惚れた弱みと小悪魔と

昼休み。
いつものクラスメート数人で固まり、お昼ご飯を食べる風景。
グループ全員で一つの話題で盛り上がる事もあれば、隣の友人と話をする事もあり…。

拓也の隣に座る藤井は、購買部で勝ち取ったカツサンドを口にしながら拓也に話しかけた。

「榎木ー、今日の放課後さあ…」
「あ、今日用事あるんだ、ごめん」
全部の台詞を言い終わる前にお断りの返事が返って来た。
すると藤井の逆隣に座っていた級友が話に混ざって来た。
「榎木が藤井を断るの珍しいー」
「え?そうかな?そんな事ないよね?」
「いーや。榎木は藤井には甘い!」
だんだんと話に加わるメンバーが増える。
「何々?藤井の誘い断って何があるのかな?拓也君?」
盛り上がるクラスメート達に拓也は頬張った玉子焼きを飲み込んで満面の笑顔で答えた。

「えへへーデート!」

一瞬の沈黙の後。

「マジでか!!」
「えっ誰誰誰誰!!」
「ウチのガッコ!?」
一同大騒ぎ。

「みんなは知らない子だよー。あ、でも藤井君はとってもよく知ってる子!」

(俺も知ってる奴…!?)
心辺りがあるのは、槍溝愛・深谷しな子・中西亜由子。
かしまし3人娘…は有り得ないな。
それとも中学から一緒になったヤツか!?

「やっぱモテる奴は違うよなー。お前ら2人共モテるのに全然興味なさそうだから」
「えへへー実はね…」

もう周りの声など全く聞こえなくなった藤井は、午後の授業なんか完全上の空だった。
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