ハンター試験編
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本日、ゴンのハンター試験への許可の最終日。この日を逃したら、来年までお預けになるのは明白。でも、ゴンは釣り上げた。大きな大きな魚の、沼のヌシ。彼も晴れて、ハンター試験への第一歩を踏み出した。
「元気でねー!!オレたち、絶対に立派なハンターになって戻ってくるからー!!」
翌日、ハンター試験会場へと向かう船に乗り、ミトさんたちに見送られる。彼女が手を振っているので、わたしも大きく両腕を振る。向こうも振り返してくれて、港が見えなくなるまで甲板の先端に立っていた。
周りを改めて見ると、体格が良い男性ばかり。わたしたちを見て、げらげら笑う人までいる。
「大丈夫だよ、オレたちは2人で良いハンターになるんでしょ?」
にこにこ笑顔を見せるゴンに、頷き返す。そして、すぐに海を眺めだした。
「さっき、船長さん言ってたけど。確かに、もうすぐで荒れるね」
潮風や波の立ち方、それらがこれからの風を示している。
間も無く風が強く吹き荒れ、船がぐわんぐわん大きく揺れだす。皆は船内の狭い室内で、ひたすらに揺れる。ゴンが揺れに対応しているのを、横目でちらりと捉えた。
中には肌面積が多く見える本を読んでいる人や、寝ている人までいる。自分はその室内の柱に鉤爪を突き刺して、体を動かさないようにしていた。
「ねえ、大丈夫?これを噛んだら、多少は気分は落ち着くから」
船の揺れが小さくなり、室内は伸びた人々で溢れかえる。彼らを、廊下まで引っ張り出したのは船員たち。その人たちに、手当てをするように薬草を差し出すゴン。
鉤爪をしまって、これをくれた漁師さんに脳内でお礼を言う。そして、ゴンに近寄ろうと足を動かす。
「あ、ナマエ!大丈夫だった?オレはしなくちゃいけないことあるから。後で良いかな」
手伝うと申し出ると、少し目を見開いた。その後、笑みを湛える。
「ありがとう!じゃあ、あっちの人たちにこの薬草を渡しておいて」
頷いて、その人たちに向かう。彼らに、薬草やコップ一杯の水を渡す。おおよそ、全員に渡った後に、ゴンの姿は無かった。彼を探しに船内を歩き回ると、甲板の上に立っている光景に出くわす。その近くには、酒瓶を手にした小太りの男性が居る。風貌や船員たちの呼ばれ方から、おそらく彼が船長だ。彼らに近寄ろうとすれば、操縦室へと向かったので追いかけることが叶わなかった。
とぼとぼ船内に戻ると、アナウンスが鳴り響く。これからの、より大きい嵐を告げるものだった。途端に、船内に居た人たちが船から出て行くように甲板へと向かいだす。付いて行くと、救命ボートに乗って船から離れて行く光景が見えた。あっという間に、船が静かになる。しかし、今度は船が軋む音で騒々しくなった。
「結局、客で残ったのはお前たちだけか……それぞれ名を聞こう」
船長に呼ばれて集まったのは、ハンター試験へと向かおうとしている人たち。金髪の人、スーツの人、ゴンとわたし。
「オレはゴン!」
「オレは、レオリオと言う者だ」
「私の名はクラピカ」
3人が雪崩れて言い続けたからか、自分が言う隙間が無かった。クラピカと名乗った人の後で、自分のことを名乗る。
直後、船長がハンターになりたい理由を問いかけてきた。レオリオさんは拒んだが、船長はどこ吹く風で答えを求めて来る。ゴンはすぐに理由を話したが、レオリオさんがそれを食い止めた。そして連なるように、クラピカさんも意見には賛成する。
「ほーお、そうかい。それじゃ、お前らも今すぐ船から降りな」
船長の目線が鋭くなる。反応したのは、クラピカさんとレオリオさん。
「まだ分からねーのか?もうハンター試験は、もう始まってんだよ」
