彩月視点

ーー今日で終わりだからと言う事で、アスプロスが買い物に連れていってくれるらしい。どういう風の吹き回しかしら??嬉しいけれど。

彩月「なに、今日は買い物に連れていってくれるの??」

アスプロス「いつも彩月から誘われてばかりだからな。俺から誘うのも悪くなかろう」

まぁね。最初の頃の苦手意識も今ではないから。かなり進歩したと思う。ぁ、そう言えば。この間アガシャちゃんの所の帰りに見付けたジュエリーショップ、彼処に頼んであるのがもう出来てる筈。今日貰いに行かなきゃ。

彩月「ジュエリーショップに寄りたいの。良い??」

アスプロス「なにか買うのか??」

彩月「買ったの。それを今日貰いに行くだけ」

行く前に渡さなきゃ。折角３つ買ったんだもん、ね。勢い良く扉を開け、中にはいる。

彩月「ーー店長は??」

店長「いらっしゃい、彩月ちゃん。例の、取りに来たのよね??ーーあら、彼氏??」

彩月「違うし。さっさと出しな??」

少し睨みながら言うと、彼女は顔の前で両手を合わせる。

店長「ゴメンね。出来てるには出来てるんだけど、もう少し時間が欲しいの。夕方、また寄ってちょうだい」

彩月「夕方ね。それまでには準備して渡せるようにしとけよ」

店長「はぁい♪」

店を後にして、買い物をすませるとあっという間に夕方に。例の物を貰うとすぐに店を出た。

アスプロス「なにを買ったんだ??大きい箱に入っているな」

彩月「双児宮に帰ってからね」

双児宮に着き、中身の一部をアスプロスに渡す。

彩月「はいっ、アスプロスに。ブレスレットなんだけど」

アスプロス「…俺にか??」

彩月「デフテロスにもあげるんだけど、私とお揃い。３人のイニシャル入りなんだけどね」

アスプロス「デフテロスにもか。ーーだが、此処は素直に礼を言おう。ありがとう」

爽やかな笑顔で言われてしまい、少し照れ臭くなった。照れを隠すようにデフテロスの所に向かおうとする。…っと、その前に。

彩月「そう言えば。私からこうやって誰かに物を贈るのは、初めてね。アルデバランやシオンにはしなかったから。ーー大切にしてよね」

入口から顔だけ覗かせてそう呟くと、アスプロスが満足そうな笑みを浮かべていた。…最後は素直じゃないな。デフテロスにも渡さなきゃね。

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(…まさか、俺にまでくれるとは)
(こんな物で悪いけど、今までのお礼よ。ありがとう)
(俺の方こそ、ありがとう…彩月)