きっと、大丈夫だよ。
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side:ヒロシ
「離せ!離してください!」
トイレに行ってた咲ちゃんと合流した後、ゲームを回ろうしたらどこからか笑い声と叫ぶような声が聞こえてきた。
零たちと一緒に行って建物の中をのぞいてみれば、あのヤクザの弟と、ユウキとかいう男が青いポロシャツの参加者からリングを奪おうとしているところだった。
「こういう大事なもんは隠しとけって」
男性が首から下げているリングを弄びながら、ヤクザの弟が言う。
「あんたのリングがあれば、僕たち早くも3つ。つまりリーチだ」
ユウキはそう言いながら、自分が持っていたリングをヤクザの弟に渡した。
「なんだあれ…」
「ユウキさん…」
咲ちゃんはユウキと少しだけ話す仲だ。いつもニコニコ笑ってたあいつの裏の顔を見てきっと動揺してるんだ。だけど、昨日ヤクザの弟と一緒にチカラを騙していたことを考えると、ありえなくはない。
逃げ出そうとする男性を押さえつける参加者たち。それをユウキたちは眺めていた。そいつらのやり方に、ふつふつと怒りが沸いてきた。
「卑怯すぎんぞ」
「無理ですって!」
止めに入ろうとしたら、チカラに腕を引っ張られた。
「ボコボコにされておしまいですよ」
スナオが俺の肩に手を置いてそう言う。
確かにそうかもしれない。俺は決して強くはない。相手の数も多い。だけど、このまま見てるなんて…。
「誰もがここに来る前の自分ではなくなってる。これが金の力。すなわち在全の力…」
零はそう呟いて、中のやつらを見据えている。
参加者たちはポロシャツの男性を立たせた。ヤクザの弟が近寄り、リングを引いて鎖を引きちぎり奪い取った。
男性が返せと叫ぶ中、ヤクザの弟は奪ったリングを掲げて見せた。参加者たちから品のない歓声が上がる。
「お兄…」
どうするんだ、零…。
「助けに行きますか」
「ええー!」
零の言葉に、チカラとスナオが大きな声を出し、慌てて自分で口を塞いだ。
「義賊ですから、俺たち」
当たり前じゃないですか、と言わんばりの顔だ。うん、それでこそ零だ。
「でも、相手10人近くいますよ」
「そうですよ、どうするんですか」
「俺は零についていく。たとえそこが、地獄でも」
チカラたちは驚いていたけど、俺は、零を信じてここまできたんだ。零のおかげで今生きてるんだから、俺は零に全てを捧ぐ覚悟だ。
「ありがとう」
ふっと零が笑った。
「でで、でも咲ちゃんはどうするんです?」
スナオが零と咲ちゃんを交互に見遣った。
「やるよ、私も」
咲ちゃんは力強い眼差しで、俺たちを見ていた。
「じゃあ、さっき言った通りに」
零の言葉で配置につく。
零が、ヤクザの弟に上から砂を落として、奴らの視界を奪う。
「お前!」
ヤクザの弟が叫んだ。
零はその高所からヤクザの弟に飛び降りて、その弾みで弟の手から落ちたリングを取り返した。
「ヒロシさん!」
零が投げたリングを俺は受け取り、咲ちゃんと一緒にポロシャツの男性を引っ張って、立たせ、零とは逆方向の出口に走る。
「咲ちゃんは零のところへ!」
「はい!」
出口で咲ちゃんと左右に分かれた。
俺たちが通った出口には、チカラとスナオが待ち構えていて、縄で足を引っ掛けてあいつらを足止めしてくれるはずだ。
作戦はうまくいった。ひとまずあいつらを撒くことができた。
「ありがとう…!」
息を切らしながら、お礼を言うポロシャツの男性。
「じゃあ、これ」
リングをその人に渡そうとしたとき、建物の角から、追っ手がやって来た。
クソッもっと遠くへ行くべきだったか!
「逃げて!」
咄嗟に俺はリングを差し出したまま、そう告げる。なのに、男性は叫び声をあげながら走っていってしまう。
「ちょ、これ!!」
リングを持ったまま逃げるタイミングを逃して立ち尽くす。振り返れば、俺は男たちに囲まれた。俺は意味がないことはわかっていたけど、リングを背中に隠した。
「ヒロシさん!!?」
ああ、なんで咲ちゃんこっちに来ちゃったんだ…零は一緒じゃないのか?
