きっと、大丈夫だよ。
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side:ユウキ
零くんたちにまんまとやられちゃったけど、気を取り直して、僕たちは場所を変え、準備中のレストランみたいなところにいる。協力者もとい取り巻きたちがヒロシくんを連れてきたんだ。リングを持ってたらしくてね。
彼は随分やられたみたい。可哀相に。段ボールが積み重なったところに投げ飛ばされて、彼はぐったりしている。
「何が義賊だ…夢でも見てんじゃねえの?」
セイギくんの言った言葉に笑っていたら、他の2人がまた誰かを連れてきた。
その人物を見て、僕は雷に打たれた気分になった。今までセイギくんの後ろで椅子に座って眺めていたけれど、僕は弾かれたように立ち上がった。
「ねえ、何女の子にまで手ぇ出してんの?」
自分でも、今までにないくらいの低い声を出したのがわかった。あいつらは咲ちゃんまで連れてきた。彼女は気を失っている。
「余計なことしないでくれる?」
2人を睨みつけて、片方の男の手にあった咲ちゃんから奪ったリングをひったくった。
横たわる咲ちゃんのそばに跪いて、彼女を抱きかかえて座り、頭を自分の胸元にもたれ掛けさせた。リングを首に戻してやり、咲ちゃんの顔に張り付いた髪を払う。顔を殴らなかったことだけは褒めてあげようかな。
「何、ユウキお前、やっぱりこの女に惚れてんじゃねえの?ずいぶん気にかけてんじゃねえか」
ニヤニヤしながらセイギくんが聞いてくる。セイギくん、機嫌がいいみたいだ。
「だーから違うって言ってるじゃん。女の子を傷つけることは、僕のポリシーに反するからね。それだけだよ」
「なんだそれ、フェミニストかよ」
「うるさいな」
「んん…」
僕たちが笑って言い合ってると、腕の中にいた咲ちゃんは、眉間にしわを寄せて、ゆっくりと目を開けた。よかった。気がついたみたいだ。
ぱっちりした大きな目が、僕を捉える。確かに咲ちゃんはそこらへんにいる女の子よりずっと可愛い。それは認める。
「咲ちゃん、ごめんね」
笑みを浮かべて、咲ちゃんの髪を軽く撫でてやる。
「ユウキさん…?」
咲ちゃんは不安そうな瞳で僕を見つめた。
君も僕が人からリングを奪うところを見てたんだよね。軽蔑するかな…?でも、ここはこうでもしないと勝ち上がれないところなんだよ。
「痛いとこはない?」
「…お腹がちょっと」
咲ちゃんは腹部をさすった。
みぞおちでも殴ったのか?さっきの男たちをもう一度きつく睨んでおいた。
「しばらくこのまま休んでな」
「…はい」
僕の口から気持ち悪いくらい優しい声が出た。顔には出さなかったけれど自分でも驚いた。セイギくんは訝しげな顔をしたあと不敵に笑った。
なんとなく言いたそうなことは分かるけど。いや、だから違うからね。
「ゆゆゆゆ、ユウキさん、ユウキさん!」
僕の足の間に座って体を預けていた咲ちゃんは、突然慌てた声を出した。僕の袖を引っ張る咲ちゃん。うん、伸びるからやめて欲しいかな。
「ひ、ヒロシさんが…ヒロシさんは大丈夫なんですか!?」
ああ、見ちゃったか。いや、見えちゃうよね。目にいっぱい涙を浮かべて咲ちゃんは僕とヒロシくんを見た。さっき自分も危ない目に遭ったのに、どうして君は人の心配するかな…。
それに、どうして咲ちゃんは一言も僕たちを責めるようなこと言わないんだ?最低だとか罵ってくれてもいいはずなのに。それくらいのことをしてる自覚くらいはあるんだけどな。
僕が咲ちゃんに応えようとした時、取り巻きたちが何やら大きな声を出したせいで遮られた。僕たちは視線をそちらへ移す。
何人かが走って建物から走って出て行った。ああ、リング渡せって言ったのかな。なんだか他人事みたいに眺めていた。
「待ってください!やめてください!みんな冷静になって!」
そこへ彼らと入れ替わるように、零くんと義賊の2人が駆け込んできた。
「これはあの爺さんが金の力で描かせた悪い夢なんだ!」
「お兄…?」
咲ちゃんが呟いた。
「咲!?」
「咲ちゃん!!?」
僕に抱えられた咲ちゃんを見つけた零くんと、黄色い服の人が大きな声をあげた。確かスナオくんとか言ったっけ。
「零…」
ヒロシくんがかすれた声を出した。
零くんたちはヒロシくんの容態を目にすると大きく目を見開いた。
「へ〜そうなんだ。じゃああいつらにも聞かせてやれ。義賊なんて、なんつったっけ?」
楽しそうに笑みを浮かべてセイギくんが言った。
ヒロシくんのそばに立っていた男2人が、彼の胸ぐらを掴んで上半身を浮かせた。
「やめろ!!」
零くんが咄嗟に駆け寄ろうとしたけれど、他の取り巻きたちに取り押さえられた。
「ああああ!義賊なんて…義賊なんて間違ってました!」
ヒロシくんは、そう叫んだ。
僕の口角が自然と上がった。
「ヒロシさん…」
咲ちゃんが小さく呟いた。彼女はまた涙を浮かべている。
