きっと、大丈夫だよ。
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side:零
咲に促され、俺たちは仕方なくまずはパーク内を散策して情報を得ることにした。
ゲームを回っていてわかったことは、リングの獲得数はゲームの難易度によって異なるということ。
SAFETYならリングは1つ。MILDなら2つ。HARDなら一度に3つのリングが獲得できる。
ただ、一度に多くのリングが受け取れるゲームほど、負けた場合は肉体的、精神的にダメージを負うリスクも大きいということもわかった。
俺たちがHARDのゲームの前で乱闘を始めた挑戦者たちを止めていた時、ちょうど中から戻ってきた人は舌を抜かれていた。
やはり迂闊にゲームに挑むのは危険だ。俺1人ならまだしも、ヒロシさんたちも一緒となると、危険なゲームは避けるべきだ。
だから、咲にもゲームには参加せず、安全なところにいて欲しかった。しばらく寂しい思いをさせてしまうかもしれないけれど、咲に何かあるよりましだ。
それなのに…。
あの光景を見たから咲がゲームに参加したいと言い出すことはないだろうと思っていたのに、咲のやつ、1人でも多い方がリングの獲得数が増えていいからと、自分も参加させてほしいと言い出したんだ。
「咲、俺の話聞いてなかったのか?」
ここに来て何度目かになるため息をつく。
「お兄が私のことをすごく心配してくれてることはわかってるよ」
「だったら…」
「でも、私もお兄の役に立ちたいの。ただ待ってるだけなんて嫌だよ」
咲がじっと俺の目を見て言う。
「咲…咲の気持ちは嬉しいよ。だけど……お願いだから兄ちゃんの言うことを聞いてくれ」
咲の肩を掴んで言い聞かせる。咲は俯いた。表情が見えなくて、何を考えているかわからない。
ようやく、咲は顔をあげた。
「わかった…」
「咲…」
ホッとして手の力を緩める。
「じゃあ、まずは私1人でSAFETYに入るから」
「は!?」
衝撃の一言を放ち、咲はスタスタと歩き始めた。
咲の向かう先には1つのゲームが。SAFETYだ。
「それで、私がリングを取ってこれたら、私もゲームに参加させて」
こちらを振り返りながら、咲は言う。
「咲、ちょっと待って、何言ってんだよ」
「そ、そうだよ、いくらSAFETYだからって…」
ヒロシさんたちと咲を追う。
「いってきます!!」
にっこり笑って敬礼した後、俺に小指を立てた咲は、1人参加用のゲームの入り口を潜って中に入っていく。
「おい、咲!」
追いかけ中に入ろうとしたら、黒服の男に抑えられた。
「順番だ」
「離してください!」
「抵抗すると、失格にするぞ」
「ぜ、零…」
後ろから俺の名前をヒロシさんが呼ぶ。黒服の言葉に、仕方なく入り口から離れた。
俺たちはどうすることもできず、入り口の近くにあったベンチに座って咲を待った。
「すみません、ヒロシさん、スナオさん、チカラさん。俺の妹が勝手なことして…」
3人に頭を下げた。この間にも、リング獲得者が出てくるだろう。きっとまたイラつかせてしまうかもしれない。当たり前だ。
「いいって。ほら零、顔あげろよ」
ヒロシさんに肩を軽く叩かれ、視線を上げる。
「意外と咲氏は頑固なんですね」
チカラさんはやれやれと肩をすくめながら笑っている。
「咲ちゃん、無事だといいな」
スナオさんが入り口を見つめた。
「戻ってくるの待とう」
「……ありがとう」
ヒロシさんの言う通り、今は待つしかない。俺は力なく笑みを浮かべた。
20分くらい経っただろうか。
「戻ってきた!」
ヒロシさんの声で反射的に入り口に目を向ける。
出てきた咲は笑顔を浮かべ、こちらにピースサインを送った。
胸元には、金色のリングが輝いていた。
「本当に、獲ってきた…」
ヒロシさんが目を丸くして驚嘆した。
