インターン
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次の日、ファットさんからメールが届いた。銃弾について何かわかったのかもしれない。急いで開くと日時と集合場所の指定が書かれていた。内容の詳細は現地で説明があるそうだ。
共同スペースに行ってみるとちょうど切島くんがいたためメールについて確認する。
「今回の集合、ファットさんの事務所じゃないんだね。」
「ほんとだな。なんか特別案件か?」
「そうかも。ファットさんがわざわざ関西から出向いて来るってことは、大きい事件なのかなあ。」
二人で頭を捻る。前の事件の謎もまだ調べてる途中だと思うんだけど、プロってやっぱ忙しいんだなあ。インターン初日はいいとこなかったから今度こそ役に立たないと。
「あの銃弾についても気になるよな。先輩回復してよかったぜ。」
「次の日には個性出るようになってたもんね。」
天喰先輩に撃ち込まれた銃弾。あれからしばらく個性が発動しなかったけど、一晩寝たら元に戻っていた。一体どういう仕組みなんだろう。解析中とだけ伝えられて私たちは何も知らされていない。
「なんにせよ俺らがやることはひとつだぜ。次も頑張ろうな!」
「うん、よろしくね。」
拳を差し出され私もそれに合わせる。天喰先輩がこの場にいたらまた切島くんの明るさに怯えるんだろうなあ。相変わらず彼は眩しい。
それからすぐに時間は過ぎインターン当日になった。今日はコスチュームは必要ないらしく、リュックだけ背負って制服で寮を出る。切島くんはまだ来ていないようで寮の玄関で彼を待った。
「みょうじワリィ!遅れた!」
「時間通りだよ。私が早く来ちゃっただけ。」
私を見つけると慌てて走ってくる切島くん。律儀だなあ。急がせてしまって申し訳ない。二人でさあ行こうと歩みを進めようとしたところ、寮のドアがまた開いた。
「お!!?緑谷ァ‼おはよ‼おまえも今日行くんだ!?キグーだな!」
緑谷くんが現れて挨拶する。彼もどうやらインターンらしい。同じ日の同じ時間にお出かけなんて、こんな偶然あるんだ。
「しばらく呼ばれなくってやっと今日だよ。コスチュームはいらないって言われたけど……。」
「あれ、私たちもだよ。コスチューム持参なしって。」
三人で顔を見合わせる。クエスチョンマークを浮かべていると今度は梅雨ちゃんとお茶子ちゃんがやってきた。
「あれー!?おはよー‼三人も今日!?」
「お茶子ちゃんたちも?」
「一緒に行きましょう。」
何かおかしい。インターン組全員が同じ日に呼び出しなんてことあるだろうか。気になりながらも梅雨ちゃんの言葉にみんな頷き一緒に駅に向かい始める。慣れない道だったので途中通りすがりのヒーローの人に案内してもらった。
駅まで一緒のつもりで歩いてたけど、行く先行く先みんな同じだ。同じ電車に乗り込み同じ駅で降りる。目的地への方向も曲がり角も同じ。さすがに偶然という言葉では片づけられない。恐らくそれぞれのインターン先がチームアップを組んだ案件だろう。
集合場所のサーナイトアイ事務所に到着するとすでにビッグ3の三人の姿があった。やっぱり予想は当たっていたらしい。
「おはようございます先輩方。」
「おはようみょうじさん‼」
「あのねあのね今日違うよね集合場所。」
挨拶して頭を下げると通形先輩が元気に返事してくれた。波動先輩にはいきなり抱き着かれていつものマシンガントーク。美女との突然の抱擁、心臓に悪い。いい匂いに少しドキドキしながら体を離す。
天喰先輩は無言。彼がインターン先の先輩のはずなんだけどなあ。ビッグ3の中で一番目が合わない。切島くんが気にせず話しかけていたので私も便乗することにした。
「おはようございます!先輩その後何ともねえスか!?」
「だ、大丈夫だ。あまり近づかないでくれ。目が潰れる。」
「目が!?」
「切島くん落ち付いて。先輩もそろそろ慣れてください。」
「俺には無理だ……。」
朝から涙目にならなくても。可哀想になってきたのでみんなでビルの中へと移動する。広い事務所だなあ。整然としたインテリアがベストジーニストさんを思い出させる。
指定された部屋に入るとたくさんのヒーローたち。20人くらいいる。こんなに大勢でのチームアップ。何か重大なことが起きたのは明らかだ。消太くんまでいる。
「リューキュウ‼ねえねえこれ何、何するの!?会議って言ってたけどー、知ってるけど‼何の!?」
「すぐわかるよ。ナイトアイさんそろそろ始めましょう。」
波動先輩がリューキュウさんに抱き着くと、彼女は先輩を宥めて会議の開始を促した。声をかけられたのはサーナイトアイさん。彼とは面識がある。父ともそれなりに親交があって何度も家に来たことがある人だ。お堅い見た目とは裏腹にユーモアを持った愉快な性格。私の大好きなヒーローの一人だ。
