kid × zoro
『二つ目の意味には気付いてない』
現パロ
クリスマスってキドゾの日なんすよイブも含めて
だって赤と緑じゃん
────────────────────
「寒過ぎんだろ」
タバコも吸わないくせに、文句を言いながら隣に来たキッドは上着も羽織っておらず本当に寒そうだった。それでも手に持った缶ビールを見て直ぐに戻るつもりがないことを察し、吐息のような笑みが零れる。自分が手にしている半分ほど減った缶ビールを乾杯のつもりでぶつけると、微かにあった隙間はゼロになり、キッドの体温がじわりと寄越されるのが、擽ったくも心地が良かった。後ろは相変わらず賑やかで、このベランダだけは積もった雪のように静かでまるで、別世界のようだった。
「なに黄昏てんだよ」
「楽しくて、ついな」
「……幸せ噛み締めてんのか」
茶化すでもなくそう零すキッドがどんな顔をしているのか見たくなり顔を向けると、目が合った。室内の灯りを受けようが、少し離れた街灯の僅かな光を受けようが、キッドの瞳は変わらぬ赤を湛えている。キッドの表情は声音の通り真剣そのもので、見たかった顔が見られたのだと今になってわかった。見つめ合ったまま数秒が経ち、あまりにも逸らされないものだから笑ってしまう。
「見過ぎだろ」
「そっちこそ」
「……なんだろうな、楽しいと少しだけ、一人になりたくなる」
「お前どんだけあいつらのこと好きなんだよ」
思いもよらぬことを言われ、呆気にとられる。何故そうなるのか。キッドにつられて少し後ろを振り返れば、皆がどんちゃん騒ぎを続けている。トラ男を構い過ぎて怒られてるルフィを筆頭に、怒ってはいるが嫌そうではないローも含め、誰も彼もが楽しげで、見ているだけで笑い声を聴くだけで、満たされた。ああ、と合点が行く。なるほど、そういうことか。
「一人になりたいんじゃなくて、少し離れてあいつらを見たいだけか」
「気付いてなかったのかよ」
「今気付いた」
「鈍過ぎんだろ」
「今は背中向けてるのに、よくわかったな」
「……見て、聴いて、浸ってんだろいつも。嬉しそうな顔で」
「いつも、見てたのか?おれを」
視線を戻してキッドを見上げると、今度は目が合わなかった。ベランダの向こうに広がるのは何の変哲もない住宅街だが、その灯りの中には今後ろにあるような幸福があるに違いない。そうであればいいと、思う。
「気付いたら、視線の先にお前がいんだよ」
お前が悪い、とでもいうような不満気にさえ聴こえる声音がなんだか子供のようで、微笑ましさすら感じた。自分よりもがたいが良く上背のある男をかわいらしいと形容したくなる。が、口にすればますます臍を曲げそうだ。
「それは、悪い気はしねぇな」
「そうかよ」
流石に冷えてきた身体が熱を求め、キッドの方へと身を寄せたがる。キッドも同じなのか肩だけが触れていたのに今では身体の側面をくっ付け、悪足掻きのように暖を取り合った。
この缶ビールが空になったら戻ろうと一口煽ると、キッドが何かを差し出してくる。手のひらに収まるそれは、小さな紙袋に入っていた。それなりにラッピングの施されたそれに、既視感を覚える。プレゼント交換ならばもう終わっているが、ここでそれを聞くのは野暮というものか。
「いいのか?」
「ここで駄目なんて言うわけねぇだろ」
それもそうだ、と受け取り中を改めると、小洒落たピアスが入っていた。赤い石があしらわれたそれは、自分が身に付けることに対して抵抗のないデザインだった。むしろ、好ましいとさえ思う。
「いつも同じの付けてんだろ。拘りねぇなら他のも付けろよ、もったいねぇ」
「落ち着くからこれってだけで拘りはねぇな。ありがとよ、今度付ける」
「そうしろ」
「これ、お前の目の色と同じだな」
間近で見たばかりだから、よくわかる。この赤はキッドの色に、よく似ていた。
「そういうのは気付いても言うんじゃねぇよ」
「駄目なのか?お前に見守られてる気がして、嬉しいけどな?」
「……お前はほんとに」
良いお守りになりそうだと付け加えると、キッドは深く長い溜息を吐き出す。かと思えば空になった缶を奪われ、顔を上げた瞬間鼻先が触れる距離で見つめられ、反射的に動きを止める。
「来年はお前がなんか寄越せ」
「お、おう」
そう答えるとキッドは満足気に笑い、先に室内へと戻って行った。何をやれば喜ぶのだろうかと考えながら、一年先なことに気が付きとりあえず貰ったピアスをポケットに入れ、開け放しで寒いと文句を言われる前に中へと入った。
(2024/12/24)
現パロ
クリスマスってキドゾの日なんすよイブも含めて
