報告!一加のお兄ちゃん観察リポート☆
私にはお兄ちゃんが二人います。
上の友也兄ちゃんは、歳がうんと離れてるし、今は大学生でお家を出てるから最近はあまり接していないけど、保育園の頃は煩い扱いされながらも、たまに遊びに連れてってくれたし、性格も楽しくて嫌いじゃない。
それに比べて、下の昭広兄ちゃんは、はっきり言って何を考えてるのか解らない、妹からしたら変人よね、うん。
デリカシーもないし、ユーモアにも欠けるし、すぐ怒るし…見た目は、まあ良い方だとは思うけど。
私の友達や昭広兄ちゃんの周りは、「クールでカッコイイ」って評価らしいけど、私はゴメンだわ。
やっぱりオトコは優しくなくちゃ!
その点、実ちゃんや拓也お兄様はパーフェクトよ!
そう!その拓也お兄様!
何をどうしてか、昭広兄ちゃんとお付き合い中。
拓也お兄様…実ちゃんの証言だと毎年のバレンタインデーにはチョコは山のようだし(そこは昭広兄ちゃんもだけど…)、絶対女の子にモテるのに、何で昭広兄ちゃんなのかしら。
…ボランティア…?
昭広兄ちゃんが、拓也お兄様の事をうーんと大好きだって事は見てて解る。
あの何を考えてるか解らないお兄ちゃんが、拓也お兄様の事に関してだけは解りやすい。
約束がある前日の夜なんて、顔には出さないけど私やマー坊への態度がいつもより8割増しで柔らかかったりするから機嫌の良さは火を見るより明らかだし、何かあった時はすこぶる機嫌が悪い。
クールが聞いて呆れるわ。
そういう意味では、拓也お兄様も謎よね。
「お兄様は、昭広兄ちゃんのどこがいいの?」
「………えっ!?」
ワンテンポ間が空いた後、顔を真っ赤にして聞き返された。
あ、そういう反応、女心を擽るのよお兄様。解ってる?
お兄様から手渡されたボールの中に卵を割り入れて菜箸で掻き混ぜる。
今日は、たまにお願いしているお兄様のお料理教室。
今日の挑戦メニューは茶碗蒸し!
卵好きの実ちゃんの大好物の一つなんだって。
「だから、昭広兄ちゃんのどこがいいのかなぁ…って」
「藤井君のいいところ…いっぱいあるよ?」
解らない?とお兄様は逆に聞いてきた。
「えー、兄妹だからかなぁ…私から見たら変な人にしか見えない…」
「一加ちゃん…」
人参の皮剥きをしながら苦笑いされた。
「うーんと…優しいし、」
「優しい!?どこが!?」
「え、優しいじゃない」
「それは相手が拓也お兄様だからじゃない?」
「そんな事は…」
「女の子に親切にしてる所、見た事ある?」
「…あれ?あんまりないかも…?」
お兄様は右手にピーラー、左手に人参を持ったまま腕組みをして首を傾げてる。
「でも、皆との旅行で、僕が捻挫した時 自転車の後ろ乗せてくれたし、悩んでる時は話聞いてくれたりするよ?」
だから、それは拓也お兄様だからよ。
きっとそれがヒロちゃんのお兄ちゃんだったら、どれもスルーよ昭広兄ちゃん。
「あと、スポーツ得意だから体育の授業でもカッコイイし、勉強もできるし、何でもスマートに熟すし」
「それは、拓也お兄様だって同じ―――…」
(あ、あれ?)
卵液に出汁を入れ混ぜてた手元から顔を上げて、隣に立つお兄様の横顔を見たら…
(あ、ノロけられた…)
私も恋をしてるから解る。
好きな人の話をしてる時の雰囲気。
きっと拓也お兄様は気付いてないだろうけど、表情が、話し方が、昭広兄ちゃんの事 大好きだって言ってるよ?
そんなお兄様の様子を見てたら、こっちまで照れて来ちゃった。
「一加ちゃん…?どうしたの?」
顔赤いよ?体調悪い?と顔を覗きこまれて我に返った。
「あ、ううん大丈夫!出汁と卵、混ざりました!!」
慌ててボールを差し出す。
男の人にしては、長い睫毛と大きな瞳に覗きこまれて、思わずドキッとした。
お、恐ろしいわお兄様…。
何て天然なの。
これじゃあ、昭広兄ちゃんもメロメロになるのは仕方ないわ…。
もしかしたら、実ちゃんがいなかったら私も好きになってたかも…。
あくまでもいなかったらよ!
昭広兄ちゃんの目は確か、という事ね。
(まあ、私の好きな人のお兄様だもの、当然!)
「じゃあ、器に具材入れようか」
「うん!」
椎茸・鶏肉・銀杏・蒲鉾・花形にくり抜いた人参に、三ツ葉と…
「おうどん…?」
「うん、うどん」
一口分位のうどんを器の底に入れるお兄様。
「出汁と固まった卵に絡んで美味しいんだよー」
「へー…」
知らなかったなぁ…本当、お兄様はお料理のエキスパート。
実ちゃんの胃袋を掴むには、このお兄様を越えなきゃいけないなんて…ハードル高いわよ。
うどんの上に他の具を載せて、最後に卵液を流し入れる。
お兄様は鍋に半分位水を張り、それを火に掛けた。
「あとは蒸すだけ。本当は蒸し器がいいけど、鍋やちょっと深めのフライパンにお湯を張って蓋すれば簡単だよ。このお湯が沸いたら、それ入れようね」
「はーい」
美味しく出来るといいなぁ。
ちょっとワクワクしちゃう。
こういう気分になれるから、最近お料理が少し楽しい。
上の友也兄ちゃんは、歳がうんと離れてるし、今は大学生でお家を出てるから最近はあまり接していないけど、保育園の頃は煩い扱いされながらも、たまに遊びに連れてってくれたし、性格も楽しくて嫌いじゃない。
それに比べて、下の昭広兄ちゃんは、はっきり言って何を考えてるのか解らない、妹からしたら変人よね、うん。
デリカシーもないし、ユーモアにも欠けるし、すぐ怒るし…見た目は、まあ良い方だとは思うけど。
私の友達や昭広兄ちゃんの周りは、「クールでカッコイイ」って評価らしいけど、私はゴメンだわ。
やっぱりオトコは優しくなくちゃ!
