課外授業へ行こう!

「ね、ね!フェリーに乗って行くんだよねー楽しみ♪」
「そうだな」
「藤井君は、フェリー初めて?」
「初めてだなぁ」
「僕も!」

帰り道。
課外授業を楽しみにして、拓也の声が弾む。
「そんなに浮かれてたら、前日は寝れなさそうだな」
「…藤井君、僕そこまで子供じゃないよ」
軽く睨みつけても、そんなの藤井にとっては可愛いだけであって。
「十分子供」
ポンポンと頭を撫でる。
「うー…いいもん、楽しみだもーん」
ぷいっとそっぽを向いて、早歩きで藤井の3歩前を歩く。
「俺も」
1歩で追い付かれて、空いてる左手を取られる。

「ふっ藤井君…手っ」
「いいじゃん、周り誰もいないし」
「…うん」
拓也もおずおずと、しかし嬉しそうにぎゅっと握り返した。



課外授業当日。
空はすっきりと晴れ、絶好の遠足日和となった。

「フェ・リ・イ♪フェ・リ・イ♪」
「おやつは300円までー」
お調子者二人のテンションも上々。
「ハイハイ、お前の場合バナナもおやつに含まれるから、それ以上は没収な」
「何っ!?」
布瀬が穂波に言い放ち、担任に点呼報告へ行く。
因みにおやつに金額は特に決められてはいない。

「さ、皆、布瀬君来たらバス乗るから並ぶよー」
拓也も副長として動く。
「中学では、布瀬のポジションは榎木だったな」
隣で藤井が話し掛ける。
「うん、でも僕本当はそんな上手く立ち回れないし…」
「そんな事ないだろ」
「ううん、藤井君こそ、色々サラっと熟せて凄いよ」
ニコっと笑って
「それに藤井君、色々さりげなくフォローしてくれてたもんね。ありがとう。だから頑張れた」
「…………」

「はいお二人さん、バスの乗車順番来たからサクっと乗って下さい」
後ろから小野崎が声をかける。
「あ…」
ごめんと赤面しつつバスに乗り込む。
「仲いいのもいいけどね~」
「おっ小野崎君っ」
狭い通路を小野崎に背中を電車ごっこよろしく押されつつ進み、決められた席に座る。

「全員乗ったかぁ?じゃあ出発するぞー」
貸切りのバスに詰め込まれた生徒を見渡し、担任が運転手に挨拶をする。
すると、隣のクラスが乗っている前のバスが動き出したタイミングでこちらのバスもゆっくり動き出した。

いよいよ課外授業スタート!
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