無自覚リア充爆発しろ。

午後の授業も終わって放課後。

「腹減ったー。何か食って帰ろーぜー」
「アイス食べたい、アイス」
「いいねー」

ということで、男4人でぞろぞろアイスの専門店へ。
コンビニアイスでもいいけど、たまにはいいモン食いてえな!ってことで。

「拓也拓也、半分こしようぜ♪」
「いいね。ゴンちゃん何にする?」

ゴン拓組は相変わらず仲いいな。感覚が小学生のままだぜ。
俺と昭広でやったら……微妙すぎる。

「おしっ。俺このパチパチ弾けるヤツ。ここでしか食えないしっ」
「あ、それ食べてて楽しいよね。僕は……チョコミントとメロンシャーベット悩むなー。ゴンちゃんどっち食べたい?」
「んじゃ、チョコミント」
「俺、チョコチップにしよー。昭広は?」
「決めた」

そう呟くと、スタスタとレジへ向かいオーダー。
こういうことは、割とサクッと決めるよな昭広は。

続いて後藤、俺、最後に拓也がオーダーして先に昭広が着いていたテーブル席へ。すると。

「榎木」

後藤と中身を半分ずつトレードした拓也のカップの中へ、昭広が自分のアイスを半分入れた。

「え?」
「メロンシャーベット。半分やる」
「いいの?じゃあ、僕のも半分…」
「いいよ。後藤とトレードしたからなくなるだろ。俺半分でいいし」

昭広……んなこと考えてたのか。
拓也のこととなると、気の遣い方が違うな。俺には絶対ない。別にいらんけど。

「ありがとー。…やっぱり藤井君って、面倒見いいよねー。一加ちゃんやマー坊にもそうやっておやつあげちゃうんでしょ」

……伝わってない。伝わってないよ、昭広。

俺と後藤があまりのいたたまれなさに、昭広に視線を送る。

「何だよ」
「いや、うん。俺のチョコチップひと口やるからよ」
「いらねーよ」

言いながら、ニコニコ笑顔でアイスを頬張る拓也をチラ見。
そして、そんな様子の拓也に昭広も満足そうにひと口。
まあ、拓也相手だと、長期戦は覚悟だな、昭広。





次の日。
「あ、おはよー藤井君」
「……今度は何時までやってたんだ?」
昨日とデジャヴを感じるこの光景。

「あー、何時だったかな。忘れた…」
そして、拓也の肩に凭れ掛かる。
「藤井君…平日はちゃんと夜寝なきゃダメだよ……」
「んで、どこまで行ったんだ?」
「第5章……」
「おー!だいぶ進んだなー!」
思わずノッてしまった俺に「森口君!!」と拓也のお説教。

「もう藤井君!起きないと、コレあげない」
「ん?」

拓也が上着のポケットから出したのは、小さな透明のラッピング袋。
その中にはクッキーが入っている。

「昨日のお礼。実と作ったんだよ」
肩口から顔を上げた昭広に上目遣いでそれを差し出す。

「バッチリ目が覚めました」

……現金だな昭広。そして俺、もしかして存在忘れられてる…?

何なのコイツら。無自覚両片想いって、実は公害?

そう思って視線を巡らすと、丁度走って来た後藤と目が合った。

「おー、森ぐ」
「今日は、隣の車両に二人で乗ろうぜ」
「お?あ!? 何!?」

後藤の腕を引っ張って隣の車両の列へ付く。

あいつらがくっつくのも、時間の問題かもしれない。
いや、拓也の鈍感っぷりは筋金入りだから、フィフティフィフティか…?
どちらにせよ、早く自覚してもらって、人目を気にしてほしいもんだ、と思わず溜め息を吐いた俺たちだった。


-2014.04.29 UP-
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