俺を囲っていた男の内2人が、咲ちゃんに向かっていく。
「逃げろ、咲ちゃん!」
俺が叫ぶと、自分めがけて走ってくる男たちに咲ちゃんは後ずさりし、走り去っていく。
「お前は人の心配してる場合じゃねぇだろ!」
男の言葉の直後、ガッと顔面に衝撃が走る。眼鏡が反動で飛んでいったのがわかった。続けて腹や背中に痛みが走った。
さっきはあんなに強気だったのに、俺、1人じゃ何にもできないんだ。
ああ、やっぱり、俺って弱いんだな…。
「離せ!離してください!」
トイレに行ってた咲ちゃんと合流した後、ゲームを回ろうしたらどこからか笑い声と叫ぶような声が聞こえてきた。
零たちと一緒に行って建物の中をのぞいてみれば、あのヤクザの弟と、ユウキとかいう男が青いポロシャツの参加者からリングを奪おうとしているところだった。
「こういう大事なもんは隠しとけって」
男性が首から下げているリングを弄びながら、ヤクザの弟が言う。
「あんたのリングがあれば、僕たち早くも3つ。つまりリーチだ」
ユウキはそう言いながら、自分が持っていたリングをヤクザの弟に渡した。
「なんだあれ…」
「ユウキさん…」
咲ちゃんはユウキと少しだけ話す仲だ。いつもニコニコ笑ってたあいつの裏の顔を見てきっと動揺してるんだ。だけど、昨日ヤクザの弟と一緒にチカラを騙していたことを考えると、ありえなくはない。
逃げ出そうとする男性を押さえつける参加者たち。それをユウキたちは眺めていた。そいつらのやり方に、ふつふつと怒りが沸いてきた。
「卑怯すぎんぞ」
「無理ですって!」
止めに入ろうとしたら、チカラに腕を引っ張られた。
「ボコボコにされておしまいですよ」
スナオが俺の肩に手を置いてそう言う。
確かにそうかもしれない。俺は決して強くはない。相手の数も多い。だけど、このまま見てるなんて…。
「誰もがここに来る前の自分ではなくなってる。これが金の力。すなわち在全の力…」
零はそう呟いて、中のやつらを見据えている。
参加者たちはポロシャツの男性を立たせた。ヤクザの弟が近寄り、リングを引いて鎖を引きちぎり奪い取った。
男性が返せと叫ぶ中、ヤクザの弟は奪ったリングを掲げて見せた。参加者たちから品のない歓声が上がる。
「お兄…」
どうするんだ、零…。
「助けに行きますか」
「ええー!」
零の言葉に、チカラとスナオが大きな声を出し、慌てて自分で口を塞いだ。
「義賊ですから、俺たち」
当たり前じゃないですか、と言わんばりの顔だ。うん、それでこそ零だ。
「でも、相手10人近くいますよ」
「そうですよ、どうするんですか」
「俺は零についていく。たとえそこが、地獄でも」
チカラたちは驚いていたけど、俺は、零を信じてここまできたんだ。零のおかげで今生きてるんだから、俺は零に全てを捧ぐ覚悟だ。
「ありがとう」
ふっと零が笑った。
「でで、でも咲ちゃんはどうするんです?」
スナオが零と咲ちゃんを交互に見遣った。
「やるよ、私も」
咲ちゃんは力強い眼差しで、俺たちを見ていた。
「じゃあ、さっき言った通りに」
零の言葉で配置につく。
零が、ヤクザの弟に上から砂を落として、奴らの視界を奪う。
「お前!」
ヤクザの弟が叫んだ。
零はその高所からヤクザの弟に飛び降りて、その弾みで弟の手から落ちたリングを取り返した。
「ヒロシさん!」
零が投げたリングを俺は受け取り、咲ちゃんと一緒にポロシャツの男性を引っ張って、立たせ、零とは逆方向の出口に走る。
「咲ちゃんは零のところへ!」
「はい!」
出口で咲ちゃんと左右に分かれた。
俺たちが通った出口には、チカラとスナオが待ち構えていて、縄で足を引っ掛けてあいつらを足止めしてくれるはずだ。
作戦はうまくいった。ひとまずあいつらを撒くことができた。
「ありがとう…!」
息を切らしながら、お礼を言うポロシャツの男性。
「じゃあ、これ」
リングをその人に渡そうとしたとき、建物の角から、追っ手がやって来た。
クソッもっと遠くへ行くべきだったか!
「逃げて!」
咄嗟に俺はリングを差し出したまま、そう告げる。なのに、男性は叫び声をあげながら走っていってしまう。
「ちょ、これ!!」
リングを持ったまま逃げるタイミングを逃して立ち尽くす。振り返れば、俺は男たちに囲まれた。俺は意味がないことはわかっていたけど、リングを背中に隠した。
「ヒロシさん!!?」
ああ、なんで咲ちゃんこっちに来ちゃったんだ…零は一緒じゃないのか?
俺を囲っていた男の内2人が、咲ちゃんに向かっていく。
「逃げろ、咲ちゃん!」
俺が叫ぶと、自分めがけて走ってくる男たちに咲ちゃんは後ずさりし、走り去っていく。
「お前は人の心配してる場合じゃねぇだろ!」
男の言葉の直後、ガッと顔面に衝撃が走る。眼鏡が反動で飛んでいったのがわかった。続けて腹や背中に痛みが走った。
さっきはあんなに強気だったのに、俺、1人じゃ何にもできないんだ。
ああ、やっぱり、俺って弱いんだな…。