けれど今日はそんな明るい雰囲気ではなく。いつもより彼の眉間の皺も濃い。どこかシリアスな空気が流れる中、ナイトアイさんは重々しく口を開いた。
「あなた方に情報提供して頂いた情報のおかげで調査が大幅に進みました。死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか、知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます。」
ナイトアイさんのただならぬ雰囲気に緊張感が増す。その場の全員が表情を固くしたのがわかった。突然繰り出された死穢八斎會という名前。それは知ってる団体のものだったけど、ファットガム事務所が招集された理由がわからない。指定された席につく前にファットさんの近くへ行きこっそり事情を聴いてみることにした。
切島くんは色々と理解が追いついていないようで困惑した顔をしている。緑谷くん・お茶子ちゃん・梅雨ちゃんはこのことについて何かしら知ってたんだろう。納得の表情を浮かべている。
「俺置いてけぼりなんスけど……。ハッサイ?何スか?」
「死穢八斎會。指定敵団体のことだよ。古い言い方するならヤクザ。いわゆる極道の人たちだね。」
私が軽く説明すると切島くんはなるほどと頷いた。ファットさんは感心したように頭を撫でてくれる。
「よう知っとるなあ。まあそういうことや。そいつらが悪いこと考えとるかもしれんから皆で煮詰めましょのお時間や。おまえらも充分関係してくるで。」
ファットさんの言葉に天喰先輩が自分の腕を見て唇を噛んだ。この前の銃弾が関わってるってことか。死穢八斎會が薬の元手なのかもしれない。そこでようやく私たちが呼ばれた理由を理解した。
死穢八斎會。以前敵について調べた時に目にした名前だ。現代社会では忘れられた存在となったヤクザ組織。今や天然記念物とすら呼ばれている。敵予備軍としてヒーローからの監視がある中でもこの組は活発に活動を続けていて、危険視されているはずだ。
「えー、それでは始めてまいります。」
全員指定された席につき会議が始まる。私はファットさんと切島くんの間だ。ナイトアイ事務所のサイドキック、バブルガールさんが報告を読み上げる。聞き漏らさないようじっと耳を澄ました。
「我々ナイトアイ事務所は約2週間ほど前から死穢八斎會という指定敵団体について……独自調査を進めて……います‼」
「キッカケは?」
「レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からです。警察は事故として片づけてしまいましたが、腑に落ちない点が多く追跡を始めました。」
バブルガールさんの話を補足するように、もう一人のサイドキックであるセンチピーダーさんが説明を続ける。どうやらバブルガールさんより先輩らしく、彼女のフォロー役なのが見て取れた。
センチピーダーさんの話によると、死穢八斎會はここ一年以内の間に全国の組外の人間や同じ裏稼業団体との接触が急増してるらしい。ナイトアイさんたちはこれについて組織の拡大・金集めが目的だと考えているんだそうだ。
この時代にヤクザ勢力を広げようとする動き。何か勝算がなければまずできないことだろう。そういえばブーストした刃男が何か言ってたっけ。もうすぐヒーローの時代は終わるとか。薬で錯乱してただけかと思ってたけど、もしかして根拠がある話だったのだろうか。
「そして調査からすぐに敵連合の一人分倍河原仁、敵名トゥワイスとの接触。」
「!」
突然出てきた敵連合。トゥワイスは合宿襲撃の際にもいた敵だ。多分なんか騒がしかった奴。
「尾行を警戒され追跡は叶いませんでしたが警察に調査を協力して頂き組織間で何らかの争いがあったことを確認。」
「連合が関わる話なら……ということで俺や塚内にも声がかかったんだ。」
センチピーダーさんの説明を受けて小柄なご老人が手を挙げた。グラントリノさん、神野の時にオールマイトの加勢に入った人だ。見た目は小さいけれどきっとかなりの実力なんだろう。どうやら緑谷くんと知り合いらしく、彼を気遣う言葉をかけていた。
ちなみに今日は塚内さんは別で敵の目撃情報が入ったため欠席。一緒に捜査を進めているグラントリノさんが話を聞いて警察と連携を取ることのなったのだそうだ。
「えー、このような過程があり!HNで皆さんに協力を求めたわけで、」
「そこ飛ばしていいよ。」
「うん!」
バブルガールさん緊張してるのかな。センチピーダーさんが紳士にアドバイスしてる。私たち1年生は聞きなれない単語が出てきて首を傾げた。
「HN?」
「ヒーローネットワークだよ。プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり便利な個性のヒーローに協力を申請したりできるんだって!」
