課外授業へ行こう!

「ここのグループは…榎木・小野崎・中橋・藤井・布瀬・穂波で。班長は布瀬で副は榎木でいいのな?」
「はーい」
「じゃ、布瀬グループはCグループで」

HR。
今日の議題は、今度予定されている課外授業のグループ決め。
行き先は水族館―――行き先からして課外授業と言っても名ばかりで、実質は遠足のような物だ。
拓也達は、いつもつるんでいるメンバーで手早くまとまった。

「ここのグループは、布瀬に榎木がいるのか。じゃあ、クラスの二大お調子者がいても大丈夫だな」
と声をかけて来たのは、HRを見守る担任。

「お調子者って俺達ッスか先生!!」
「先生ヒドーイ!!」
とふざけて担任に絡むは中橋と穂波。
「それが調子こいてるって言うんだよ」
と適当にあしらい、
「じゃ、頼んだぞ」
と拓也と布瀬の肩をポンと叩いて、別のグループの様子を見に行く。

「僕はともかく、布瀬君は二人まとめるの上手だよね」
「コイツらが単純なだけだよ」
班長になった布瀬は、成績は学年3位に常にいるリーダー格。
中学では生徒会長の経験有りの男である。

「単純言うなー」
「藤井ー学年トップ二人が俺らバカにするぅ」
お調子者とされている中橋と穂波はよっぽど相性がいいのだろう、二人の掛け合いはちょっとした漫才だ。
「事実だろ」
課外授業のしおりを眺めながら、藤井も適当にあしらう。
「藤井冷たい!!」
「榎木、小野崎、癒して!!」
穂波が拓也に、中橋が小野崎にギュっと抱き着けば、
穂波は藤井に蹴飛ばされ、中橋は小野崎自らの鉄拳を喰らう。
それを「やれやれ」と冷静に見守るのが布瀬―――そんな感じの日常。

高校に入ってからも、楽しい友人達に恵まれたなぁと嬉しく思う拓也だった。
1/3ページ
スキ