変わらぬ想いを抱いて
週末の蜜月を存分に堪能した甲斐あってか、週明けにあったコンペは無事終了し、俺のプレゼンもなかなか好評のようだった。
それを受けて、また少し忙しくなってしまった週の真ん中を過ごし再び週末。
今週は、榎木家に客が来るとかで、俺はフリーの週末なワケなのだが。
ピンポーン。
ダラダラと家で過ごしていたら、インターホンが鳴った。
誰だ?仁志か?いや、アイツだったら、一度メールなり電話なり寄越す筈。
(学生の頃はアポなしが多かったが、流石に今はお互い忙しい身だから、ハズシを回避するようになった)
身に覚えのない来客に無視したれと思って動かないでいたら、ガチャガチャと鍵を開ける音がし始めた。
おい?拓也は今日用事がある筈…っ。
「何だ、やっぱりいるじゃない、お兄ちゃん!!」
「お前か…」
現れたのは現役女子高生…も三年になった一加。
実家にもここのスペアキーを一つ預けてあるから、それを持ち出して来たんだな。
「何の用だよ」
「冷たいわねぇ、女子高生がわざわざ来てあげたって言うのに」
「お前、受験勉強はいいのかよ」
「息抜き!買い物付き合って」
ニッコリ笑っていいでしょ?という妹に、思いっきり嫌な顔を向ける。
「冗談。俺はそんなにヒマ」
「でしょ?」
俺の言葉に被せるように決めつけ発言。
「だって、今日 実ちゃん家、お客様来るから拓也お兄様との約束はない筈だし、こんな時間までそんな格好でゴロゴロしてた人に予定があるなんて思えない」
時刻は昼前、格好は上下スウェット。
「社会人の彼氏がいる友達から、ステキなカフェ教えてもらったんだー。教えてあげるからそこにランチ行こうよー。今度拓也お兄様連れてったら、きっと喜ぶよー」
「…………」
痛いツボ押してくるじゃねーか…。
呆れた睨みと共に一つ溜め息を吐いて、降参。
「…シャワー浴びて来っから、待ってろ」
「やった!お兄ちゃん大好きー」
「…お前、友也にも同じ手使ってタカってっだろ」
「バレた?若いうちに女子力は使わなきゃね~。流石に年下の実ちゃんにお金出させるわけにはいかないし」
こえー、女子高生こえー。
一加に急かされ出掛ける支度をし、外出。
何が悲しくて、貴重な休日に妹と出掛けなきゃならんのか。
「奢るのは昼飯だけだぞー。服やら何やらは自分の小遣いで買えよー」
「分かってるわよぅ」
自宅の最寄駅から電車に乗り、繁華街の最寄駅へ。
まずは腹ごしらえと、一加のオススメのカフェとやらに向かうべく駅を出た、所謂 駅前の待ち合わせスポットに見つけたよく知る姿。
「拓也!?」
「実ちゃん!!」
「藤井君!」
「一加ちゃん」
…と、外人!?
「うわ~偶然!何でこんな所に?」
「一加にせがまれて出てきた……お前は?今日来客あったんじゃ?」
言いつつ、拓也と実の間にいる金髪碧眼の男を訝し見る。
「あぁ、うん。彼がそう。ここまで迎えに来て、今合流したところなんだ」
「タクヤ、誰?」
そこまで言うと、その男は会話に入ってきた。
「クリス。彼はアキヒロ・フジイ、と、彼の妹のイチカ・フジイ。藤井君、一加ちゃん、この人はクリストファー・ロビンソン。小6の時ハワイ行った時に、知り合ったんだ」
「アキヒロ、イチカ、よろしく」
ソイツは俺と一加と握手を交わして、一加にはそのまま指先にキス。
…おぉ、流石外国人。ホントにするんだな、こういうコト…。
「…って、日本語通じるのか?」
拓也にコソッと耳打ちしたら、聞こえたらしく
「ハワイは日本人も多いからな。学生の時に専攻して覚えたんだ。将来の仕事の幅も広がると思ったし」
と流暢な日本語で返された。
「うん、クリス日本語上手くて僕もビックリしたー。僕は英語ヒアリングはまだしも、話すのはあんまりだから…」
恥ずかしそうに頬を掻く拓也に
「子どもの頃は、お互い言葉通じなかったもんなー」
と、拓也の手を取り、掻いていた頬に軽く…キス…!?
「クックリス!!」
赤くなって触れた箇所を押さえる拓也をよそに、「実は、もはや日本語でもなかった」と笑って実の頭をクシャリとする。
「だっ、だって、あの頃はまだ3歳だったし!!」
頭撫でるなーと、笑うクリスの手を退かして反論する実はこの際、俺にはどうでもいい。
今のは、あちらの国のスキンシップ…で、いいんだよな!?