わたしたちの現時点の合否は、彼に関わっている。皆は言い出す。クラピカさんはクルタ族の為、レオリオさんはお金の為。ゴンは既に言ったけど、ジンさんに会う為。
わたしも言おうとしたら、クラピカさんとレオリオさんは苛立ちを帯び出す。お互いにさっきのことを根に持っていたようで、鋭い言葉を投げ合っていた。次第に、レオリオさんの顔に青筋が浮かぶ。
「表へ出な、クラピカ。うす汚ねぇクルタ族とか言う、血を根絶やしにしてやるぜ」
「……取り消せ、レオリオ」
結局、わたしが言葉を挟む隙間が無かった。2回目。
ばちばちの火花を散らし、彼らは吹き荒む甲板へと出て行く。船長は彼らを止めようとしていたが、ゴンはそれを止める。
「その人を知りたければ、その人が何に怒ってるかを知れ……ミトおばさんに言われた、オレの好きな言葉なんだ」
わたしも言われた、ゴンとケンカした時に。自然が大好きで、ハンターへの憧れを止められない少年だと分かった。
船長は、彼らを追いかけることを止めた。しかし、嵐が大規模で強い。今の海に飲み込まれたら、ひとたまりもないのも事実。船員たちが荒れに荒れた甲板の上で、作業をこなしている。ゴンも、手伝い始めた。わたしも同様に、鉤爪を取り出して甲板に突き刺しながら手伝う。その間も、鋭い目を向け合う彼らは一触即発な雰囲気を帯びていた。
「わあっー!!」
吹き込む風の音と波音の間に、ばきっと割れる音と人の声が離れて行く。そっちへ向くと、男性が船から投げ出されようとしていた。
ゴンが駆け出し、自分も彼の後ろ姿を追いかける。緑色しか見えない。宙を舞う様子を見て、自分はその足を1つ掴む。じりじり追い込む腕の重みに耐えつつ、船の側面に咄嗟に鉤爪を突き刺そうとする。でも、船から遠くなっていく。腕が届かない、一気に血の気が引く。
「ゴン!ナマエ!」
「大丈夫か!」
わたしの宙に浮かぶ腕を掴んだのは、2人分の手。クラピカさんとレオリオさん。それに引き摺られて、甲板へと戻ることが出来た。ゴンと投げ出された船員も無事なようで、ほっと短い息を漏らす。
わたしたちの周りに、船員たちが近寄ってわあわあと騒ぐ。そんな彼らをかき分けてやって来たのは、わたしたちを引き上げた2人。
「何と言う無謀な!!下は激速の潮のうずで人魚さえ溺れる、危険海流だと言うのに!!」
「オレたちが、お前の腕を掴まなかったら、オメェらまで海のモクズだぞ!このボケ!!」
クラピカさんまで、先程までの静かな気配が消え失せていた。
レオリオさんに、額を思い切りぐりぐりされる。体がゆれて、ぐるぐると目を回してしまう。
「やめて、ナマエをいじめないでよ!」
「よそ事みたいに言ってるけどよ!!オメェもだぞ!ゴン!!」
ゴンも、レオリオさんに額をぐりぐりされている。頭が揺れて、目を回していた。
「で、でもっ、掴んでくれたじゃん。2人も、ナマエも」
視界が戻ったゴンは、2人を見てからわたしに目線を向ける。彼に向かって頷いてみせると、彼はにこっと笑った。
その様子につられてか、さっきまでケンカしていた2人には険しい様子は無くなっていた。寧ろ、微笑が湛えられている。彼らは仲直りを始め、同時に空は嵐が嘘のように青空が見えだしていた。その中で、唐突にがっはっはと大きく笑うのは船長だ。
「お前ら、気に入ったぜ!今日のオレ様は、すごく気分がいい!!お前ら4人は、オレ様が責任もって審査会場最寄りの港へ連れて行ってやらぁ!!」
重苦しい空気は無く、快晴の下で宣言する。ゴンは不思議そうな顔をしていたが、船長の言葉を聞いてからか嬉しそうに付いて行った。その場で留まって、鉤爪をしまう。
「ナマエ、どうして君は彼と同様に無茶をする」
近寄って来たのは、クラピカさんだった。一瞬だけ、その人の顔を見る。そして、すぐにもう見えないゴンの方へと向いた。その後、口を動かす。