その点、実ちゃんや拓也お兄様はパーフェクトよ!
そう!その拓也お兄様!
何をどうしてか、昭広兄ちゃんとお付き合い中。
拓也お兄様…実ちゃんの証言だと毎年のバレンタインデーにはチョコは山のようだし(そこは昭広兄ちゃんもだけど…)、絶対女の子にモテるのに、何で昭広兄ちゃんなのかしら。
…ボランティア…?
昭広兄ちゃんが、拓也お兄様の事をうーんと大好きだって事は見てて解る。
あの何を考えてるか解らないお兄ちゃんが、拓也お兄様の事に関してだけは解りやすい。
約束がある前日の夜なんて、顔には出さないけど私やマー坊への態度がいつもより8割増しで柔らかかったりするから機嫌の良さは火を見るより明らかだし、何かあった時はすこぶる機嫌が悪い。
クールが聞いて呆れるわ。
そういう意味では、拓也お兄様も謎よね。
「お兄様は、昭広兄ちゃんのどこがいいの?」
「………えっ!?」
ワンテンポ間が空いた後、顔を真っ赤にして聞き返された。
あ、そういう反応、女心を擽るのよお兄様。解ってる?
お兄様から手渡されたボールの中に卵を割り入れて菜箸で掻き混ぜる。
今日は、たまにお願いしているお兄様のお料理教室。
今日の挑戦メニューは茶碗蒸し!
卵好きの実ちゃんの大好物の一つなんだって。
「だから、昭広兄ちゃんのどこがいいのかなぁ…って」
「藤井君のいいところ…いっぱいあるよ?」
解らない?とお兄様は逆に聞いてきた。
「えー、兄妹だからかなぁ…私から見たら変な人にしか見えない…」
「一加ちゃん…」
人参の皮剥きをしながら苦笑いされた。
「うーんと…優しいし、」
「優しい!?どこが!?」
「え、優しいじゃない」
「それは相手が拓也お兄様だからじゃない?」
「そんな事は…」
「女の子に親切にしてる所、見た事ある?」
「…あれ?あんまりないかも…?」
お兄様は右手にピーラー、左手に人参を持ったまま腕組みをして首を傾げてる。
「でも、皆との旅行で、僕が捻挫した時 自転車の後ろ乗せてくれたし、悩んでる時は話聞いてくれたりするよ?」
だから、それは拓也お兄様だからよ。
きっとそれがヒロちゃんのお兄ちゃんだったら、どれもスルーよ昭広兄ちゃん。
「あと、スポーツ得意だから体育の授業でもカッコイイし、勉強もできるし、何でもスマートに熟すし」
「それは、拓也お兄様だって同じ―――…」
(あ、あれ?)
卵液に出汁を入れ混ぜてた手元から顔を上げて、隣に立つお兄様の横顔を見たら…
(あ、ノロけられた…)
私も恋をしてるから解る。
好きな人の話をしてる時の雰囲気。
きっと拓也お兄様は気付いてないだろうけど、表情が、話し方が、昭広兄ちゃんの事 大好きだって言ってるよ?
そんなお兄様の様子を見てたら、こっちまで照れて来ちゃった。
「一加ちゃん…?どうしたの?」
顔赤いよ?体調悪い?と顔を覗きこまれて我に返った。
「あ、ううん大丈夫!出汁と卵、混ざりました!!」
慌ててボールを差し出す。
男の人にしては、長い睫毛と大きな瞳に覗きこまれて、思わずドキッとした。
お、恐ろしいわお兄様…。
何て天然なの。
これじゃあ、昭広兄ちゃんもメロメロになるのは仕方ないわ…。
もしかしたら、実ちゃんがいなかったら私も好きになってたかも…。
あくまでもいなかったらよ!
昭広兄ちゃんの目は確か、という事ね。
(まあ、私の好きな人のお兄様だもの、当然!)
「じゃあ、器に具材入れようか」
「うん!」
椎茸・鶏肉・銀杏・蒲鉾・花形にくり抜いた人参に、三ツ葉と…
「おうどん…?」
「うん、うどん」
一口分位のうどんを器の底に入れるお兄様。
「出汁と固まった卵に絡んで美味しいんだよー」
「へー…」
知らなかったなぁ…本当、お兄様はお料理のエキスパート。
実ちゃんの胃袋を掴むには、このお兄様を越えなきゃいけないなんて…ハードル高いわよ。
うどんの上に他の具を載せて、最後に卵液を流し入れる。
お兄様は鍋に半分位水を張り、それを火に掛けた。
「あとは蒸すだけ。本当は蒸し器がいいけど、鍋やちょっと深めのフライパンにお湯を張って蓋すれば簡単だよ。このお湯が沸いたら、それ入れようね」
「はーい」
美味しく出来るといいなぁ。
ちょっとワクワクしちゃう。
こういう気分になれるから、最近お料理が少し楽しい。
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