夏目が見る夢
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「…………ダメです」
「……やっぱり、ですか?💦」
………野風さんが突然俺の部屋にやってきた
「泊めるなんて無理ですよ!💦
野風さんって塔子さんたちにも見える存在だし……」
「……ご迷惑、ですよね」
しょんぼりしている彼女を見ると
何だか申し訳ない気もするが……
「そもそもお前は妖だろうがー!😠
外でもどこでも寝られるだろっ」
にゃんこ先生がすかさずツッコむ…
野風さんは妖だが
見た目も人と変わらない上に
普通の人にも見える存在だ
そんな彼女を俺の部屋に泊めることなんてできない…
だからと言って外で寝ろとも俺は言えないが…
「そもそも… 何で屋敷を飛び出してきちゃったんですか?
七瀬さんにいじめられたんですか?
😄💦」
野風さんは普段、的場一門の屋敷で暮らしている
…………それもそのはず
彼女は
的場さんの式だからだ…
「…いえ、七瀬さんは関係なくて……
実は……」
「実は??」
「………ケンカを、して……」
「え?何ですか?」
「だから、その……
主様と… ケンカを、してしまって……」
…………
…………
「「……はぁ?」」
俺もにゃんこ先生も、呆れるような声がつい出てしまった
「……待ってください😓
式と主がケンカってどういうことなんですか?💦
しかも主はあの的場さん………」
何をどうやったら、あの的場さんとケンカができるのだろう…?
「……庭に木を植えようということになったのです
これからの時期なら
椿か
わたしは山茶花がいいと言ったのです
花びらがひらひら落ちてゆく様が儚げで綺麗でしょうと…
そうしましたら、主様が…
名一杯咲いた後は潔く花ごと落ちる椿の方がよいとおっしゃられて…」
「……………」
「……………」
「…………はい?😅
そ、それでケンカに…?」
「くだらーーん!
そんなんでココに来るでなーい!💢」
にゃんこ先生の言う通り
正直くだらない、かも……
「そ、それだけではありませんっ💦
主様ったら……
自分が死ぬときも潔く死にたいなどと
縁起でもないことを……」
「あ…… それは……」
くだらないと思ってしまって悪かったなと思った
野風さんがひどく悲しげだったからだ
「それで… そんなことおっしゃらないでください!っと……
主様に不満をぶつけて……
屋敷を飛び出してきてしまったのです💦
わたしは…
主様の死など考えたくないのです」
「野風さん……」
つい俺までしんみりとしてしまったが、そこににゃんこ先生が割って入る
「お前なぁ……
どう頑張っても、あの男はお前よりに先に死ぬんだぞ
祓い屋の親玉だか何だか知らんが
所詮、あの男も人間だ」
にゃんこ先生の言い方は問題あるが
言っていることは… 真実だ
「………そうだとしても
あの方は… どこか死に急いでるところがあって
わたしは不安で仕方がないのです」
死に急いでる……
あの廃駅での出来事が思い出された
的場さんひとりで
あのような危ないことをしているのだ
何となく野風さんが言おうとしていることが
俺にもわかった……
「……お前には…まぁわたしにもだが…
人間の心を読む力がないのだから
互いに言葉を介さなければわかりあえぬだろうに」
かける言葉を見つけられずにいた俺をよそに、珍しく気が利いたことをにゃんこ先生が言ってくれた
「野風さん…
少し、外歩きませんか?」
ーーーーーーーーーー
「もうすぐこの辺の木々も色づきそうですね
そういえば、夏目くんと春に梅を見ましたよね
春も良かったですが、もっと秋が深まれば、この辺りの景色も
素敵でしょうね…」
八つ原へ続く道を野風さんとゆっくり歩く
周りの木々はあまり色づいていなかったが
たまにひらひらと舞い落ちる葉と
その中にいる野風さんは
何だか儚げで…… 綺麗だった
「……絶対山茶花がいいと思うんですけど…」
「もはやどちらでも変わらないだろうが!
色合いも同じようなものだ」
俺たちの少し前を歩くにゃんこ先生が、野風さんの言葉に意地の悪い返しをする…
「何をおっしゃるんですか〜💦
椿と山茶花は全然違うじゃないですか!
