彩月視点

ーーあれから数日。バイトも大分慣れてきた。アンナに案内で市を見に来ている。わぁ、色々良いのが買えそう。二人だけで持てるかしら??

アンナ「いっぱい買いましたね。持ちきれるかな…??」

彩月「そうね。こんな事ならテンマを連れて来るべきだったわ。まずった…」

しかし、持たない訳にはいかない。私が持てば良いだけの事よね。

彩月「…行こうか、アンナ」

アンナ「大丈夫ですか??無理はしないでくださいね」

大丈夫と言いたいが、いかん。重い…。笑顔で返し、孤児院を目指す。つか、腕千切れるんじゃね??やべぇ…。

??「重そうじゃな。どれ、儂が１つ持ってやろう」

彩月「お気遣いありがとうございます。大丈夫ですから」

後ろから誰かが親切に声を掛けてくれた。見ず知らずの人に持って貰うのは気が引けるし。ーーん??待てよ、この声は…。振り返ると、何故かハクレイ様が居た。なっ、何ゆえ!!??

ハクレイ「ーーお主は…。そうか。お主が、彼奴の言っておった。桜小路 彩月であったな。家の近くまで持とう」

彩月「貴方にそんな事をさせられな「気にするでない」あぁ、もう…。アンナ、先に帰っていてくれる??私はこの人と大事な話があるから」

ひょいっと荷物を持っていかれたから諦め、アンナにそう言うとわかってくれたのか、頷き先に来た道を歩いていく。荷物もそんなに重たいものを持たせては居ないから大丈夫よね。

彩月「貴方が此処に居るのはどうして??まさか、アテナを探しに…??」

ハクレイ「お主を探して居たんじゃよ。儂自らな。クロノスから聞いた時は驚いたものじゃ。お主の後見人になってやってくれと頼まれたのじゃからな。ーーアテナを迎えに来るのはもう暫く掛かるじゃろう。それまでは、頼んだぞ」

彩月「当たり前よ。私は、彼女の友人なのだから」

ニコッと微笑めば、頭を撫でられる。笑顔も暖かい気持ちにさせてくれるように穏やかなものだった。でも、夢の中の"彼"のものではない。ーー"彼"は一体誰なのだろう。

ハクレイ「儂は村に戻る。彩月…また会う日まで、達者での」

彩月「ありがとう、ハクレイ。またね」

あの暖かく大きい小宇宙。流石、前聖戦を生き抜いた人だわ。私も自由に羽ばたいていたい。

→

(お帰りなさい、彩月さん)
(ただいま、アローン。今からご飯作るからね)
(彩月ー‼腹減った‼)
(テンマったら…)