「なに……?彼に憧れていると……?」
少し拍子抜けしたような声で、返事をしてきた。言葉に頷き、今度は空を向く。その先にほんのちょっぴり、陸の輪郭が見えた。
「元気でねー!!オレたち、絶対に立派なハンターになって戻ってくるからー!!」
翌日、ハンター試験会場へと向かう船に乗り、ミトさんたちに見送られる。彼女が手を振っているので、わたしも大きく両腕を振る。向こうも振り返してくれて、港が見えなくなるまで甲板の先端に立っていた。
周りを改めて見ると、体格が良い男性ばかり。わたしたちを見て、げらげら笑う人までいる。
「大丈夫だよ、オレたちは2人で良いハンターになるんでしょ?」
にこにこ笑顔を見せるゴンに、頷き返す。そして、すぐに海を眺めだした。
「さっき、船長さん言ってたけど。確かに、もうすぐで荒れるね」
潮風や波の立ち方、それらがこれからの風を示している。
間も無く風が強く吹き荒れ、船がぐわんぐわん大きく揺れだす。皆は船内の狭い室内で、ひたすらに揺れる。ゴンが揺れに対応しているのを、横目でちらりと捉えた。
中には肌面積が多く見える本を読んでいる人や、寝ている人までいる。自分はその室内の柱に鉤爪を突き刺して、体を動かさないようにしていた。
「ねえ、大丈夫?これを噛んだら、多少は気分は落ち着くから」
船の揺れが小さくなり、室内は伸びた人々で溢れかえる。彼らを、廊下まで引っ張り出したのは船員たち。その人たちに、手当てをするように薬草を差し出すゴン。
鉤爪をしまって、これをくれた漁師さんに脳内でお礼を言う。そして、ゴンに近寄ろうと足を動かす。
「あ、ナマエ!大丈夫だった?オレはしなくちゃいけないことあるから。後で良いかな」
手伝うと申し出ると、少し目を見開いた。その後、笑みを湛える。
「ありがとう!じゃあ、あっちの人たちにこの薬草を渡しておいて」
頷いて、その人たちに向かう。彼らに、薬草やコップ一杯の水を渡す。おおよそ、全員に渡った後に、ゴンの姿は無かった。彼を探しに船内を歩き回ると、甲板の上に立っている光景に出くわす。その近くには、酒瓶を手にした小太りの男性が居る。風貌や船員たちの呼ばれ方から、おそらく彼が船長だ。彼らに近寄ろうとすれば、操縦室へと向かったので追いかけることが叶わなかった。
とぼとぼ船内に戻ると、アナウンスが鳴り響く。これからの、より大きい嵐を告げるものだった。途端に、船内に居た人たちが船から出て行くように甲板へと向かいだす。付いて行くと、救命ボートに乗って船から離れて行く光景が見えた。あっという間に、船が静かになる。しかし、今度は船が軋む音で騒々しくなった。
「結局、客で残ったのはお前たちだけか……それぞれ名を聞こう」
船長に呼ばれて集まったのは、ハンター試験へと向かおうとしている人たち。金髪の人、スーツの人、ゴンとわたし。
「オレはゴン!」
「オレは、レオリオと言う者だ」
「私の名はクラピカ」
3人が雪崩れて言い続けたからか、自分が言う隙間が無かった。クラピカと名乗った人の後で、自分のことを名乗る。
直後、船長がハンターになりたい理由を問いかけてきた。レオリオさんは拒んだが、船長はどこ吹く風で答えを求めて来る。ゴンはすぐに理由を話したが、レオリオさんがそれを食い止めた。そして連なるように、クラピカさんも意見には賛成する。
「ほーお、そうかい。それじゃ、お前らも今すぐ船から降りな」
船長の目線が鋭くなる。反応したのは、クラピカさんとレオリオさん。
「まだ分からねーのか?もうハンター試験は、もう始まってんだよ」
わたしたちの現時点の合否は、彼に関わっている。皆は言い出す。クラピカさんはクルタ族の為、レオリオさんはお金の為。ゴンは既に言ったけど、ジンさんに会う為。