零くんは悲しそうな顔をしていた。そりゃそうだよね、仲間が傷つけられた挙句、その仲間から自分たちを否定されたようなもんなんだから。
零くんたちにまんまとやられちゃったけど、気を取り直して、僕たちは場所を変え、準備中のレストランみたいなところにいる。協力者もとい取り巻きたちがヒロシくんを連れてきたんだ。リングを持ってたらしくてね。
彼は随分やられたみたい。可哀相に。段ボールが積み重なったところに投げ飛ばされて、彼はぐったりしている。
「何が義賊だ…夢でも見てんじゃねえの?」
セイギくんの言った言葉に笑っていたら、他の2人がまた誰かを連れてきた。
その人物を見て、僕は雷に打たれた気分になった。今までセイギくんの後ろで椅子に座って眺めていたけれど、僕は弾かれたように立ち上がった。
「ねえ、何女の子にまで手ぇ出してんの?」
自分でも、今までにないくらいの低い声を出したのがわかった。あいつらは咲ちゃんまで連れてきた。彼女は気を失っている。
「余計なことしないでくれる?」
2人を睨みつけて、片方の男の手にあった咲ちゃんから奪ったリングをひったくった。
横たわる咲ちゃんのそばに跪いて、彼女を抱きかかえて座り、頭を自分の胸元にもたれ掛けさせた。リングを首に戻してやり、咲ちゃんの顔に張り付いた髪を払う。顔を殴らなかったことだけは褒めてあげようかな。
「何、ユウキお前、やっぱりこの女に惚れてんじゃねえの?ずいぶん気にかけてんじゃねえか」
ニヤニヤしながらセイギくんが聞いてくる。セイギくん、機嫌がいいみたいだ。
「だーから違うって言ってるじゃん。女の子を傷つけることは、僕のポリシーに反するからね。それだけだよ」
「なんだそれ、フェミニストかよ」
「うるさいな」
「んん…」
僕たちが笑って言い合ってると、腕の中にいた咲ちゃんは、眉間にしわを寄せて、ゆっくりと目を開けた。よかった。気がついたみたいだ。
ぱっちりした大きな目が、僕を捉える。確かに咲ちゃんはそこらへんにいる女の子よりずっと可愛い。それは認める。
「咲ちゃん、ごめんね」
笑みを浮かべて、咲ちゃんの髪を軽く撫でてやる。
「ユウキさん…?」
咲ちゃんは不安そうな瞳で僕を見つめた。
君も僕が人からリングを奪うところを見てたんだよね。軽蔑するかな…?でも、ここはこうでもしないと勝ち上がれないところなんだよ。
「痛いとこはない?」
「…お腹がちょっと」
咲ちゃんは腹部をさすった。
みぞおちでも殴ったのか?さっきの男たちをもう一度きつく睨んでおいた。
「しばらくこのまま休んでな」
「…はい」
僕の口から気持ち悪いくらい優しい声が出た。顔には出さなかったけれど自分でも驚いた。セイギくんは訝しげな顔をしたあと不敵に笑った。
なんとなく言いたそうなことは分かるけど。いや、だから違うからね。
「ゆゆゆゆ、ユウキさん、ユウキさん!」
僕の足の間に座って体を預けていた咲ちゃんは、突然慌てた声を出した。僕の袖を引っ張る咲ちゃん。うん、伸びるからやめて欲しいかな。
「ひ、ヒロシさんが…ヒロシさんは大丈夫なんですか!?」
ああ、見ちゃったか。いや、見えちゃうよね。目にいっぱい涙を浮かべて咲ちゃんは僕とヒロシくんを見た。さっき自分も危ない目に遭ったのに、どうして君は人の心配するかな…。
それに、どうして咲ちゃんは一言も僕たちを責めるようなこと言わないんだ?最低だとか罵ってくれてもいいはずなのに。それくらいのことをしてる自覚くらいはあるんだけどな。
僕が咲ちゃんに応えようとした時、取り巻きたちが何やら大きな声を出したせいで遮られた。僕たちは視線をそちらへ移す。
何人かが走って建物から走って出て行った。ああ、リング渡せって言ったのかな。なんだか他人事みたいに眺めていた。
「待ってください!やめてください!みんな冷静になって!」
そこへ彼らと入れ替わるように、零くんと義賊の2人が駆け込んできた。
「これはあの爺さんが金の力で描かせた悪い夢なんだ!」
「お兄…?」
咲ちゃんが呟いた。
「咲!?」
「咲ちゃん!!?」
僕に抱えられた咲ちゃんを見つけた零くんと、黄色い服の人が大きな声をあげた。確かスナオくんとか言ったっけ。
「零…」
ヒロシくんがかすれた声を出した。
零くんたちはヒロシくんの容態を目にすると大きく目を見開いた。
「へ〜そうなんだ。じゃああいつらにも聞かせてやれ。義賊なんて、なんつったっけ?」
楽しそうに笑みを浮かべてセイギくんが言った。
ヒロシくんのそばに立っていた男2人が、彼の胸ぐらを掴んで上半身を浮かせた。
「やめろ!!」
零くんが咄嗟に駆け寄ろうとしたけれど、他の取り巻きたちに取り押さえられた。
「ああああ!義賊なんて…義賊なんて間違ってました!」
ヒロシくんは、そう叫んだ。
僕の口角が自然と上がった。
「ヒロシさん…」
咲ちゃんが小さく呟いた。彼女はまた涙を浮かべている。
零くんは悲しそうな顔をしていた。そりゃそうだよね、仲間が傷つけられた挙句、その仲間から自分たちを否定されたようなもんなんだから。