無自覚リア充爆発しろ。
4限目の授業が終わると、待ちに待った昼休み。
俺たち4人は大体弁当や購買で買ったパンを持って、屋上へと移動するわけだが。
「拓也、さっき女子と何話してたん?」
早速さっきの話題を振ってみる。
「え…っ!?」
唐揚げを掴もうとした箸をピタリと止め、弁当箱から視線を俺に向けて聞き返してきた。
「さっき。女子と何か話してただろ」
「う、うん」
たどたどしく返事をしながら、チラリと昭広に視線を送る。
「何でもないよー」
そして、唐揚げの隣にあったブロッコリーを箸で掴んだ。
「別に言ってもいいんじゃね?」
「ゴ、ゴンちゃんっ」
別に拓也が気にすることでもないんだしーと、デカイおにぎりを頬張りながら後藤が言う。
ということは、特にあの女子たちが拓也に云々ってワケではないのか。
「藤井君、気を悪くしないでね…?」
「あ?」
昭広、興味ありませーんって装っていた割に自分への問いかけに即反応。やっぱ気にしてたんじゃねーか。
「藤井君の、女の子の好み訊かれたんだ」
言いづらそうに、瞳を伏せて言う拓也に、昭広は無言で見つめ返しているが。
「榎木…」
「あ、でも!知らないって言ったから…実際知らないし……」
ぱっと顔を上げて言ったと思ったら、段々声が小さくなると共に、また顔を俯かせる。
お…?拓也のこの反応は…?
「おい、後藤、ちょっと来い」
「あ?」
拓也の弁当箱から唐揚げを一つ失敬している後藤の腕を掴み、ちょっと離れた所へ引きずって行く。
「拓也の唐揚げ美味い」
「そりゃ良かったな。で、拓也って、好きなヤツいるの?」
「あ?あー…おっと俺の口からじゃ言えねぇなぁ」
モゴモゴと口を動かしながら顎に親指と人差し指を当てて気取って答えるが。
「それっているって言ってるようなモンじゃねーか。ぶっちゃけ昭広?」
単刀直入に訊く。
「違う。俺」
瞬間、スパンと後藤の頭をはたいていた。
「ってーな!」
「俺ゃ、お前とコントやりてえわけじゃねんだよっ。昭広だろ、あの態度!」
チラリと置き去りにした二人に視線をよこすと、何だか気まずい雰囲気に包まれている様子が手に取るように分かる。
「まあ…、実際拓也の口からハッキリ聞いたわけじゃないけど……俺も薄々感じてはいるよ」
俺がはたいた部分を自分でさすりながら、後藤は拓也の方を見ながらしみじみ言った。
「お前、いい加減に見えて、実は拓也のことはしっかり見てるもんな」
小学校卒業間際の、あの時の後藤の立ち振る舞いは、事情を知った俺と昭広から見ても、見事なものだった。
拓也に関してそういう意味では、俺も昭広も、後藤には敵わない。
自分の好きな相手の想い人が自分の親友と知っても尚、相手を認めそれでいて変わらず親友で在り続けるのは、凄く難しい。
だからこそ、それを知った時の拓也は、後藤以上に動揺して悩みまくっていたわけだが。
「拓也はさ、自分のことは後回しで周りに気を遣ったり、必要以上に頑張ったりするからさ。俺がバカやってるように見せかけてるのは、実は拓也を癒す為なんだぜ」
と言いながら、お得意のクネクネダンスを披露するが。
「お前のバカは地だろが。まあでも、言ってることは分かる。で?お前はそれで拓也のその想いは応援してるわけ?」
「そりゃ、拓也が望むなら。ただ、まだ拓也自身が無自覚だしな。気づいて自分から言ったり相談持ちかけてこない限りは、こっちも見て見ぬフリする」
「そっか、そうだよな」
後藤はがさつに見えるけど、本当に友達思いのいいヤツだ。
その辺、女子の皆さんも評価してやってほしい。
「んで、そろそろ戻っていいか?俺昼飯途中なんだけど」
「お?おお」
言うが早いか元いた場所に戻る後藤。
「あぁ!? 拓也っ。俺の唐揚げは!?」
「食べちゃったし……そもそもゴンちゃんのじゃなくて僕のだよ」
もっと食べたかったーと言う後藤に、また今度ねーと言いながら食べ終わった弁当箱を片付ける拓也を横目に、俺も元いた昭広の隣に座る。
「拓也と何か話した?」
「特に何も」
昭広もまた食べ終わったパンの袋を丸めて、購買の紙袋に詰め込むとゴロンと横になった。
「寝る。時間になったら起こして」
「安心しろ。置いてってやっから」
「榎木、頼む」
「うん。おやすみ、藤井君」
既に目を閉じている昭広は俺の返事をサラッとスルーし、拓也に声をかけると、拓也は笑んで返事をした。
そう言えば、この二人実は両想いってことか。
……まだ教えてやんねーけど。
俺たち4人は大体弁当や購買で買ったパンを持って、屋上へと移動するわけだが。
「拓也、さっき女子と何話してたん?」
早速さっきの話題を振ってみる。
「え…っ!?」
唐揚げを掴もうとした箸をピタリと止め、弁当箱から視線を俺に向けて聞き返してきた。
「さっき。女子と何か話してただろ」
「う、うん」
たどたどしく返事をしながら、チラリと昭広に視線を送る。
「何でもないよー」
そして、唐揚げの隣にあったブロッコリーを箸で掴んだ。
「別に言ってもいいんじゃね?」
「ゴ、ゴンちゃんっ」
別に拓也が気にすることでもないんだしーと、デカイおにぎりを頬張りながら後藤が言う。
ということは、特にあの女子たちが拓也に云々ってワケではないのか。
「藤井君、気を悪くしないでね…?」
「あ?」
昭広、興味ありませーんって装っていた割に自分への問いかけに即反応。やっぱ気にしてたんじゃねーか。
「藤井君の、女の子の好み訊かれたんだ」
言いづらそうに、瞳を伏せて言う拓也に、昭広は無言で見つめ返しているが。
「榎木…」
「あ、でも!知らないって言ったから…実際知らないし……」
ぱっと顔を上げて言ったと思ったら、段々声が小さくなると共に、また顔を俯かせる。
お…?拓也のこの反応は…?