わたしも言おうとしたら、クラピカさんとレオリオさんは苛立ちを帯び出す。お互いにさっきのことを根に持っていたようで、鋭い言葉を投げ合っていた。次第に、レオリオさんの顔に青筋が浮かぶ。
「表へ出な、クラピカ。うす汚ねぇクルタ族とか言う、血を根絶やしにしてやるぜ」
「……取り消せ、レオリオ」
結局、わたしが言葉を挟む隙間が無かった。2回目。
ばちばちの火花を散らし、彼らは吹き荒む甲板へと出て行く。船長は彼らを止めようとしていたが、ゴンはそれを止める。
「その人を知りたければ、その人が何に怒ってるかを知れ……ミトおばさんに言われた、オレの好きな言葉なんだ」
わたしも言われた、ゴンとケンカした時に。自然が大好きで、ハンターへの憧れを止められない少年だと分かった。
船長は、彼らを追いかけることを止めた。しかし、嵐が大規模で強い。今の海に飲み込まれたら、ひとたまりもないのも事実。船員たちが荒れに荒れた甲板の上で、作業をこなしている。ゴンも、手伝い始めた。わたしも同様に、鉤爪を取り出して甲板に突き刺しながら手伝う。その間も、鋭い目を向け合う彼らは一触即発な雰囲気を帯びていた。
「わあっー!!」
吹き込む風の音と波音の間に、ばきっと割れる音と人の声が離れて行く。そっちへ向くと、男性が船から投げ出されようとしていた。
ゴンが駆け出し、自分も彼の後ろ姿を追いかける。緑色しか見えない。宙を舞う様子を見て、自分はその足を1つ掴む。じりじり追い込む腕の重みに耐えつつ、船の側面に咄嗟に鉤爪を突き刺そうとする。でも、船から遠くなっていく。腕が届かない、一気に血の気が引く。
「ゴン!ナマエ!」
「大丈夫か!」
わたしの宙に浮かぶ腕を掴んだのは、2人分の手。クラピカさんとレオリオさん。それに引き摺られて、甲板へと戻ることが出来た。ゴンと投げ出された船員も無事なようで、ほっと短い息を漏らす。
わたしたちの周りに、船員たちが近寄ってわあわあと騒ぐ。そんな彼らをかき分けてやって来たのは、わたしたちを引き上げた2人。
「何と言う無謀な!!下は激速の潮のうずで人魚さえ溺れる、危険海流だと言うのに!!」
「オレたちが、お前の腕を掴まなかったら、オメェらまで海のモクズだぞ!このボケ!!」
クラピカさんまで、先程までの静かな気配が消え失せていた。
レオリオさんに、額を思い切りぐりぐりされる。体がゆれて、ぐるぐると目を回してしまう。
「やめて、ナマエをいじめないでよ!」
「よそ事みたいに言ってるけどよ!!オメェもだぞ!ゴン!!」
ゴンも、レオリオさんに額をぐりぐりされている。頭が揺れて、目を回していた。
「で、でもっ、掴んでくれたじゃん。2人も、ナマエも」
視界が戻ったゴンは、2人を見てからわたしに目線を向ける。彼に向かって頷いてみせると、彼はにこっと笑った。
その様子につられてか、さっきまでケンカしていた2人には険しい様子は無くなっていた。寧ろ、微笑が湛えられている。彼らは仲直りを始め、同時に空は嵐が嘘のように青空が見えだしていた。その中で、唐突にがっはっはと大きく笑うのは船長だ。
「お前ら、気に入ったぜ!今日のオレ様は、すごく気分がいい!!お前ら4人は、オレ様が責任もって審査会場最寄りの港へ連れて行ってやらぁ!!」
重苦しい空気は無く、快晴の下で宣言する。ゴンは不思議そうな顔をしていたが、船長の言葉を聞いてからか嬉しそうに付いて行った。その場で留まって、鉤爪をしまう。
「ナマエ、どうして君は彼と同様に無茶をする」
近寄って来たのは、クラピカさんだった。一瞬だけ、その人の顔を見る。そして、すぐにもう見えないゴンの方へと向いた。その後、口を動かす。
「なに……?彼に憧れていると……?」
少し拍子抜けしたような声で、返事をしてきた。言葉に頷き、今度は空を向く。その先にほんのちょっぴり、陸の輪郭が見えた。