きっと、大丈夫だよ。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
side:咲
夜が明けた。どこかで小鳥の鳴く声が聞こえる気がする。
まだ寝ていたいと、もぞもぞと体勢を変えようとして、いつも使っているブランケットじゃないことに違和感を覚えた。背中も痛い。私ベッドなのに…床に寝てるみたいだ。うっすらと目を開けると、お兄がこちらを向いて寝息を立てているのが視界に入った。
あれ、私、お兄と寝るような歳だったっけ?
半分頭が働かないまま上体を起こした私は、いつもの自分の部屋じゃないことに困惑し、他にも寝ている人がいることに気づいてびっくりした。思わずブランケットを引き寄せて抱きしめたところでようやく目が覚めた。
あ、なんだ…そっか、スナオさんたちか…
ふーっと息を吐いた。
私はお兄たちを起こさないように静かにテントから出た。
外は少し薄暗く、陽が昇ってきたばかりのようだった。思ってた以上に早く起きてしまったみたいだ。
「綺麗…」
朝日を眺めながら、凝り固まった体を伸ばした。
顔を洗って、テントまで戻ってくると、標くんが外に出ていた。テントのそばのベンチに腰を下ろしている。彼は手に菓子パンを持っていた。朝ごはんかな?私も食べなきゃなあ。お腹空いてきた。
視線に気づいたのか、標くんが顔をあげた。
「おはよう、標くん」
小さく手を振ってみる。
「………おはよ」
おお、ちゃんと返事をしてくれた。相変わらず無表情でぶっきらぼうではあるけれど。ちょっと驚いて見つめてしまう。
「何?」
「ううん、なんでもない」
首を左右に振ると、標くんは私から視線を外した。袋を開けて、メロンパンに噛り付く。
「隣いい?」
そう尋ねると、標くんはこくりと頷いた。私は彼の右側に腰掛ける。
さっきよりはだいぶ昇ってきた太陽と芝生広場の周りを眺めた。
芝生広場の先には巨大な建物があった。私たちが泊まる事の出来なかったホテルだ。それはこのドリームキングダムを一望できるような位置に建てられている。たぶん主催者側の本部みたいなものだと思う。
あそこから在全さんたちは見ているのかな…?
昨日は暗くてよくわからなかったけど、上部にデカデカとDREAM KINGDOMとこの場所の名が記されていた。まだ建設途中というだけあって、足場が多く残っている。
まだ他には誰も起きて来ず、芝生広場は静かだ。
「標くんは早起きだね」
「君もね」
もぐもぐと口を動かしながら標くんは言った。
「パン好きなの?」
「メロンパンが好き」
あまり話さない子なのかなと思ってたけど、聞けばちゃんと答えてくれる。
「そうなんだ。私も菓子パンの中ではメロンパンが一番好きだなあ」
チョコチップが入ってるのも美味しいよね、とへにゃりと破顔しながら話していると標くんがこっちを見た。
「って言ってたら食べたくなってきた!よし、私も倉庫行ってこよっ」
独り言ちてベンチから勢いよく立ち上がる。
すると、昨日みたいに標くんから腕を掴まれた。
「…標くん?」
「……食べる?」
私は目を丸くした。
「…え、いいの?好きなんでしょ?メロンパン」
「…僕、もうお腹いっぱいだから。これ2個目」
そう言うと、食べかけのところをちぎって、残りをこっちに渡してくれた。
「そ、そっか。えっと、じゃあ、ありがたくいただきます…」
受け取ると、またこくりと標くんは頷いた。
ぱくりとメロンパンを齧る。
「んん、美味しい!」
思わず標くんを振り返った。標くんは瞬きするだけで特に反応はない。構わずふふふと笑みをこぼして、メロンパンに視線を戻し、そのふんわりした優しい甘さを堪能する。
在全グループのメロンパンってこんなに美味しかったんだ。もっと早く食べてればよかったな。
夜が明けた。どこかで小鳥の鳴く声が聞こえる気がする。
まだ寝ていたいと、もぞもぞと体勢を変えようとして、いつも使っているブランケットじゃないことに違和感を覚えた。背中も痛い。私ベッドなのに…床に寝てるみたいだ。うっすらと目を開けると、お兄がこちらを向いて寝息を立てているのが視界に入った。
あれ、私、お兄と寝るような歳だったっけ?
半分頭が働かないまま上体を起こした私は、いつもの自分の部屋じゃないことに困惑し、他にも寝ている人がいることに気づいてびっくりした。思わずブランケットを引き寄せて抱きしめたところでようやく目が覚めた。
あ、なんだ…そっか、スナオさんたちか…
ふーっと息を吐いた。
私はお兄たちを起こさないように静かにテントから出た。
外は少し薄暗く、陽が昇ってきたばかりのようだった。思ってた以上に早く起きてしまったみたいだ。
「綺麗…」
朝日を眺めながら、凝り固まった体を伸ばした。
顔を洗って、テントまで戻ってくると、標くんが外に出ていた。テントのそばのベンチに腰を下ろしている。彼は手に菓子パンを持っていた。朝ごはんかな?私も食べなきゃなあ。お腹空いてきた。
視線に気づいたのか、標くんが顔をあげた。
「おはよう、標くん」
小さく手を振ってみる。
「………おはよ」
おお、ちゃんと返事をしてくれた。相変わらず無表情でぶっきらぼうではあるけれど。ちょっと驚いて見つめてしまう。
「何?」
「ううん、なんでもない」
首を左右に振ると、標くんは私から視線を外した。袋を開けて、メロンパンに噛り付く。
「隣いい?」
そう尋ねると、標くんはこくりと頷いた。私は彼の右側に腰掛ける。
さっきよりはだいぶ昇ってきた太陽と芝生広場の周りを眺めた。
芝生広場の先には巨大な建物があった。私たちが泊まる事の出来なかったホテルだ。それはこのドリームキングダムを一望できるような位置に建てられている。たぶん主催者側の本部みたいなものだと思う。
あそこから在全さんたちは見ているのかな…?
昨日は暗くてよくわからなかったけど、上部にデカデカとDREAM KINGDOMとこの場所の名が記されていた。まだ建設途中というだけあって、足場が多く残っている。
まだ他には誰も起きて来ず、芝生広場は静かだ。
「標くんは早起きだね」
「君もね」
もぐもぐと口を動かしながら標くんは言った。
「パン好きなの?」
「メロンパンが好き」
あまり話さない子なのかなと思ってたけど、聞けばちゃんと答えてくれる。
「そうなんだ。私も菓子パンの中ではメロンパンが一番好きだなあ」
チョコチップが入ってるのも美味しいよね、とへにゃりと破顔しながら話していると標くんがこっちを見た。
「って言ってたら食べたくなってきた!よし、私も倉庫行ってこよっ」
独り言ちてベンチから勢いよく立ち上がる。
すると、昨日みたいに標くんから腕を掴まれた。
「…標くん?」
「……食べる?」
私は目を丸くした。
「…え、いいの?好きなんでしょ?メロンパン」
「…僕、もうお腹いっぱいだから。これ2個目」
そう言うと、食べかけのところをちぎって、残りをこっちに渡してくれた。
「そ、そっか。えっと、じゃあ、ありがたくいただきます…」
受け取ると、またこくりと標くんは頷いた。
ぱくりとメロンパンを齧る。
「んん、美味しい!」
思わず標くんを振り返った。標くんは瞬きするだけで特に反応はない。構わずふふふと笑みをこぼして、メロンパンに視線を戻し、そのふんわりした優しい甘さを堪能する。
在全グループのメロンパンってこんなに美味しかったんだ。もっと早く食べてればよかったな。