「タクヤ、ミノル。そろそろタクヤ達の家行きたいな。ハルミにも早く会いたい」
「あ、そうだね。パパも待ってるし、行こっか。じゃあまたね、藤井君、一加ちゃん」
半ば呆然としている俺とミーハー精神で目をキラキラさせている一加に手を振る拓也と実の間で見せた、クリスの笑み。
(…何か引っかかるな…)
不快というか、不安…というか、ざわざわするものを感じながら、駅内に入って行く三人を見送った。
それを受けて、また少し忙しくなってしまった週の真ん中を過ごし再び週末。
今週は、榎木家に客が来るとかで、俺はフリーの週末なワケなのだが。
ピンポーン。
ダラダラと家で過ごしていたら、インターホンが鳴った。
誰だ?仁志か?いや、アイツだったら、一度メールなり電話なり寄越す筈。
(学生の頃はアポなしが多かったが、流石に今はお互い忙しい身だから、ハズシを回避するようになった)
身に覚えのない来客に無視したれと思って動かないでいたら、ガチャガチャと鍵を開ける音がし始めた。
おい?拓也は今日用事がある筈…っ。
「何だ、やっぱりいるじゃない、お兄ちゃん!!」
「お前か…」
現れたのは現役女子高生…も三年になった一加。
実家にもここのスペアキーを一つ預けてあるから、それを持ち出して来たんだな。
「何の用だよ」
「冷たいわねぇ、女子高生がわざわざ来てあげたって言うのに」
「お前、受験勉強はいいのかよ」
「息抜き!買い物付き合って」
ニッコリ笑っていいでしょ?という妹に、思いっきり嫌な顔を向ける。
「冗談。俺はそんなにヒマ」
「でしょ?」
俺の言葉に被せるように決めつけ発言。
「だって、今日 実ちゃん家、お客様来るから拓也お兄様との約束はない筈だし、こんな時間までそんな格好でゴロゴロしてた人に予定があるなんて思えない」
時刻は昼前、格好は上下スウェット。
「社会人の彼氏がいる友達から、ステキなカフェ教えてもらったんだー。教えてあげるからそこにランチ行こうよー。今度拓也お兄様連れてったら、きっと喜ぶよー」
「…………」
痛いツボ押してくるじゃねーか…。
呆れた睨みと共に一つ溜め息を吐いて、降参。
「…シャワー浴びて来っから、待ってろ」
「やった!お兄ちゃん大好きー」
「…お前、友也にも同じ手使ってタカってっだろ」
「バレた?若いうちに女子力は使わなきゃね~。流石に年下の実ちゃんにお金出させるわけにはいかないし」
こえー、女子高生こえー。
一加に急かされ出掛ける支度をし、外出。
何が悲しくて、貴重な休日に妹と出掛けなきゃならんのか。
「奢るのは昼飯だけだぞー。服やら何やらは自分の小遣いで買えよー」
「分かってるわよぅ」
自宅の最寄駅から電車に乗り、繁華街の最寄駅へ。
まずは腹ごしらえと、一加のオススメのカフェとやらに向かうべく駅を出た、所謂 駅前の待ち合わせスポットに見つけたよく知る姿。
「拓也!?」
「実ちゃん!!」
「藤井君!」
「一加ちゃん」
…と、外人!?
「うわ~偶然!何でこんな所に?」
「一加にせがまれて出てきた……お前は?今日来客あったんじゃ?」
言いつつ、拓也と実の間にいる金髪碧眼の男を訝し見る。
「あぁ、うん。彼がそう。ここまで迎えに来て、今合流したところなんだ」
「タクヤ、誰?」
そこまで言うと、その男は会話に入ってきた。
「クリス。彼はアキヒロ・フジイ、と、彼の妹のイチカ・フジイ。藤井君、一加ちゃん、この人はクリストファー・ロビンソン。小6の時ハワイ行った時に、知り合ったんだ」
「アキヒロ、イチカ、よろしく」
ソイツは俺と一加と握手を交わして、一加にはそのまま指先にキス。
…おぉ、流石外国人。ホントにするんだな、こういうコト…。
「…って、日本語通じるのか?」
拓也にコソッと耳打ちしたら、聞こえたらしく
「ハワイは日本人も多いからな。学生の時に専攻して覚えたんだ。将来の仕事の幅も広がると思ったし」
と流暢な日本語で返された。
「うん、クリス日本語上手くて僕もビックリしたー。僕は英語ヒアリングはまだしも、話すのはあんまりだから…」
恥ずかしそうに頬を掻く拓也に
「子どもの頃は、お互い言葉通じなかったもんなー」
と、拓也の手を取り、掻いていた頬に軽く…キス…!?
「クックリス!!」
赤くなって触れた箇所を押さえる拓也をよそに、「実は、もはや日本語でもなかった」と笑って実の頭をクシャリとする。
「だっ、だって、あの頃はまだ3歳だったし!!」
頭撫でるなーと、笑うクリスの手を退かして反論する実はこの際、俺にはどうでもいい。
今のは、あちらの国のスキンシップ…で、いいんだよな!?
「タクヤ、ミノル。そろそろタクヤ達の家行きたいな。ハルミにも早く会いたい」
「あ、そうだね。パパも待ってるし、行こっか。じゃあまたね、藤井君、一加ちゃん」
半ば呆然としている俺とミーハー精神で目をキラキラさせている一加に手を振る拓也と実の間で見せた、クリスの笑み。
(…何か引っかかるな…)
不快というか、不安…というか、ざわざわするものを感じながら、駅内に入って行く三人を見送った。