星を見よう

今夜は流星群が見られると言うことで、ニュースでも何日も前から騒いでいた。
何でも今回のふたご座流星群は、肉眼でも観測可能で時間も長く、割と簡単に見られるそうだ。

昼休み、クラスメート数人で昼食をとっていた中、
「榎木、今夜星見に行かないか?」
そう声をかけて来たのは藤井昭広。
榎木拓也とは、小学校の頃からのいわゆる幼なじみだ。

「どうせ家にいても、チビ達に"連れてけ"言われるんだから、その前にトンズラしたい」
彼は6人兄弟の大所帯。彼の下には更に9歳の妹と8歳の弟がいた。
拓也にもまだ7歳の弟がいる。

小学生の時から、放課後は弟達の面倒を見ながら過ごすのが日課になっていたが、流石にチビ達も小学生にもなれば自分の世界が広がっていき、別行動も増えて来た。
が、こういったイベントにはまだまだ「一緒に行く」と言い出しかねない。

「そうだね。じゃあ8時頃、小学校の校門前で待ち合わせしよっか」
拓也も流星群に興味はあったし、家の庭から見れたらいいなと思っていたけど、藤井君と一緒なら、もっと楽しいよね!

そう思って、拓也は満面の笑顔でOKした。





夜、夕飯を食べて手早く後片付けを終えると時刻は7時40分。
うん、丁度イイ時間。
実は幸い入浴中。

「じゃ、パパ、行ってくるね」
入浴中と言えど気付かれたら厄介なので、拓也は声を潜めて父・春美に声をかけた。
「ん。気をつけて行って来いよ」
「うん。行ってきまーす」
父に見送られ、拓也は玄関の引き戸をそぉーっと開けて、そぉーっと閉める。
そして、懐かしくも通い慣れた通学路を思いっきり駆け出した。



そこの角を曲がれば、後は小学校まで一直線!
そう思って勢いよく曲がると数メートル先に見慣れた後ろ姿を見つけた。

「藤井君!」

笑顔で走って追い付いて、振り向いた藤井とパチンとハイタッチ。

「グッタイミン!」

同時にハモった声に二人で小さく笑い合う。
「小学校に着く前に会えたな」
「うん。二人でこの道歩くの懐かしいね」
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