きっと、大丈夫だよ。
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side:ユウキ
「あいつら、うまくやりやがったな」
「貧乏くじ引いた気分だな」
僕とセイギくんの後ろにいた男たちがそんなことを言い出した。
何言ってんのあんたら。
セイギくんが僕の見たことのない、屈辱を受けたようなプライドを傷つけられたような表情になっていた。在全を見つめている。また何か言い出しそうだ。やめろ、あいつに楯突いてもいいことなんて…。
「なぜ――」
セイギくんが言葉を発し出した時だった。
「はああ!?」
突然甲高い、怒気を含んだ声が建物内に響いた。
――は…?
その声を発した人物の正体がわかって、僕は心底驚いた。
さっきまで不安そうに零くんにくっついていた咲ちゃんが、肩を怒らせている。
「何言ってるんですか!?」
「さ、咲ちゃん!?ちょっ…」
スナオくんの制止を振り切って、咲ちゃんはズカズカと男たちの元へ近づき下から睨みつけた。
「この人について行ったのはあなたたちですよね?たとえこの人に誘われたんだとしても、ついて行くと決めたのは貴方達自身ですよね?それを、ゲームに参加できないからって、リングをもらえる可能性が減ったからって、その人のせいにするんですか?文句を言うくらいなら、自分たちだけで獲ってみたらどうですか!!」
咲ちゃんはものすごい剣幕で男にまくし立てている。
「あ、あんたのそのリングだってあいつらがいたからだろ!?」
彼女の迫力に圧倒されながらも、男たちのうち一人が咲ちゃんの胸に下がったリングを指差して負けじと叫んだ。
「あ、いや、それは…咲が、一人で手に入れたものです…」
「マジかよ…」
零くんが答えると咲ちゃんに突っ掛かった男の周りから驚嘆の声がこぼれた。突っ掛かった本人はそれ以上言い返すことができず、ぐっと言葉に詰まっていた。
もちろん僕も驚いた。そのリング、咲ちゃんが自分で獲ったものだったなんて…。
「だいたい…!」
怒りが収まらないのか、咲ちゃんはさらに言葉を続けようとした。
「黙れ…」
隣にいたセイギくんから低い声が発せられた。
あーあ、セイギくん怒らせ…いや、これは怒りとはちょっと違う苛立ちかもしれない。
「うぜぇんだよ、偽善者が…」
セイギくんは咲ちゃんに鋭い視線を向けていた。超不機嫌だ。
「ちょっと!咲ちゃんはあんたをかばったんじゃん!!」
「あ゛ぁ?」
セイギくんのどすの利いた声にスナオくんが身をすくめた。
「私は別に、その人を庇ったつもりはありません。身勝手な事ばかり言ってるこの人たちに腹が立っただけです」
なおも咲ちゃんは男たちを睨んでいた。
「はっはっはっ!!」
静観していた在全が突如豪快に笑い声を上げた。
「随分と威勢のいい小娘だ。青田の言っていた通りだな。咲、と言ったな。せいぜい気をつけることだな。その正義感が仇とならんことを祈るのみだ」
皆の視線が在全へ移ったところで、そろそろとやって来たスナオくんに腕を引かれて咲ちゃんは零くんの元へ戻っていった。
「さて、標、零。戦いの時間だ」
在全が告げると、黒服の男が零くんに近づいていった。
「ちょっと待ってください!選べるはずだろ。俺が誰と戦うか。どんな勝負をするか」
零くんが訴えるも、黒服の男に肩と腕を掴まれ身動きが取れなくなってしまう。
「主催者特権。強いて言えば前の鉄球ゲームでこのドリームキングダムを、すなわち、わしを舐め腐った罰だ」
心臓に響くような低い声で答えた在全は、射抜くような鋭い眼差しで零くんを見据えていた。
そして、標くんのところにも黒服の男がやってきて、零くんと同じように逃げ出さぬようがっしりと拘束された。
「いいな?標。できぬ場合は失格だ」
標くんは返事の代わりに床に落ちていたパンを要求していた。
そこからはあっという間だった。
二人は黒服の男から黒い革製のものを頭から被せられ、強制的に連行されていく。
「つーか!生存率25%って!ふざけるな!」
零くんが連れ去られる間際に喚く。
「お兄ちゃん!!」
「咲…!スナオさん、咲を頼みました!」
「は、はい!!」
零くんの後を追おうとする咲ちゃんをスナオくんとチカラくんが必死に引き止める。
「咲ちゃん、だめだって!」
「でも、でも…!」
先ほどの威勢の良さはどこへ行ってしまったのか。まるで別人のように兄との別れに嘆く咲ちゃんは見ていてちょっと辛かった。
「お前たちはこっちだ」
在全は車椅子を引かれて建物から出て行き、残された僕たちは黒服の指示で場所を移動することになった。
「あいつら、うまくやりやがったな」
「貧乏くじ引いた気分だな」
僕とセイギくんの後ろにいた男たちがそんなことを言い出した。
何言ってんのあんたら。
セイギくんが僕の見たことのない、屈辱を受けたようなプライドを傷つけられたような表情になっていた。在全を見つめている。また何か言い出しそうだ。やめろ、あいつに楯突いてもいいことなんて…。
「なぜ――」
セイギくんが言葉を発し出した時だった。
「はああ!?」
突然甲高い、怒気を含んだ声が建物内に響いた。
――は…?
