Burn out Nightmare
名前
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一週間くらい前から、同じ夢を繰り返し見るようになった。
真っ暗な闇の中を一人歩く。どんどん歩き続けるうちに、やがて私を呼ぶ声が聞こえる。名前を呼ばれているわけではないのだけど、なぜか私を呼んでいるのだとわかるそれは知っている声ではない。声の主が誰かわからないし言ってしまえば少し怖いくらいなのに、どうしようもなく惹かれて声のする方へ足を進めてしまう。声がだんだん大きくなるのに何を言っているのかがわからない。魔界語だろうか。もっと聞きたい、もっと――というところで目が覚める。
この夢を見るようになってからというもの、どれだけ早く眠ろうと体の疲れがとれない。それどころかいつでもどこでも眠くなる。今日なんて授業中に舟を漕いでいたらしく、マモンに揺さぶられてようやく起きた。教師には咎められるどころか「いつもと逆だな!」なんて言われて特に問題にはならなかったけど、今までになかったことだったので不安が心に影をおとすのを感じていた。
「おまえ最近よく寝るよな」
夕食の後にリビングでマモンがそう聞いてきた。雑さ加減クズ加減がまず目につくかもしれないが、彼は案外周りをよく見ていて面倒見がいい。
「そう……かな?」
「今日だって授業中何回も寝てただろ」
「寝ることは悪いことじゃないでしょ」
「ベルフェには聞いてねぇ!」
ベルフェも茶々を入れつつ心配そうに私を見ている。何かあったのかと聞かれたけど、これ以上心配をかけたくないから適当に誤魔化して夢の話は黙っておくことにした。
(またこの夢……)
今思うと夢の中なのにこれだけはっきり意識があるのもおかしいような気がする。眠りについてすぐに夢が始まる。この夢を見るとわかっていたから眠るのが怖かったはずなのに、まるで引きずりこまれるように眠ってしまった。歩いているうちにまた声が聞こえて――ここで、違和感に気付いた。言葉が所々わかるようになっている。
『……か……た』
未だ魔界語と混ざり合う声が何を言っているのか聞き取りたくて、いつもより駆け足で進む。しばらくして、暗闇の空間の中に丸い穴が空いているところを見つけた。穴からは光が差し込んでいるようで、暗闇から出られるのかと手を伸ばした。
その瞬間、穴から這い出た別の手に手首を掴まれる。
『つかまえた』
ガバリと起き上がったときには全身汗だくだった。最後に聞いた低く嗄れた声の恐ろしい一言が耳について離れない。肩で息をしなからふと手首を見れば、夢の中で掴まれたところに紫色の手形の痣ができていた。
真っ暗な闇の中を一人歩く。どんどん歩き続けるうちに、やがて私を呼ぶ声が聞こえる。名前を呼ばれているわけではないのだけど、なぜか私を呼んでいるのだとわかるそれは知っている声ではない。声の主が誰かわからないし言ってしまえば少し怖いくらいなのに、どうしようもなく惹かれて声のする方へ足を進めてしまう。声がだんだん大きくなるのに何を言っているのかがわからない。魔界語だろうか。もっと聞きたい、もっと――というところで目が覚める。
この夢を見るようになってからというもの、どれだけ早く眠ろうと体の疲れがとれない。それどころかいつでもどこでも眠くなる。今日なんて授業中に舟を漕いでいたらしく、マモンに揺さぶられてようやく起きた。教師には咎められるどころか「いつもと逆だな!」なんて言われて特に問題にはならなかったけど、今までになかったことだったので不安が心に影をおとすのを感じていた。
「おまえ最近よく寝るよな」
夕食の後にリビングでマモンがそう聞いてきた。雑さ加減クズ加減がまず目につくかもしれないが、彼は案外周りをよく見ていて面倒見がいい。
「そう……かな?」
「今日だって授業中何回も寝てただろ」
「寝ることは悪いことじゃないでしょ」
「ベルフェには聞いてねぇ!」
ベルフェも茶々を入れつつ心配そうに私を見ている。何かあったのかと聞かれたけど、これ以上心配をかけたくないから適当に誤魔化して夢の話は黙っておくことにした。
(またこの夢……)
今思うと夢の中なのにこれだけはっきり意識があるのもおかしいような気がする。眠りについてすぐに夢が始まる。この夢を見るとわかっていたから眠るのが怖かったはずなのに、まるで引きずりこまれるように眠ってしまった。歩いているうちにまた声が聞こえて――ここで、違和感に気付いた。言葉が所々わかるようになっている。
『……か……た』
未だ魔界語と混ざり合う声が何を言っているのか聞き取りたくて、いつもより駆け足で進む。しばらくして、暗闇の空間の中に丸い穴が空いているところを見つけた。穴からは光が差し込んでいるようで、暗闇から出られるのかと手を伸ばした。
その瞬間、穴から這い出た別の手に手首を掴まれる。
『つかまえた』
ガバリと起き上がったときには全身汗だくだった。最後に聞いた低く嗄れた声の恐ろしい一言が耳について離れない。肩で息をしなからふと手首を見れば、夢の中で掴まれたところに紫色の手形の痣ができていた。