夏目が見る夢
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信じがたいことが起きている…
横をみると、子どもの姿の夏目がいて
現実なんだと思う
しかも裸足で歩かせてしまっていて
とにかく俺の家への道を急ぐ…
ふと前を見ると
見知らぬ女性が、立ち止まって俺たちを見ていた……
綺麗な女性だ
ふんわりとしたワンピース
大きめのリボンをウエストで結んでいて
清楚な印象だ……
(子どもを、しかも裸足で歩かせてるから…… 不審といえば不審だよな…)
何か言われるのではと思い
ふと不安に思っていると………
「なっ…… 夏目様…?!
そのお姿…!どうなされたのですか?!」
その女性が
俺たちに駆け寄ってきた
「「……えっっ!!」」
タキと一緒に驚く
夏目を知っている……?
しかも…… 子どもの夏目を見て
夏目本人とわかっているようだ
「野風…… お前か!」
にゃんこ先生が名前を呼ぶ
「この気配… 夏目様ですね?!
まさか妖のせいですか…💦」
野風と呼ばれた女性は
ちび夏目の前で膝をついて
目線をあわせる
にゃんこ先生や妖のことを知ってるということは、この女性も
夏目が妖を見るのを知っている…
ということだ
ただ、記憶が混乱しているせいか
夏目もこの女性がどんな人かわかっていないようだった
「ぁ、あの…… 俺のこと
知ってるんですか…?」
ちび夏目が恐る恐る口を開いた
「……記憶も混乱を?
何てこと… お可哀想に……
わたしは野風と申します
わかりますか……?」
ちび夏目は、少し考えてから…
首を横に振った
「……ごめんなさい…」
「夏目様が謝ることはありませんっ
どうしましょう?💦
主様をお呼びしましょうか?」
彼女がにゃんこ先生を見る
「馬鹿者!
あんな奴など来るだけ迷惑だ!💢
名取より役に立たぬ!
さらに奴にはどうにもできんだろうがー!」
「確かに……
さすがの主様でもこればっかりは…
というか、あんな奴とは何ですか?!」
「実際、あんな奴ではないか!
見た目もアレだしなぁ」
にゃんこ先生と野風のいう人の会話に俺たちはついていけなかった
「あの……
どうして俺のこと、夏目様って呼ぶの?
俺、偉くもなんともないよ……」
ちび夏目が再び口を開く
すると野風さんという人は
優しく微笑んで
夏目の頬をなでた
「お慕い申し上げてるからです
夏目様は、わたしの大切な友人です
夏目様は、クンを付けて呼んでほしいと言っていましたが……
あ、そうだ!映画も一緒に見に行ったんですよ♪」
ちび夏目は照れくさそうにして
うつ向いてしまった
野風さんは、悪い人ではなさそうだ
今も、ずっと膝をついて
ちび夏目と同じ視線で話している
(スカート…… 地面について
汚れるだろうに……)
「……やはり主様を……」
「いらーん!!
絶対呼ぶな!というか他言無用だっ」
にゃんこ先生が必死だ…
そこで気になったことを聞いてみる
「ヌシサマ……
それって誰、ですか…?」
「ぁ、わたしの主人です😊」
膝をついた状態から俺を見上げるようにして、にこやかに答えてくれた
「主人……え?旦那さん?」
「旦那、様……ぁ、そうですね
そうとも言うのだと思います
(人間は)」
(若く見えるけど……人妻?)
「いや、たぶん違うぞ…
話がややこしく……」
にゃんこ先生が何やらぶつぶつ言っている
「しかし式と主の関係を説明するのも面倒……
しかもあの男の……
う〜〜!!めんどくさい!💢」
一人で怒り心頭なにゃんこ先生……
「ね、ねぇ……
とにかく今は田沼くんの家に入りましょう?💦」
「そ…そうだな、タキ
あの、野風さんもよかったら一緒にどうぞ…
みんなで、夏目を元に戻すことを考えましょう」
野風さんが立ち上がる
「ありがとうございます
ぜひご一緒させて下さい
わたしにできることがあれば
何でもいたします」
こうして俺たちは、ちび夏目をつれて
俺の家に向かった
ーーーーー
俺の部屋に入り、やっと落ち着いて話ができた
「つきひぐい?」
にゃんこ先生の説明は信じがたいものだったが…… 実際夏目は小さくなってしまっているし
「つきひぐい…… 名前は聞いたことありましたが……
まさか人まで」
野風さんが考え込むように話始めた
妖のことを俺たちよりずっと知っている様子だ
「人まで若返らせてしまうなんて………
もはや禁術の域ですね………」
「きん、じゅつ…?」
その言葉に反応したのはタキの方だった
「おい、野風…
さっきも言ったが、絶対に他言無用だぞ…
つきひぐいの存在を知ったら、お前のとこの一門は何をするかわからないからな」
「…………」
にゃんこ先生の言葉に野風さんは少し悲しい顔をしていた
「あの男が当主をするような一門だ
つきひぐいを悪用しようと考えるかもしれん」
「悪用だなんて……!