「すごい!咲ちゃんすごいよ!!」
スナオさんが咲に駆け寄って、咲の手を取ってブンブン振っている。
きゃっきゃと飛び跳ねながら喜ぶ咲に俺は近づいた。
「お兄っ!」
俺を見ると、首からリングを外す咲。
「はい、これでお兄はリング1個獲得だよ!」
俺にリングを渡そうとした。
「いだっ」
笑顔でリングを差し出した咲の頭に、俺は拳を落とした。咲が涙目になっている。抗議しようと咲が口を開く前に、俺はその小さな体を包み込んだ。
「えっ?お、お兄…?」
「馬鹿妹。あんまり兄ちゃんを心配させないで」
腕の中で暴れていた咲は、俺の声を聞くと大人しくなった。
「ごめんなさい…」
小さな声で咲は呟いた。
そっと咲を放して、咲の手からぶら下がるリングをすくい上げた。
「このリングは、咲が自分の力で手に入れたものだ。だから、咲が持ってな」
「お兄…」
眉を下げ、悲しそうな顔で俺を見る咲。だけど、しまいには薄く笑って「わかった」と頷いて自分の首に戻した。シャランと鎖の音がする。
「えーっと…ということは、咲ちゃんもゲームに参加するってことですよね?」
スナオさんが俺に聞いてきた。そうだ、そういう話だったな。
「俺はテントにいて欲しいけど…咲は宣言通り、リング獲ってきたからな。認めてやらないとな」
俺が、しょうがない、と困ったように笑って頭を撫でてやると、少し晴れない顔をしていた咲は次第に喜びでいっぱいな表情になっていく。
「だーけーど!絶対に無茶はしないこと。二度と1人ではゲームに参加しないこと。これが守れるなら、俺たちと一緒にいていいし、ゲームにも参加していい。わかったか?約束できるか?」
「うん…うん、約束する!!ありがとう、お兄っ!」
咲は俺に飛びついて、ぎゅーっと抱きしめてきた。
ヒロシさんたちに視線を移すと、先ほどのチカラさんのような表情で俺たちを見ていた。
すみません、よろしくお願いします、と俺が口パクで伝えると、彼らは微笑んで頷いた。
咲に促され、俺たちは仕方なくまずはパーク内を散策して情報を得ることにした。
ゲームを回っていてわかったことは、リングの獲得数はゲームの難易度によって異なるということ。
SAFETYならリングは1つ。MILDなら2つ。HARDなら一度に3つのリングが獲得できる。
ただ、一度に多くのリングが受け取れるゲームほど、負けた場合は肉体的、精神的にダメージを負うリスクも大きいということもわかった。
俺たちがHARDのゲームの前で乱闘を始めた挑戦者たちを止めていた時、ちょうど中から戻ってきた人は舌を抜かれていた。
やはり迂闊にゲームに挑むのは危険だ。俺1人ならまだしも、ヒロシさんたちも一緒となると、危険なゲームは避けるべきだ。
だから、咲にもゲームには参加せず、安全なところにいて欲しかった。しばらく寂しい思いをさせてしまうかもしれないけれど、咲に何かあるよりましだ。
それなのに…。
あの光景を見たから咲がゲームに参加したいと言い出すことはないだろうと思っていたのに、咲のやつ、1人でも多い方がリングの獲得数が増えていいからと、自分も参加させてほしいと言い出したんだ。
「咲、俺の話聞いてなかったのか?」
ここに来て何度目かになるため息をつく。
「お兄が私のことをすごく心配してくれてることはわかってるよ」
「だったら…」
「でも、私もお兄の役に立ちたいの。ただ待ってるだけなんて嫌だよ」
咲がじっと俺の目を見て言う。
「咲…咲の気持ちは嬉しいよ。だけど……お願いだから兄ちゃんの言うことを聞いてくれ」
咲の肩を掴んで言い聞かせる。咲は俯いた。表情が見えなくて、何を考えているかわからない。
ようやく、咲は顔をあげた。
「わかった…」
「咲…」
ホッとして手の力を緩める。
「じゃあ、まずは私1人でSAFETYに入るから」
