きっと、大丈夫だよ。
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side:咲
驚いた。それはもう、びっくりだ。だって、テレビでも新聞でも、SNSでも話題になっていた『義賊』が、まさか自分の兄だったなんて。目を見開いたまましばらく何も言えなかったし、動くこともできなかった。それくらい衝撃的だったんだ。
「ずっと、お兄は私に秘密にしてたんだ…」
ようやく出てきた言葉はこれだった。
ヒロシさんたちが、少し動揺しているように見える。
「さ、咲ちゃん。きっと零は、君に心配かけたくなかったんだよ」
「そそそそうですよ!」
「咲ちゃんのことを守りたかったんだよ!」
必死にお兄をフォローするヒロシさんたち。お兄に自殺を邪魔され結果的に命を救われ、その命をお兄に預けた。お兄に全幅の信頼を置いていて、お兄が絶対だときっと思ってる。そんな気がした。
「お兄は、すごいね…」
「え?」
予想してない言葉だったのか、ヒロシさんが驚いたように声をあげた。お兄も目を大きく開いていた。
「怒らないの?咲ちゃん…」
スナオさんは胸の前でぎゅっと拳を握っていた。心配そうに私の顔を伺っている。
「え?」
「いや、だって、ねえ?」
「家族に隠し事されて嫌じゃないんです?」
ヒロシさんがチカラさんに目配せすると、チカラさんはそう言った。
私の知らないところで、義賊なんて、そんな大きなことをやってたことは正直まだ信じられない。秘密にされていたこともちょっと拗ねそうになったのは認める。でも、そんなこと、わざと教えなかったことくらいわかる。そんなこともわからないほど子どもではないつもりだ。
やってることは犯罪と変わらないと、コメンテーターが言っていた。確かにそれはその通りだし、やり方にこそ問題はあるのかもしれない。けれど、顔も知らない誰かのために、危険を犯してまで救おうとするなんて、そんなこと、できる人はそうそういない。そんなすごいことをやってのけるお兄は純粋にすごいと思った。
そこに一緒にいたヒロシさんたちがちょっと羨ましいと思ってしまったのは内緒だけど。
そんなことを簡単にまとめて伝えたら、チカラさんたちからまた驚かれてしまった。変なことは言ってないと思うけれど…。
「咲、黙っててごめんな。お前を巻き込みたくなかったんだ。危ない目に合わせたくなかった。だけど結局、巻き込むことになっちゃったな…ごめん」
お兄は2回も謝った。
「わかってるよ、私のためだったことくらい。いいの。勝手に追いかけて行って、捕まっちゃた私の自業自得なんだから。それよりも、お兄が無事でよかった…」
私がへにゃっと笑みを浮かべると、お兄はホッとしたように眉を下げて微笑み、私の髪を撫でた。
「なんか、零の妹さんって感じですね」
「零がもう1人いるみたいだ…」
スナオさんとヒロシさんがそう呟いていた。どういうことだろう?
「あ、でも、今から何があるのかわからないから、まだ安心できませんけど…」
私がそう言うと、一斉に視線が注がれた。え?何?
「ここで何が行われるのか、知らされてないのか?」
ヒロシさんから、あの男の子と同じことを言われた。
「みなさんは知ってるんですか?さっきも、お兄を見つける前にあっちにいた男の子からそんなこと言われたんですけど…」
「僕たちもまだ詳しいことは聞かされてないけど……僕たちをここに連れてきたのは、在全っていうすっごいお金持ちのお爺さんでね」
「あ、在全っていうのは、在全グループの会長の在全無量」
スナオさんたちが説明してくれる。
「テレビで名前は聞いたことあります。政財界だけでなく、裏社会にも大きな影響力を持つ人だって」
記憶を辿って私がそう言うと、お兄が頷いた。そんな人が、なんのために?
