亜夜side

ーー今日は皆で海にやって来た。私が行きたいと呟いたのが原因なんだけどね。城戸の私有地にある別荘に泊まり、一泊二日の小旅行。良い思い出を彼と作ろうと思う。

亜夜「朝早いから、誰も居ないから静かね。ふふっ、得した気分♪」

なんて思いながら歩いていると、彼の姿を見つけた。ーーカミュだわ。

亜夜「おはよう、カミュ。早いのね」

カミュ「おはよう、亜夜。貴女も早いのだな。まだ夜明けだぞ」

そうなのだ。何故か目が覚めてしまい、外を見ると夜明け前。ちょうど日の出かかっている時だった。眠れそうになく、着替えて朝日を浴びる事に。

亜夜「目が覚めて寝付けなくて。散歩でもしようと思って出てきたら、カミュの姿をみつけて来ちゃった。邪魔じゃなければ、一緒に居たいのだけど、…良いかしら??」

構わないと返事を貰い、一緒に居る事に。二人で話す事もなく、ただ朝日が昇るのを見ているだけと言う穏やかな時間が流れる。時折、波の音が心地好く耳に届く位。

亜夜「ーーこんな良い場所に連れてきてくれた沙織ちゃんには感謝しなくちゃ」

カミュの腕に自分の腕を絡めて歩く。誰も居ないから、ちょっとくらい良いよね。

カミュ「今日の亜夜は甘えただな」

亜夜「あら、それはカミュだからよ。他の人には出来ないもの。ーーでも、そうね。他に出来るとしたら、シオンや童虎くらいね。昔から知っているもの」

二人の名前を出すと、少し拗ねたような顔をする。滅多に顔に出さないカミュが拗ねた顔を見せるなんて。可愛いんだから。

亜夜「そんな顔をしないで。あれは例え話なんだから。私が甘えるのは、カミュ一人よ」

首に腕を回す。すると、カミュの腕が私の腰に回される。

亜夜「部屋に戻りましょう??紅茶を淹れるわ。足が疲れたから、運んで貰えるかしら??」

頬にチュッとキスをする。困ったような照れたような複雑な顔で私を横抱きにし、歩き出す。波の音だけが聞こえ、私とカミュは微笑み合いながら部屋に戻った。