きっと、大丈夫だよ。
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side:咲
お兄たちと参加できそうなゲームを探していたら、また、ある建物内から言い争う声が聞こえてきた。建物の特性上なのか、音が反響してここまで聞こえてくる。
「んだと!?ああ!?」
「王にふさわしいのはセイギ様だ!」
あの凄みのある低い声はセイギさん…?
「標様はともかく、セイギ様だあ!?こいつはな、偉そうなこと言うわりに、何もわかっちゃいねえ、鼻垂れだぞ!」
この声は末崎さんかな?
「あんたこそ、口ばっかりでなんもできてねえ大ぼらふきだろう!!」
聞こえてくるそれは、まるで兄弟喧嘩のようだった。
建物に入ると、標くんとその後ろに数人の男性、それからセイギさんとユウキさん、その後ろに先ほどレストランにいた男の人たち、そして、在全さんと黒服の男の人たちがいた。末崎さんは在全さんの前で頭を地に伏せている。
これは一体、どういう状況?
何が起きているのかわからないまま、お兄たちと近くに寄った。
「王のそばにいる者といえど、その本心はわからんものだ。従順なふりをして、最終的には裏切る気満々のブルータスか、真なる忠義者まで様々だ」
在全さんの語りを、皆が静かに聞いている。
「団体戦を用意したのは、まず小さな群れの王を自然発生的に生み出すためだ。そしてその王の決断に皆が命を賭けてもいい、そう思える真の王が現れる。おるのう。王の可能性を感じる者2人。今ここに」
「だ、誰でございますか、それは」
末崎さんが低姿勢のまま、在全さんに問う。
「標、そして…………宇海零!」
「え…」
お兄が…?思わずお兄を見上げた。お兄は眉間に皺を寄せている。
そしてやはり、標くんは王の資質があるということか。予選の時もすごかったけど、標くんはすでに2個のリングを手に入れている。1人でMILDに入って行くのを見た人がいたみたい。
標くんはじっと前を見据えたまま、表情を変えていない。
「見よ、その匂いがするから2人とも連れておるだろう。その実力に惹かれた者たち、取り巻きをそれぞれ5人ずつ」
「え、でも僕ら6人だよね」
スナオさんが呟いた。
「いや、ほら、きっと私は数に含まれないんですよ。お兄と一緒にいるだけだってことにされてるんじゃないでしょうか」
私もこそこそと小さな声で答えた。
「待てよ!取り巻きだったら俺――」
「よせ!」
セイギさんが抗議しようとしたのを、ユウキさんが肩を掴んで諫めた。
「貴様らは、いつかは戦わねばならん2人。ならばその勝負、わしが買った」
在全さんはそう言うと、着物の懐から何かを床に放り投げた。
それはお兄の足元に飛んできた。お兄が拾い上げると、それは100円玉だった。
「今度は、100円?」
お兄は腰をかがめたまま、在全さんを凝視している。
ドリームキングダムに連れて来られる前、お兄たちは1人10円で買われたとスナオさんたちから聞いていた。ということは…。
「上がった。90円値上がりした」
スナオさんが呟いた。
「勝負しろ、標、零。生存率25%のクォータージャンプで」
「クォーター、ジャンプ?」
お兄が訝しげに顔をしかめた。一体、どんなゲームなのか…。生存率25%って…どれだけ危険なゲームをさせるつもりなの…?
「そしてこの勝負、双方の挑戦者の取り巻きにも、褒美を進呈しよう。勝者についていた者全員、1人リング2個ずつだ」
「やったああ!」
後ろにいる石田さんが声をあげた。島津さんも、小早川さんも笑みを浮かべている。
「やりましたよスナオ氏!何もしてないのに2個。1000億円も見えてきましたねえ」
「ま、ま、まだ獲れたって決まったわけじゃないですって」
「だからこそ、ここは何としても勝っていただかないと」
チカラさんとスナオさんが浮かれている。そんな彼らに、お兄はなんとも言えない表情になっていた。
「で、でも、危険なゲームをするのはお兄なんですよ?」
不安に思い訴えかけるも、チカラさんたちには聞こえていないようだった。
「お兄…」
私はお兄の腕を掴んだ。私を見下ろすお兄は眉を下げ困った顔で笑っている。
これから危険な目に合うかもしれないお兄が心配で顔を見上げたまま見つめていると、セイギさんたちの方から聞き捨てならない言葉が耳に入ってきた。
お兄たちと参加できそうなゲームを探していたら、また、ある建物内から言い争う声が聞こえてきた。建物の特性上なのか、音が反響してここまで聞こえてくる。
「んだと!?ああ!?」
「王にふさわしいのはセイギ様だ!」
あの凄みのある低い声はセイギさん…?