「おい、後藤、ちょっと来い」
「あ?」
拓也の弁当箱から唐揚げを一つ失敬している後藤の腕を掴み、ちょっと離れた所へ引きずって行く。
「拓也の唐揚げ美味い」
「そりゃ良かったな。で、拓也って、好きなヤツいるの?」
「あ?あー…おっと俺の口からじゃ言えねぇなぁ」
モゴモゴと口を動かしながら顎に親指と人差し指を当てて気取って答えるが。
「それっているって言ってるようなモンじゃねーか。ぶっちゃけ昭広?」
単刀直入に訊く。
「違う。俺」
瞬間、スパンと後藤の頭をはたいていた。
「ってーな!」
「俺ゃ、お前とコントやりてえわけじゃねんだよっ。昭広だろ、あの態度!」
チラリと置き去りにした二人に視線をよこすと、何だか気まずい雰囲気に包まれている様子が手に取るように分かる。
「まあ…、実際拓也の口からハッキリ聞いたわけじゃないけど……俺も薄々感じてはいるよ」
俺がはたいた部分を自分でさすりながら、後藤は拓也の方を見ながらしみじみ言った。
「お前、いい加減に見えて、実は拓也のことはしっかり見てるもんな」
小学校卒業間際の、あの時の後藤の立ち振る舞いは、事情を知った俺と昭広から見ても、見事なものだった。
拓也に関してそういう意味では、俺も昭広も、後藤には敵わない。
自分の好きな相手の想い人が自分の親友と知っても尚、相手を認めそれでいて変わらず親友で在り続けるのは、凄く難しい。
だからこそ、それを知った時の拓也は、後藤以上に動揺して悩みまくっていたわけだが。
「拓也はさ、自分のことは後回しで周りに気を遣ったり、必要以上に頑張ったりするからさ。俺がバカやってるように見せかけてるのは、実は拓也を癒す為なんだぜ」
と言いながら、お得意のクネクネダンスを披露するが。
「お前のバカは地だろが。まあでも、言ってることは分かる。で?お前はそれで拓也のその想いは応援してるわけ?」
「そりゃ、拓也が望むなら。ただ、まだ拓也自身が無自覚だしな。気づいて自分から言ったり相談持ちかけてこない限りは、こっちも見て見ぬフリする」
「そっか、そうだよな」
後藤はがさつに見えるけど、本当に友達思いのいいヤツだ。
その辺、女子の皆さんも評価してやってほしい。
「んで、そろそろ戻っていいか?俺昼飯途中なんだけど」
「お?おお」
言うが早いか元いた場所に戻る後藤。
「あぁ!? 拓也っ。俺の唐揚げは!?」
「食べちゃったし……そもそもゴンちゃんのじゃなくて僕のだよ」
もっと食べたかったーと言う後藤に、また今度ねーと言いながら食べ終わった弁当箱を片付ける拓也を横目に、俺も元いた昭広の隣に座る。
「拓也と何か話した?」
「特に何も」
昭広もまた食べ終わったパンの袋を丸めて、購買の紙袋に詰め込むとゴロンと横になった。
「寝る。時間になったら起こして」
「安心しろ。置いてってやっから」
「榎木、頼む」
「うん。おやすみ、藤井君」
既に目を閉じている昭広は俺の返事をサラッとスルーし、拓也に声をかけると、拓也は笑んで返事をした。
そう言えば、この二人実は両想いってことか。
……まだ教えてやんねーけど。