「で、その在全の後継者を決めるためのゲームに参加させてやる、とか言われたんです、僕たち」
「後継者を決める、ゲーム…?」
怪訝な顔で私が呟いた時、部屋の扉がガチャリと開いた。
驚いた。それはもう、びっくりだ。だって、テレビでも新聞でも、SNSでも話題になっていた『義賊』が、まさか自分の兄だったなんて。目を見開いたまましばらく何も言えなかったし、動くこともできなかった。それくらい衝撃的だったんだ。
「ずっと、お兄は私に秘密にしてたんだ…」
ようやく出てきた言葉はこれだった。
ヒロシさんたちが、少し動揺しているように見える。
「さ、咲ちゃん。きっと零は、君に心配かけたくなかったんだよ」
「そそそそうですよ!」
「咲ちゃんのことを守りたかったんだよ!」
必死にお兄をフォローするヒロシさんたち。お兄に自殺を邪魔され結果的に命を救われ、その命をお兄に預けた。お兄に全幅の信頼を置いていて、お兄が絶対だときっと思ってる。そんな気がした。
「お兄は、すごいね…」
「え?」
予想してない言葉だったのか、ヒロシさんが驚いたように声をあげた。お兄も目を大きく開いていた。
「怒らないの?咲ちゃん…」
スナオさんは胸の前でぎゅっと拳を握っていた。心配そうに私の顔を伺っている。
「え?」
「いや、だって、ねえ?」
「家族に隠し事されて嫌じゃないんです?」
ヒロシさんがチカラさんに目配せすると、チカラさんはそう言った。
私の知らないところで、義賊なんて、そんな大きなことをやってたことは正直まだ信じられない。秘密にされていたこともちょっと拗ねそうになったのは認める。でも、そんなこと、わざと教えなかったことくらいわかる。そんなこともわからないほど子どもではないつもりだ。
やってることは犯罪と変わらないと、コメンテーターが言っていた。確かにそれはその通りだし、やり方にこそ問題はあるのかもしれない。けれど、顔も知らない誰かのために、危険を犯してまで救おうとするなんて、そんなこと、できる人はそうそういない。そんなすごいことをやってのけるお兄は純粋にすごいと思った。
そこに一緒にいたヒロシさんたちがちょっと羨ましいと思ってしまったのは内緒だけど。
そんなことを簡単にまとめて伝えたら、チカラさんたちからまた驚かれてしまった。変なことは言ってないと思うけれど…。
「咲、黙っててごめんな。お前を巻き込みたくなかったんだ。危ない目に合わせたくなかった。だけど結局、巻き込むことになっちゃったな…ごめん」
お兄は2回も謝った。
「わかってるよ、私のためだったことくらい。いいの。勝手に追いかけて行って、捕まっちゃた私の自業自得なんだから。それよりも、お兄が無事でよかった…」
私がへにゃっと笑みを浮かべると、お兄はホッとしたように眉を下げて微笑み、私の髪を撫でた。
「なんか、零の妹さんって感じですね」
「零がもう1人いるみたいだ…」
スナオさんとヒロシさんがそう呟いていた。どういうことだろう?
「あ、でも、今から何があるのかわからないから、まだ安心できませんけど…」
私がそう言うと、一斉に視線が注がれた。え?何?
「ここで何が行われるのか、知らされてないのか?」
ヒロシさんから、あの男の子と同じことを言われた。
「みなさんは知ってるんですか?さっきも、お兄を見つける前にあっちにいた男の子からそんなこと言われたんですけど…」
「僕たちもまだ詳しいことは聞かされてないけど……僕たちをここに連れてきたのは、在全っていうすっごいお金持ちのお爺さんでね」
「あ、在全っていうのは、在全グループの会長の在全無量」
スナオさんたちが説明してくれる。
「テレビで名前は聞いたことあります。政財界だけでなく、裏社会にも大きな影響力を持つ人だって」
記憶を辿って私がそう言うと、お兄が頷いた。そんな人が、なんのために?
「で、その在全の後継者を決めるためのゲームに参加させてやる、とか言われたんです、僕たち」
「後継者を決める、ゲーム…?」
怪訝な顔で私が呟いた時、部屋の扉がガチャリと開いた。