だって赤と緑じゃん
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「寒過ぎんだろ」
タバコも吸わないくせに、文句を言いながら隣に来たキッドは上着も羽織っておらず本当に寒そうだった。それでも手に持った缶ビールを見て直ぐに戻るつもりがないことを察し、吐息のような笑みが零れる。自分が手にしている半分ほど減った缶ビールを乾杯のつもりでぶつけると、微かにあった隙間はゼロになり、キッドの体温がじわりと寄越されるのが、擽ったくも心地が良かった。後ろは相変わらず賑やかで、このベランダだけは積もった雪のように静かでまるで、別世界のようだった。
「なに黄昏てんだよ」
「楽しくて、ついな」
「……幸せ噛み締めてんのか」
茶化すでもなくそう零すキッドがどんな顔をしているのか見たくなり顔を向けると、目が合った。室内の灯りを受けようが、少し離れた街灯の僅かな光を受けようが、キッドの瞳は変わらぬ赤を湛えている。キッドの表情は声音の通り真剣そのもので、見たかった顔が見られたのだと今になってわかった。見つめ合ったまま数秒が経ち、あまりにも逸らされないものだから笑ってしまう。
「見過ぎだろ」
「そっちこそ」
「……なんだろうな、楽しいと少しだけ、一人になりたくなる」
「お前どんだけあいつらのこと好きなんだよ」
思いもよらぬことを言われ、呆気にとられる。何故そうなるのか。キッドにつられて少し後ろを振り返れば、皆がどんちゃん騒ぎを続けている。トラ男を構い過ぎて怒られてるルフィを筆頭に、怒ってはいるが嫌そうではないローも含め、誰も彼もが楽しげで、見ているだけで笑い声を聴くだけで、満たされた。ああ、と合点が行く。なるほど、そういうことか。
「一人になりたいんじゃなくて、少し離れてあいつらを見たいだけか」
「気付いてなかったのかよ」
「今気付いた」
「鈍過ぎんだろ」
「今は背中向けてるのに、よくわかったな」
「……見て、聴いて、浸ってんだろいつも。嬉しそうな顔で」
「いつも、見てたのか?おれを」
視線を戻してキッドを見上げると、今度は目が合わなかった。ベランダの向こうに広がるのは何の変哲もない住宅街だが、その灯りの中には今後ろにあるような幸福があるに違いない。そうであればいいと、思う。
「気付いたら、視線の先にお前がいんだよ」
お前が悪い、とでもいうような不満気にさえ聴こえる声音がなんだか子供のようで、微笑ましさすら感じた。自分よりもがたいが良く上背のある男をかわいらしいと形容したくなる。が、口にすればますます臍を曲げそうだ。
「それは、悪い気はしねぇな」
「そうかよ」
流石に冷えてきた身体が熱を求め、キッドの方へと身を寄せたがる。キッドも同じなのか肩だけが触れていたのに今では身体の側面をくっ付け、悪足掻きのように暖を取り合った。
この缶ビールが空になったら戻ろうと一口煽ると、キッドが何かを差し出してくる。手のひらに収まるそれは、小さな紙袋に入っていた。それなりにラッピングの施されたそれに、既視感を覚える。プレゼント交換ならばもう終わっているが、ここでそれを聞くのは野暮というものか。
「いいのか?」
「ここで駄目なんて言うわけねぇだろ」
それもそうだ、と受け取り中を改めると、小洒落たピアスが入っていた。赤い石があしらわれたそれは、自分が身に付けることに対して抵抗のないデザインだった。むしろ、好ましいとさえ思う。
「いつも同じの付けてんだろ。拘りねぇなら他のも付けろよ、もったいねぇ」
「落ち着くからこれってだけで拘りはねぇな。ありがとよ、今度付ける」
「そうしろ」
「これ、お前の目の色と同じだな」
間近で見たばかりだから、よくわかる。この赤はキッドの色に、よく似ていた。
「そういうのは気付いても言うんじゃねぇよ」
「駄目なのか?お前に見守られてる気がして、嬉しいけどな?」
「……お前はほんとに」
良いお守りになりそうだと付け加えると、キッドは深く長い溜息を吐き出す。かと思えば空になった缶を奪われ、顔を上げた瞬間鼻先が触れる距離で見つめられ、反射的に動きを止める。
「来年はお前がなんか寄越せ」
「お、おう」
そう答えるとキッドは満足気に笑い、先に室内へと戻って行った。何をやれば喜ぶのだろうかと考えながら、一年先なことに気が付きとりあえず貰ったピアスをポケットに入れ、開け放しで寒いと文句を言われる前に中へと入った。
(2024/12/24)
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