惚れた弱みと小悪魔と

「お料理は片付けまでがお料理です」
と片付けまでしっかり手伝う辺り、真面目というか。

「榎木、送る」
「えっ別にいいよ」
「じゃあコンビニまで。それならいいだろ?」
「…うん」
食欲が満たされた二人の間に、ほんわか甘い空気が流れる。

玄関に向かうと一加がお見送りに来て
「お兄様、今日はありがとう。また教えて下さい」
と丁寧にお礼とちゃっかりお願い。
「うん。また作ろうね」
笑顔で返事をする拓也を尻目に
(グッジョブ一加!!)
と小さくガッツポーズをした藤井を、一加は見逃さなかったとか。

「今日は悪かったな」
「ん?この位、お安い御用だよ」
「いや…そうじゃなくて…」
「?」
何?という顔で横から覗きこんでいたが
「あっ!」
と突然声を上げる。
「藤井君、今日午後全然授業聞いてなかったでしょ?はい、ノート!」
鞄からノートを取り出し、藤井に渡す。
「コレ、今夜しっかり写して、明日ノート返してね!僕からの宿題」
有無を言わせません!と言わんばかりの笑顔。
「…ハイ。」
敵わねぇな…と内心苦笑。
「じゃ、また明日ね!」
「おう。おやすみ」
走り去ってく背中を見送ってノートを開くと、今日の要点が綺麗にまとめられていた。
きっと上の空の藤井を見て、いつも以上に念入りにノートを取ったのだろう。
「惚れた弱みだよなー…」
天然を武器にした、とんだ小悪魔だ。
色々敵わない。

―おまけ―
クラスメートの皆さんに質問。
Q.動揺している藤井に、真実を教えなかったのは何故ですか?
A.
「え?だって榎木が絡む藤井は楽しいから」
「そうそう、イケメンのクセに榎木が相手だとヘタレww」
「あの二人、早くくっつけばいいのにな」

いい友達持ったね二人共!


-2012.12.21 UP-
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