「標様はともかく、セイギ様だあ!?こいつはな、偉そうなこと言うわりに、何もわかっちゃいねえ、鼻垂れだぞ!」
この声は末崎さんかな?
「あんたこそ、口ばっかりでなんもできてねえ大ぼらふきだろう!!」
聞こえてくるそれは、まるで兄弟喧嘩のようだった。
建物に入ると、標くんとその後ろに数人の男性、それからセイギさんとユウキさん、その後ろに先ほどレストランにいた男の人たち、そして、在全さんと黒服の男の人たちがいた。末崎さんは在全さんの前で頭を地に伏せている。
これは一体、どういう状況?
何が起きているのかわからないまま、お兄たちと近くに寄った。
「王のそばにいる者といえど、その本心はわからんものだ。従順なふりをして、最終的には裏切る気満々のブルータスか、真なる忠義者まで様々だ」
在全さんの語りを、皆が静かに聞いている。
「団体戦を用意したのは、まず小さな群れの王を自然発生的に生み出すためだ。そしてその王の決断に皆が命を賭けてもいい、そう思える真の王が現れる。おるのう。王の可能性を感じる者2人。今ここに」
「だ、誰でございますか、それは」
末崎さんが低姿勢のまま、在全さんに問う。
「標、そして…………宇海零!」
「え…」
お兄が…?思わずお兄を見上げた。お兄は眉間に皺を寄せている。
そしてやはり、標くんは王の資質があるということか。予選の時もすごかったけど、標くんはすでに2個のリングを手に入れている。1人でMILDに入って行くのを見た人がいたみたい。
標くんはじっと前を見据えたまま、表情を変えていない。
「見よ、その匂いがするから2人とも連れておるだろう。その実力に惹かれた者たち、取り巻きをそれぞれ5人ずつ」
「え、でも僕ら6人だよね」
スナオさんが呟いた。
「いや、ほら、きっと私は数に含まれないんですよ。お兄と一緒にいるだけだってことにされてるんじゃないでしょうか」
私もこそこそと小さな声で答えた。
「待てよ!取り巻きだったら俺――」
「よせ!」
セイギさんが抗議しようとしたのを、ユウキさんが肩を掴んで諫めた。
「貴様らは、いつかは戦わねばならん2人。ならばその勝負、わしが買った」
在全さんはそう言うと、着物の懐から何かを床に放り投げた。
それはお兄の足元に飛んできた。お兄が拾い上げると、それは100円玉だった。
「今度は、100円?」
お兄は腰をかがめたまま、在全さんを凝視している。
ドリームキングダムに連れて来られる前、お兄たちは1人10円で買われたとスナオさんたちから聞いていた。ということは…。
「上がった。90円値上がりした」
スナオさんが呟いた。
「勝負しろ、標、零。生存率25%のクォータージャンプで」
「クォーター、ジャンプ?」
お兄が訝しげに顔をしかめた。一体、どんなゲームなのか…。生存率25%って…どれだけ危険なゲームをさせるつもりなの…?
「そしてこの勝負、双方の挑戦者の取り巻きにも、褒美を進呈しよう。勝者についていた者全員、1人リング2個ずつだ」
「やったああ!」
後ろにいる石田さんが声をあげた。島津さんも、小早川さんも笑みを浮かべている。
「やりましたよスナオ氏!何もしてないのに2個。1000億円も見えてきましたねえ」
「ま、ま、まだ獲れたって決まったわけじゃないですって」
「だからこそ、ここは何としても勝っていただかないと」
チカラさんとスナオさんが浮かれている。そんな彼らに、お兄はなんとも言えない表情になっていた。
「で、でも、危険なゲームをするのはお兄なんですよ?」
不安に思い訴えかけるも、チカラさんたちには聞こえていないようだった。
「お兄…」
私はお兄の腕を掴んだ。私を見下ろすお兄は眉を下げ困った顔で笑っている。
これから危険な目に合うかもしれないお兄が心配で顔を見上げたまま見つめていると、セイギさんたちの方から聞き捨てならない言葉が耳に入ってきた。