「は!?」
衝撃の一言を放ち、咲はスタスタと歩き始めた。
咲の向かう先には1つのゲームが。SAFETYだ。
「それで、私がリングを取ってこれたら、私もゲームに参加させて」
こちらを振り返りながら、咲は言う。
「咲、ちょっと待って、何言ってんだよ」
「そ、そうだよ、いくらSAFETYだからって…」
ヒロシさんたちと咲を追う。
「いってきます!!」
にっこり笑って敬礼した後、俺に小指を立てた咲は、1人参加用のゲームの入り口を潜って中に入っていく。
「おい、咲!」
追いかけ中に入ろうとしたら、黒服の男に抑えられた。
「順番だ」
「離してください!」
「抵抗すると、失格にするぞ」
「ぜ、零…」
後ろから俺の名前をヒロシさんが呼ぶ。黒服の言葉に、仕方なく入り口から離れた。
俺たちはどうすることもできず、入り口の近くにあったベンチに座って咲を待った。
「すみません、ヒロシさん、スナオさん、チカラさん。俺の妹が勝手なことして…」
3人に頭を下げた。この間にも、リング獲得者が出てくるだろう。きっとまたイラつかせてしまうかもしれない。当たり前だ。
「いいって。ほら零、顔あげろよ」
ヒロシさんに肩を軽く叩かれ、視線を上げる。
「意外と咲氏は頑固なんですね」
チカラさんはやれやれと肩をすくめながら笑っている。
「咲ちゃん、無事だといいな」
スナオさんが入り口を見つめた。
「戻ってくるの待とう」
「……ありがとう」
ヒロシさんの言う通り、今は待つしかない。俺は力なく笑みを浮かべた。
20分くらい経っただろうか。
「戻ってきた!」
ヒロシさんの声で反射的に入り口に目を向ける。
出てきた咲は笑顔を浮かべ、こちらにピースサインを送った。
胸元には、金色のリングが輝いていた。
「本当に、獲ってきた…」
ヒロシさんが目を丸くして驚嘆した。
「すごい!咲ちゃんすごいよ!!」
スナオさんが咲に駆け寄って、咲の手を取ってブンブン振っている。
きゃっきゃと飛び跳ねながら喜ぶ咲に俺は近づいた。
「お兄っ!」
俺を見ると、首からリングを外す咲。
「はい、これでお兄はリング1個獲得だよ!」
俺にリングを渡そうとした。
「いだっ」
笑顔でリングを差し出した咲の頭に、俺は拳を落とした。咲が涙目になっている。抗議しようと咲が口を開く前に、俺はその小さな体を包み込んだ。
「えっ?お、お兄…?」
「馬鹿妹。あんまり兄ちゃんを心配させないで」
腕の中で暴れていた咲は、俺の声を聞くと大人しくなった。
「ごめんなさい…」
小さな声で咲は呟いた。
そっと咲を放して、咲の手からぶら下がるリングをすくい上げた。
「このリングは、咲が自分の力で手に入れたものだ。だから、咲が持ってな」
「お兄…」
眉を下げ、悲しそうな顔で俺を見る咲。だけど、しまいには薄く笑って「わかった」と頷いて自分の首に戻した。シャランと鎖の音がする。
「えーっと…ということは、咲ちゃんもゲームに参加するってことですよね?」
スナオさんが俺に聞いてきた。そうだ、そういう話だったな。
「俺はテントにいて欲しいけど…咲は宣言通り、リング獲ってきたからな。認めてやらないとな」
俺が、しょうがない、と困ったように笑って頭を撫でてやると、少し晴れない顔をしていた咲は次第に喜びでいっぱいな表情になっていく。
「だーけーど!絶対に無茶はしないこと。二度と1人ではゲームに参加しないこと。これが守れるなら、俺たちと一緒にいていいし、ゲームにも参加していい。わかったか?約束できるか?」
「うん…うん、約束する!!ありがとう、お兄っ!」
咲は俺に飛びついて、ぎゅーっと抱きしめてきた。
ヒロシさんたちに視線を移すと、先ほどのチカラさんのような表情で俺たちを見ていた。
すみません、よろしくお願いします、と俺が口パクで伝えると、彼らは微笑んで頷いた。