ね?夏目君?」
「………えーと、花の散り方が違うんですよね😅
あとは……」
………俺も正直よくわからなかった
「葉の形もちがいますよ」
「山茶花はギザギザしてて、散歩の途中にあると邪魔で仕方がない」
「…山茶花は香りも楽しめます」
「匂いがキツくてわたしは好きではないな」
「………花びらがひらひら散って…」
「掃除が大変そうだな」
「……………斑様のいじわる😭💦」
にゃんこ先生の返しが全て意地悪いものだったので、ついに野風さんが俺に泣きついてきた…😅
「主様も斑様も… いじの悪いことばっかり…」
「だ、大丈夫ですよ…野風さん😅」
「おい!わたしとあの男を一緒にするでなーい!💢」
……そんなこと言っているが
案外にゃんこ先生と的場さんは似ているかもしれない
「……おい、夏目!何を笑っている」
「ぁ、いや…w
案外にゃんこ先生と的場さんって似てるのかもって思ったら…
笑えてきて…www」
「ケンカ売ってんのか?!夏目〜!💢」
wwwwww
「確かに……
素直じゃないところが、似てるかもしれません」
「野風…💢
お前までくだらないことをっ
しかも何が素直だ!ふざけるなよ💢」
にゃんこ先生はご立腹だが、野風さんの言葉は興味深かった
「……的場さんって、素直じゃないんですか?」
「ぇ……?ぁ、はい…w
言ってることと思ってることが違うんだろうなー…なんて
けっこうバレバレだったりするんですよw」
少し笑いながら話す野風さんは
何だか俺と歳が変わらない女子みたいで
可愛らしかった
でもそれも… 俺ではない愛しい人のことを想ってだと思うと
俺は少し切なかった
「じゃあ本当は山茶花がいいと思っているかもしれませんね?」
「え…?💦」
「野風さんが言ったんですよ?的場さんは素直じゃないってw
だから案外、山茶花の方が好きだったりして」
「ぁ、でも💦今回は……ち、違うかも…💦」
俺の言葉に、野風さんは少し恥ずかしそうにしていて
その反応がまた可愛いげがあって微笑ましかった
「………おい
噂をすれば、だぞ」
変わらず俺たちの前を歩いていたにゃんこ先生が、その場に止まった
気づけば俺たちの行く先に
人影があった
こっちに近づいてくる……
………わざわざここまでやってくるなんて
やはり[#RUBY=この人_・・・#]にとって野風さんは大事な存在なのだろう
「やはりここでしたか…」
少しあきれたようにその人は言った
「的場さん……」
「また君には迷惑をかけてしまいましたね
すみません」
……すみません、と言っている割に
相変わらず本心の読めない笑みをたたえている
と、俺は野風さんを見ようとするが彼女はすっかり俺の後ろに隠れてしまっていた…
「何してるんですか…!人の後ろに隠れて…」
「だ、だって…… 勢いで屋敷を飛び出してしまった手前…
あわせる顔が……」
ヒソヒソ… コソコソ…
そんなこんなな俺たちのやり取りを見た的場さんは、また呆れるように
小さなため息をついていた
そして……
「…………野風
帰りますよ」
再び俺の後ろに隠れている彼女を見ると、さすがに観念したようで
イタズラを咎められた子どものように
少し不満げな、でもどこか安心したような顔をしていた
「夏目様、斑様……
ご迷惑をおかけしました💦」
そう言って野風さんは俺たちに頭を下げた
「フン、さっさと帰れ!」
にゃんこ先生は最後まで悪態をついていた
俺は小さく手を振って、的場さんの後を少し小走りでついていく野風さんを見送った
「………まったく
式ならさっさと呼べばよいものを…」
あきれたように言ったにゃんこ先生の言葉に、俺はハッとした
「そうか…… そういうことも
できるのか……」
自分の式なら、その場にさっさと呼び出すこともできたはずだ
「あの男まで、野風を人間のように扱いおって……
気に食わんなぁ〜」
「………あの男までって、どういう意味だよ…」
「別に〜
さぁ、八つ原の連中を相手に🍶一杯やるかー!」
そう言ってにゃんこ先生はさっさと走り出してしまった
(………これで一件落着、かな?)
俺はのんびりにゃんこ先生の後を追った
どんなにくだらない理由でもいい
野風さんが俺を頼って
俺の所に来てくれるなら……
(あーあ…… 俺も、重症だなぁ…)
俺はにゃんこ先生の言葉を思い返していた
(人間のように扱う、か……)
しかしにゃんこ先生の言葉は少し間違っている
妖である彼女を
人間のように扱っているわけではない
俺と同じ人間だったらいいのにと、叶わぬ願いを抱いているだけだ…
ただ、それだけなんだ……
次に彼女が来ることがあったら
椿と山茶花、どちらを植えたか聞いてみよう
何となく、答えはわかっているのだけれど……
「ちょっと待ってくれ
にゃんこ先生ー!」
〜fin〜
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