的場と見る夢
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あいつだ……
右目を狙う、あいつだ……
忌々しい
あいつが
何か…… 喰ってる
禍々しいあのデカイ口で
気持ちが悪い
何を、喰ってる………?
あれは……………
「うわぁぁぁーーー!!!」
自分の叫び声で、目が覚めた……
「はぁ…はぁ………」
呼吸を整え、冷静になって周りを見渡す
見慣れた、自分の寝室
ベッドの上だ
叫び声と同時に飛び起きたらしい……
「…主様……
大丈夫ですか?」
横を見ると、野風が体を起こし、心配そうに俺を見ていた……
みっともない姿を見られてしまった、と思った
「悪い……… 起こしたか?」
「いえ、わたしは大丈夫です
それより… 主様、すごい汗……
悪い夢でも…?」
野風が、俺の額に触れる
汗……?
本当にみっともない姿だ……
「大丈夫だ…… 何でもない」
……この見え透いた嘘も
みっともないと思った
「………いや…
夢を見たんだ………」
見え透いた嘘をやめて
野風に正直に話す
「あいつの夢だ………」
あいつ、で野風は察してくれた
その証拠に、とても心配そうな
そして少し悲しそうな顔をしていた
「そろそろ、来る頃ですものね……」
「あぁ……」
右目を狙うあいつが来る頃になると
奴の夢を見る……
慣れたはずだったが
さっきの夢は最悪だ
思わず野風を抱き締めた
「………主様…?」
「……………あいつが……
お前を喰っていた………
それで飛び起きた」
胸くそ悪い夢だ………
「主様……」
野風が優しく俺の背中に手をまわす
ぎゅっと…… 抱きしめてくれた
「あやつに喰われるほど、わたしはヤワではありません
それに、主様がわたしにそんな姿を見せてくれて…
少し嬉しいです」
にこりと、俺に笑ってみせてくれた
それだけで俺の心は穏やかさを取り戻せる気がした
守りたいと思う
それと同時に失うのが怖いと思う
だが独りには戻れない
野風がいないと………
「主様…… 眠れそうですか?」
「あぁ、大丈夫だ……」
再びベッドに横になる
野風も、隣で横になる
野風に背を向けていた俺だったが
その背中に野風がぴたりとくっついてきた
暖かい………
「主様………」
「………なんだ?」
返答するが、振り返りはしない
「そばにおります……
ずっとお側におります」
「………そばにいたい、の間違いだろ」
「ふふ… そうですね
お側にいさせて下さい」
振り返り、野風と向き合う
「…………いや、それも違うな…
そばにいろ、俺のそばに」
野風が少し驚いたような顔をした後、またにこりと微笑んだ
「主様がおっしゃるのでしたら」
そのまま、野風を抱きしめた
静かに目を閉じる
……暖かい
このまま穏やかに朝を迎えられると思えた
「野風……
俺、もっと強くなるよ」
大切な人を守れるように
野風を、守れるように
微睡みの中
野風の声が聞こえた気がした
「主様……
愛してます……」
そんな、幸せな夢を見た………
〜fin〜