彩月視点

ーーどうしよう。困ったわ。誰か通るかしら??いや、此処は少し離れた所だからなぁ。通ってくれたら嬉しいけど。

彩月「どうしたものか」

遡る事数分前。闘技場で訓練している候補生たちを見に行こうと思い立ち、する事して見に来たまでは良かった。その後、少し離れた所にある木の側になにか落ちているのが見えた。側に寄ってみるとーー小鳥の雛が落ちていた。

彩月「可哀想に」

そう思い、木を見ると私でも登れそうな所に巣を見付けた。雛を連れて巣まで上がると親鳥と兄弟たちが心配そうに待っていた。小鳥を巣に返し、降りようと思い下を見たらそれなりに高かったらしい。私ではちょっと降りられそうにない。それで今に至る。

彩月「どうしよう??小宇宙で誰か呼ぶ…のは簡単だけど、こんな事で呼ぶのは可哀想。…あれは、お兄ちゃんと…アスプロス??」

小宇宙でアスプロスとマニゴルドを呼び止め、木の側まで来て貰う。

マニゴルド「ーーなにやってんだ、お前は」

彩月「呆れないでよ。小鳥の雛が落ちていたから助けて巣まで運んだの」

アスプロス「そしたら降りられなくなったと…??」

言い返せない。でも、ずっと此処に居るのも嫌。

彩月「ーー助けて」

アスプロス「…ククッ、受け止めてやるから飛び降りろ」

マジすか。飛び降りるとか怖いんですが。

マニゴルド「…まぁ、その方が早いが。怪我すんじゃねぇの??」

アスプロス「俺が受け止めるんだ、怪我をする訳なかろう。ーーどうした、来ないのか??」

彩月「…心の準備をして「来ないなら行くが??」まっ待ってっ。今降りるからっ」

アスプロスに向かい飛び降りると、難なく抱き止めてくれた。

彩月「…怖かった」

マニゴルド「だろうな。今度からは誰かに頼め。な??」

こくんと頷くのを見届け、お兄ちゃんは行ってしまった。何処行くんだろう??普段着だから街かな??

彩月「ありがとう、アスプロス。降ろして??」

そう伝えるが無視して歩き出す。なっなんで??

彩月「アスプロス、恥ずかしいから。人の話聞いてる??」

アスプロス「ーー居ないと思ったらあんな所に居たんだ。心配を掛けた罰だと思え。双児宮までこのまま戻る」

さぁっと顔の血の気が引き、私の声にならない悲鳴が上がったのは言うまでもない。

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(…アスプロスはSっ伽羅だ)
(ん??なにか言ったか??)
(なにも言ってない。…ちくせう)