あの方はそんなこといたしません!」
「ね、ねぇ… 夏目君が困ってるよ」
喧嘩っぽくなってきた二人の間にタキが入る
「ぁ… ごめんなさい、夏目様…」
「うん…… 大丈夫だよ」
そう言うとちび夏目は
じっと野風さんのことを見る
「野風さんと俺が
映画に行ったってホント…?」
「ええ! ホントですよ♪
とっても楽しかったんですから😊」
野風さんの笑顔に
また照れくさそうにするちび夏目
「……そっか、そうなら……
嬉しいな…」
ただ、ちび夏目はわかっていないと思うが
俺とタキが気になったのは……
「なぁタキ…」
小声でタキに話す
「夏目……
人妻と映画みに行ったのか?😓」
「わ、わたしに聞かないでよ…!💦」
そうこうしてるうちに、にゃんこ先生がその妖を探しに行くことになった
「にゃんこ先生、わたしもご一緒します」
野風さんが申し出る
(……ということは、野風さんも妖が見えるのか……?)
「いらん…
この際正直に言っておくが……」
にゃんこ先生が珍しく真剣な表情になった
「野風、お前のことは信用しておらん
夏目はどう思っているか知らないが……
あの男の側にいるお前など…
信用できん
だからついてくるな」
そう言い残して、にゃんこ先生は外に飛び出していった……
いつも憎まれ口を言ってるにゃんこ先生だが… 今のは本気ぽくて
聞いているこちらも、いたたまれなくなってしまった……
「はぁー……
はっきり言われてしまいました…」
野風さんは
少し困ったような、少し悲しそうな顔をして
自嘲気味に笑っていた…
「あの……」
いたたまれなくなった俺が声をかける
「にゃんこ先生と、わたしの主人は仲が悪いのです……
わかりあえることは、たぶんないでしょうね……」
そこで俺は確信したことがあった
「野風さんのご主人って…
もしかして祓い人なんですか?」
「………祓い人の存在までご存知なんですね」
野風さんはまた、少し困ったような顔をした
「前に、夏目と一緒に……
名取さんって人に助けられて…」
ちび夏目を見ると、やはり話についていけないといった様子だった
「そうですか、名取さんに……
確かに、わたしの主人は祓い屋です…
しかも、まぁ… 色々ありまして
にゃんこ先生とは特に仲が悪いのです
夏目様とも、正直仲がいいとは言えないのですが……
主人は夏目様のこと、気に入ってるんですよ……たぶん」
ちび夏目を見て、また微笑む野風さん
「夏目様……
これから貴方は色んな人、色んな妖に出会います
確かに悪いものもいて、怖い思いをするかもしれません
でも…… それ以上に素晴らしい出会いがあることを
どうか信じて下さい
あと、にゃんこ先生の他にも
貴方を慕う妖がいることも、信じて下さい、ね…」
優しくちび夏目の頭を撫でる野風さん
ちび夏目は
じっと彼女を見つめていた……
「やっぱり、にゃんこ先生と一緒に行ってきますね
夏目様のために、何かしたいのです」
そう言って、野風さんはにゃんこ先生の後を追って行ってしまった
にゃんこ先生と彼女が出ていった後を
夏目が静かに見つめる
「どうした?夏目?」
「………野風さんのこと
ひとつ思い出したんだ……
あの人は………
あの人は………」
夏目はそれだけ言って
また黙ってしまった
ーーーーーー
「夏目……」
日が暮れて、カレーができたころ
夏目は元の姿に戻っていた
夏目とにゃんこ先生はよく眠っているようだった
そして、夏目の枕元には野風さんがいた……
優しく、そして愛しそうに…
夏目の髪を撫でていた
その姿がとても美しく思え
俺は胸がドキドキしていた
「ぁ、あの………」
「あ、田沼君…
わたしは帰りますね
夏目様が元に戻ってよかった……」
「夏目に会っていかないんですか?」
「………今日は、やめておきます
また遊びにくるとお伝え下さい」
彼女は少し寂しそうに、笑った……