その声を発した人物の正体がわかって、僕は心底驚いた。
さっきまで不安そうに零くんにくっついていた咲ちゃんが、肩を怒らせている。
「何言ってるんですか!?」
「さ、咲ちゃん!?ちょっ…」
スナオくんの制止を振り切って、咲ちゃんはズカズカと男たちの元へ近づき下から睨みつけた。
「この人について行ったのはあなたたちですよね?たとえこの人に誘われたんだとしても、ついて行くと決めたのは貴方達自身ですよね?それを、ゲームに参加できないからって、リングをもらえる可能性が減ったからって、その人のせいにするんですか?文句を言うくらいなら、自分たちだけで獲ってみたらどうですか!!」
咲ちゃんはものすごい剣幕で男にまくし立てている。
「あ、あんたのそのリングだってあいつらがいたからだろ!?」
彼女の迫力に圧倒されながらも、男たちのうち一人が咲ちゃんの胸に下がったリングを指差して負けじと叫んだ。
「あ、いや、それは…咲が、一人で手に入れたものです…」
「マジかよ…」
零くんが答えると咲ちゃんに突っ掛かった男の周りから驚嘆の声がこぼれた。突っ掛かった本人はそれ以上言い返すことができず、ぐっと言葉に詰まっていた。
もちろん僕も驚いた。そのリング、咲ちゃんが自分で獲ったものだったなんて…。
「だいたい…!」
怒りが収まらないのか、咲ちゃんはさらに言葉を続けようとした。
「黙れ…」
隣にいたセイギくんから低い声が発せられた。
あーあ、セイギくん怒らせ…いや、これは怒りとはちょっと違う苛立ちかもしれない。
「うぜぇんだよ、偽善者が…」
セイギくんは咲ちゃんに鋭い視線を向けていた。超不機嫌だ。
「ちょっと!咲ちゃんはあんたをかばったんじゃん!!」
「あ゛ぁ?」
セイギくんのどすの利いた声にスナオくんが身をすくめた。
「私は別に、その人を庇ったつもりはありません。身勝手な事ばかり言ってるこの人たちに腹が立っただけです」
なおも咲ちゃんは男たちを睨んでいた。
「はっはっはっ!!」
静観していた在全が突如豪快に笑い声を上げた。
「随分と威勢のいい小娘だ。青田の言っていた通りだな。咲、と言ったな。せいぜい気をつけることだな。その正義感が仇とならんことを祈るのみだ」
皆の視線が在全へ移ったところで、そろそろとやって来たスナオくんに腕を引かれて咲ちゃんは零くんの元へ戻っていった。
「さて、標、零。戦いの時間だ」
在全が告げると、黒服の男が零くんに近づいていった。
「ちょっと待ってください!選べるはずだろ。俺が誰と戦うか。どんな勝負をするか」
零くんが訴えるも、黒服の男に肩と腕を掴まれ身動きが取れなくなってしまう。
「主催者特権。強いて言えば前の鉄球ゲームでこのドリームキングダムを、すなわち、わしを舐め腐った罰だ」
心臓に響くような低い声で答えた在全は、射抜くような鋭い眼差しで零くんを見据えていた。
そして、標くんのところにも黒服の男がやってきて、零くんと同じように逃げ出さぬようがっしりと拘束された。
「いいな?標。できぬ場合は失格だ」
標くんは返事の代わりに床に落ちていたパンを要求していた。
そこからはあっという間だった。
二人は黒服の男から黒い革製のものを頭から被せられ、強制的に連行されていく。
「つーか!生存率25%って!ふざけるな!」
零くんが連れ去られる間際に喚く。
「お兄ちゃん!!」
「咲…!スナオさん、咲を頼みました!」
「は、はい!!」
零くんの後を追おうとする咲ちゃんをスナオくんとチカラくんが必死に引き止める。
「咲ちゃん、だめだって!」
「でも、でも…!」
先ほどの威勢の良さはどこへ行ってしまったのか。まるで別人のように兄との別れに嘆く咲ちゃんは見ていてちょっと辛かった。
「お前たちはこっちだ」
在全は車椅子を引かれて建物から出て行き、残された僕たちは黒服の指示で場所を移動することになった。