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ある日、ぶつかった君との出来事

ある出来事が深く反省する事になるなんて、微塵にも思っていなかったんだ。私一人の決断がだよ、大きいことに繋がるなどと思いもしなかったんだ。


安易な判断をした私がよくなかっただけのことだよ。しかしだよ、私はね、この結果が私自身に起きたことで良かったと、これは先祖や神からの計らいだと思えるようになったのだよ。なぜかというとね、それはやはり、タイミングだったのかもしれない。



私はね、親友を裏切ってしまったんだ。助けられなかったという事だよ。彼はね、酷く生活苦でね。それを助けられなかった。

彼自身の問題でもあると決めつけたかった。なぜなら金の切れ目が縁の切れ目と言うだろう。私自身も生活が裕福ではないから、彼の腹をみて、助けなかったんだ。


そうしたらね、しばらくして頼りが届いたんだ。風の便りがね。彼が死んだと聞かされたんだ。私は血の気が引いた所の話しではない。なんてことをしてしまったんだ、と誰に謝ればよいかも分からない状態で生活を送ることになったのだよ。


分かるかい。
いや、分からないでくれ。


しかし、生活はしなければならない。後悔ばかりしていてもと思いつつもだよ。こんな選択はあってはならないとさらに自身を責め立て続けたんだ。

それでもね、あれが私の精一杯の理由として、自己都合だったけれど、と言い訳をしつつ生活をしてきた。


しかし、ある出会いが私の転機となったんだ。それは、妻との出会いだ。




見た目は普通を装って生活している私をあっけなく見破ったのは、彼女が初めてだったのだよ。なんて人だと恨みそうになった。でもね、それで良かった。救われたと、これが人なんだなと私は私を人としての私を認めざるを得なかったし、受け入れられたんだ。




そして彼女と結婚をし、子供も出来、今の生活をしているのだけれど、やはり今日までどこか後ろ髪を引かれる思いと、後悔は切り離せないで来たのだよ。どうしても彼のことが頭から離れなくてね。


でもね、また彼女に見透かされてしまった。それが今の私に繋がっているのだけれど。



これはもう、彼女との出会いが全ての計らいと思わざるを得ないのではないか、と勝手に嬉しくなってしまった。犯罪とも言えない犯罪をした私がだよ、喜んで良い訳はないのだけれど、生かされたと思うしかないじゃないか。


だからね、私は彼女に告げたんだ。
「ありがとう」とね。



惚気話しのようで申し訳ない。
こんな人生もあるんだと、流していただいて構わない。今日はね、結婚して6年記念日なんだ。それもあって浮かれてしまった。子供たちへのプレゼントも買っていかないとなのだよ。


立ち話し、付き合っていただいて感謝するよ。お礼にこれを。





それでは、お元気で。






━━そういうと彼はさっさっと歩いて行ってしまった。いや、いい話しを聞けたと私は嬉しく思っている。



それでも、忘れてしまったのかい、私の顔を。
なんて、私も生活が変わってしまったから風貌も何もかもが違うから分からないだろう。それでもあえてぶつかって良かったよ。
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