第二次決戦
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「ハーッハハハハフィィクサァアアア!!!」
物間くんの高笑いを聞きながらまずはプロヒーローたちが敵軍へと向かう。味方も敵も、互いにワープを使った多勢同士のぶつかり合い。この戦いの果てに笑うのはどちらなのか。かくして私たちの未来を掛けた最終決戦が始まった。
『各班動け‼』
通信用のイヤホン越しに塚内さんから指示が届く。それを合図にみんな目的の相手へと散り散りになり物々しい空気が辺り一帯に広がった。怒号が飛び交い恐怖と憎悪で肌がひりつく。それでも決して前に進む足は止めちゃいけない。私も焦凍くんと頷き合いすでに戦闘に入っているヒーローたちの後を追った。
「ここで会えるとは思ってなかったぜお父さん‼まずはお仲間の葬式かぁ!?」
靄を抜けるのと同時に燈矢さんがエンデヴァーさんに炎を放ったのが見えた。街をも破壊するほどの威力。まともに食らえば致命傷は確実だろう。被害が出る前にすぐさま焦凍くんの氷結と私の爆風で相殺する。
「させやしねぇよ馬鹿兄貴‼」
「焦凍ォオ‼」
まるで地獄の底から腕を伸ばしているかのような恨みの籠もった燈矢さんの瞳。見据える先にはエンデヴァーさんだけじゃなくきっと焦凍くんも私もいる。その瞳にヒーローが報いるにはどうすればいいのか。彼が荼毘として生きなければならなかった苦しみの日々を、何としても今日私たちの手で終わらせてみせる。
『システム誘導牢ON!!』
二つの炎がぶつかり合う寸前でオールマイトが叫びその瞬間地面が割れた。突如現れた複数のそれは黒い牢獄と呼ぶに相応しい鉄の塊であっという間に連合を取り囲む。予想外の檻の登場に奴等は揃って対処が遅れ為す術なく各々の牢の中へと閉じ込められた。それでも燈矢さんは怯まず余裕そうな笑みを浮かべていたけど今はそれでいい。一先ず第一段階クリアだ。
『雄英から離れ、仮説要塞から離れ、ここまで必要だった……‼慢心させおまえを引きずり出し……そして!皆今だ‼押し込め!!!』
ここまでは予定通り。オールマイトの指示と共に物間くんがワープの靄を出現させる。あとは全員で力一杯この鉛たちを事前に計画された場所へと押し出すだけ。
「ふんん……‼」
繋げ。繋ぐんだ。みんなの思いを、ヒーローたちの努力の結晶を。
風力を最大限に活用して何トンもの牢屋を移動させる。そしてそれが靄に引きずり込まれていったのを見届け焦凍くんやバーニンさんたちと一緒に自らもワープを潜り抜けた。
目の前の鉄の檻にビキビキと亀裂が走ったけれど問題ない。そこに広がっていたのは先程まで私たちがいたはずの立体駐車場ではなくかつて惨状の現場となった神野区だった。
「こんな檻ぃイ三秒も保たねぇよ!」
やはり連合の中でも燈矢さんは頭一つ抜けている。轟音が響いたかと思えばすでに檻は壊されており一瞬でお仲間を引き連れ牢から這い出てきた。
さすがの対応力に舌を巻く。恐らくこれが本当に彼の想像している通り連合を拘束するためのシステムだったなら焦りもしていただろう。でも。
「「その三秒が欲しかった!」」
私と焦凍くんの声が重なる。そう、この檻は敵の動きを制限し小分けに分割するためのもの。一人残らず連合にワープゲートを潜らせ、確実に連携と戦力を分断するための秒間の先手。明日を手繰り寄せる一筋の希望だ。
「行くよ‼」
「はい!」
バーニンさんの咆哮に応え自身をぎゅんと加速させる。迫りくる燈矢さんと脳無たちも俄然勢いを増し遂に双方の拳が交わった。