおー・・!と小さく口に出していた
「・・・チョット意味わかんない」
後ろから気怠そうな声が聞こえ振り返ると
アイツがいた
「月島!・・・苗字は?」
「今日は見学だけだし、そんな早く来てるわけないデショ」
「・・そうかよ」
フンっとこれ以上コイツと喋ることはねぇーし、苗字のことで盛り上がっている日向たちの方へ向かった
「でも珍しいな、お前がそう言うのに興味持つなんて」
近くに来た俺に気付いて日向が言う
「あ?まぁ・・知り合いだからな」
「え、お前女子の知り合い居るの?」
つかどういうカンケー?と興味津々に聞いてくる日向にどう話せばいいのか迷った
「まぁ、アレだ!んー、イヌの散歩してる時に会った」
「お前イヌ飼ってんの?」
「ちげぇっ!俺じゃなくて苗字の方!」
「新しいマネ、苗字って言うのか!」
へぇー、それで?と先を促す
「それで・・一緒に帰った」
「ん?散歩で仲良くなって一緒に帰ったってこと?」
「いや、まぁ・・そうとも、言う、、のか?」
歯切れの悪い俺に
「良くわかんねーけど・・影山、それって知り合いって言うのか?」
「ーーっうるせー!日向ボゲェ!」
何故か図星をつかれたような気がして声を荒げた時、澤村さんの声がかかる
「集合ー!」
その声にチッと日向に舌打ちし、澤村さんの所へ向かう
「たぶん、もう大体のヤツは知ってると思うが、新しくマネージャーが入る予定だ」
集まった全員の顔を見回しながら、澤村さんは続ける
「今、先生と清水が新しく入るマネージャーに部活の話しをしているらしいから、もう少ししたらここに来ると思う」
「うっしゃー!」
「どんな子なんだろう」
「大地、学年はー?」
「1年だ!」
月島と山口のクラスだと聞いてる、と澤村さんが言うと全員の視線がアイツらに注がれる
「何だよ、お前らマネージャーが誰か知ってたのかよ?」
「いや、オレは知らないです・・」
「知ってても知らなくてもどっちでもいいじゃないですか」
月島の言い方にお前が誘ったんだろ、と冷めた目で見てやった
パンパンッと澤村さんが手を叩く
「はい、集中!嬉しいのはわかるが、基礎練始めるぞ!」
「「ウッス!」」
取り敢えず気持ちを切り替えバレーに集中することにした
***
・・遅ぇーな苗字
チラッと開け放たれた扉の方を見るが一向に彼女の姿どころか猫一匹も通らない
もしかして、嫌になって帰ったのか
最初の苗字の反応を思い出す
俺の目にも分かるぐらい苗字は迷っていた
でも逃げる程嫌そうにはしてなかった・・たぶん
「影山!また外見てんのかよ!どんだけ気になんだよ」
日向が覗き込むように現れる
「別にっ!・・遅ぇなって思ってただけだ」
唇を尖らせて言ったその時だった
「みなさーん!お疲れ様でーす!」
声のしたほうを勢いよく振り向く
そこには、にこやかに立つ先生の姿
「たけちゃん!例のマネージャーは!?」
いつの間にそこに居たのか食い気味に西谷さんが聞いている
「来てますよ」
と、後ろを振り返ると清水先輩が体育館に上がりながら、「コッチ」と誰かを呼んでいる
心臓がドクンっと跳ねる
そっと扉に細い指がかかり、ずっと待っていた彼女の顔が遠慮気味に覗いた