俺の横を通って、部屋から出ていってしまった
ふんわりと、優しい風が吹いた気がした…
(………夏目のこと、何か
すごく大切なものを見るような
そんな表情だったな………)
そこにタキもやってきた
「あ、夏目君…!」
二人で安堵の笑みがこぼれた
「あれ?野風さんは?」
「ん?夏目に会わずに帰るって
今出ていったぞ」
「……え?わたし、見なかったけど…」
彼女は、風のように消えてしまったのだった………
ーーーーーー
「そうだ、夏目…」
「ん?」
カレーを頬張る夏目に声をかける
「野風さんって人が来てたんだ
お前のこと、すごく心配してたぞ」
「え?!野風さんが?!💦
……っう、ごほっごほ💦
むせた…!」
「あ、夏目君…!水、水!」
タキから水をもらい、慌てて飲む夏目……
「……にゃんこ先生
野風さんが来てたこと、わざと黙ってただろ?」
カレーをしこたま食べるにゃんこ先生に、夏目は猜疑の目を向けている
「ふん!別に言わんでいいことだ😒」
「ま、まさか…… 的……
ぃゃ💦 ぁ、あの人まで来てたんじゃないだろうな?!」
「馬鹿者!💢💦
あやつの手を借りるわけなかろーが!」
夏目とにゃんこ先生の喧嘩が始まった……
ここで俺は気になっていたことを夏目にぶつける
「なぁ、夏目…
あの野風さんって人…
人妻なのか?若く見えたけど…」
「……………え?💦」
夏目が一気に青ざめているので、俺もタキも焦る
そして夏目は……
「にゃんこ先生〜〜!!💢
どういうことだよ?!
野風さんが…けっ…
結婚したことも言わないでいたっていうのか?!💢💦」
にゃんこ先生を持ち上げ、ブンブン揺さぶっている……
「やめろ〜〜!💦
カレーが出てきてしまうではないかぁ〜!
田沼の勘違いだ!言葉のあやだ!
主人違いだ!!!」
「????」
ーーーーーーー
どうやら野風さんが人妻というのは、俺の勘違いだったようだ……
「……雇い主?」
「そ、そうなんだ💦
主人っていうのは旦那さんって意味じゃなくて……
何て言うか……雇い主?みたいな😅」
少し落ち着きを取り戻した夏目が説明してくれた……
「普通、雇い主を主人て言うか?😓」
「か、変わってるんだ!野風さんは…💦」
何故か夏目は必死だ……
にゃんこ先生はお構い無しにカレーを食べ続けている
「まぁ、それなら……
俺たちはてっきり、夏目が人妻と映画みに行ったりしてるのかと……
なぁ?タキ?」
「う、うん……💦」
「ち、違っ……!!!😨💦
え?てか何で映画いったこと…!?」
夏目の慌てっぷりが半端じゃない😓
「野風さんが言ってたのよ
とっても楽しかったって……」
「ぅわぁぁ…………💦」
タキの言葉に夏目は顔を赤くして
ついには頭をかかえてテーブルにつっぷしてしまった
「もだえ苦しめ、夏目!
ハーッハハ!
あんな女にほだされるお前が悪いのだwww」
何故かにゃんこ先生が勝ち誇ったかのように笑っている
「ほ、ほだされてなんかいないからな…!」
夏目の様子を見ていて思ったが…
(夏目……
野風さんのこと……?)
「野風さん、夏目のこと
すごく心配してたし……
寝てる夏目のこと、すごく優しい顔で見てたよ…」
「…………そっか………」
夏目は、少しだけ微笑んだが
どこかさみしげだった……
(夏目の気持ちは……
彼女に届いているのだろうか……)
「でもホントよかった!
夏目君が元に戻って😊」
「ありがとう…
田沼とタキがいてくれて、助かったよ」
俺もまた、夏目の役にたてて嬉しかった
「……また1人で抱えこんだりするなよ、俺たちもいるんだから
あと… 妖への親切はほどほどに😁」
みんなで笑いあう
(夏目に恋愛相談される日がこないかなぁ……w)
俺はまた、密かに楽しみができていた
「あ、そうだ夏目……
野風さん、お前の頭ナデナデしてたぞ」
「〜〜〜〜〜っ!?💦」
〜fin〜