星を見よう

歩きながら何処で見ようかと話し合い、明かりが少ない場所という事で夏祭りの夜店が並ぶ通りの先の川の方へ行く事に。

川に着くと、人はまばらだった。
流石に真冬。いくら天体観測ショーと言えど、今回の流星群は比較的どこでも見られるという事もあって、この寒空の下ここまで来る人もそんなにいないようだ。

「この川来ると、6年の時の夏祭り思い出すねー」
「そうだなー」

これがきっかけとなり、弟や妹、後藤兄妹達と過ごした日々の思い出話に拓也は終始笑顔で夢中。

「榎木は相変わらず実ばっかだな」
「え…」
藤井の不意に挟まれた言葉に、拓也は急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になるのが分かった。
「ご、ごめん…」
赤くなった顔を隠すように俯いた拓也だったが、
「あ、流れた!!」
早速流星を見つけた藤井の声に反応してすぐ上を向く。

上を向いたその先にあったのは、星空じゃなくて藤井の顔だった。

目が合って、捕われて、一瞬の間​────

心臓が跳ねた。

「榎木…?」
「!やっわ…え…?」
慌てて言葉にならない言葉を口走る。

「ほら、結構流れてるぞ。折角だから、星見ようぜ?」
「うん…」

「お、今度はあっち!」

ぐいっと肩を寄せられて、流れ星の方向を教えてくれる。

​──でも、星よりも君の横顔を見ちゃうんだ。

流れる星に、こっそりお願い。

"藤井君といつまでも仲良くしていたいな"

これだけたくさんの星が流れてるんだ。
1つくらい願いを叶えてくれる星があるよね…?


そんな二人の天体観測の夜────。



-2012.12.14 UP-
-2013.12.15 加筆修正-
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