お茶子ちゃんが尋ねると波動先輩が丁寧に教えてくれた。なるほどそういうのがあるのか。便利だなあ。ハンドルネームの略かと思ってたのが恥ずかしい。
「雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねえや。本題の企みに辿り着く頃にゃ日が暮れてるぜ。」
私たちが話の腰を折ってしまったのが気に入らなかったらしい強面のヒーローが刺々しい視線を私たちに向ける。確かにプロの邪魔しちゃったかもけどそんな言い方しなくても。誰だってみんな初めてはあるのに。ちょっとしゅんとなっていると隣のファットさんが急に立ち上がった。
「ぬかせ!この三人はスーパー重要参考人やぞ!」
突然の大声。びっくりした。切島くんと天喰先輩も肩びくってなってた。勢い良すぎてファットさんの椅子後ろに飛んでっちゃったし。パワーが桁違いだ。
「俺……たち?」
「ノリがキツイ……。」
「心臓バクバクいってます……。」
完全に静かな空間だったから油断してた。急に心臓掴まれたみたいで緊迫感より驚きが勝ってしまってる。そんな私たちの様子を気にすることなくファットさんは明るく話を続ける。
「とりあえず初対面の方も多い思いますんで!ファットガムです!よろしくね!」
「「丸くてカワイイ。」」
「お!アメやろーな!」
お茶子ちゃんと梅雨ちゃんの呟きにすぐアメちゃんを取り出すファットさん。誰とでもすぐ仲良くなれるの切島くんと一緒だ。
「八斎會は以前認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります。そこでその道に詳しいヒーローに協力を要請しました。」
ナイトアイさんの説明に納得する。ファットさん薬物関係で警察に協力してたって言ってたもんな。
「昔はゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!そんで先日の烈怒頼雄斗とトルネードのデビュー戦‼今までに見たことない種類のモンが環に撃ち込まれた!」
ファットさんは手に持っていた大量のアメを握りつぶし、粉々になったそれをパラパラと落として見せた。
「個性を、壊すクスリ。」
「個性を壊す……!?」
周りのヒーローたちがざわつき始める。私も驚いて天喰先輩の方を見た。先輩に撃ち込まれた銃弾。個性を一時的に止めたり抑えたりする薬なのかと思っていた。まさかそんなに危ないものだったなんて。
「え……!?環大丈夫なんだろ!?」
「ああ……寝たら回復していたよ。見てくれこの立派な牛の蹄。」
「朝食は牛丼かな!?」
通形先輩が心配して声をかけたけど、天喰先輩はいたって冷静に個性を発動させて見せた。その姿に私もホッとする。
「回復すんなら安心だな。致命傷にはならねえ。」
さっきの強面の人が率直な意見を述べると、今度は消太くんが発言を始めた。彼が言うには、今回の薬と彼の個性・抹消とは性質が違うようだ。
基本となる人体に特別な仕組みが+αされたものが個性。その+αが一括りに個性因子と呼ばれている。消太くんの抹消はあくまでその個性因子を一時停止させるだけでそれ自体にダメージを与えることはできない。けど、今回の薬は違った。天喰先輩が病院で検査した結果、その個性因子が傷ついていたことがわかった。つまりあの銃弾は私たちの個性そのものに攻撃が可能ってことなのだ。今は自然治癒で元通りになっているけど、薬の量が多かったらどうなっていたかわからない。考えるだけでぞっとした。
「その撃ち込まれたモノの解析は?」
「それが環の身体は他に異常なし!ただただ個性だけが攻撃された!撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ‼弾も撃ったっキリしか所持していなかった!ただ……」
ファットさんがちらりとこちらを見た。
「切島くんが身を挺して銃弾を弾き、みょうじちゃんが素早く保存してくれたおかげで、中身の入った一発が手に入ったっちゅーわけや‼」
突然話題がこちらに向き驚いた。切島くんもあわあわしてる。
「俺っスか‼びっくりした‼急にきた‼」
「なまえちゃん切島くんお手柄や。」
「カッコイイわ。」
「いやいや、そもそも切島くんが弾いてくれてなかったら話にならなかったから。」
「硬化だよね!知ってるー!うってつけだね!」
女の子に褒められて切島くんはちょっと照れてる。その様子がなんだか微笑ましかった。でも、そんな空気は次のファットさんの言葉で消え失せた。
「そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた……。人の血ィや細胞が入っとった。」
全員の顔が青ざめる。それってもしかして、銃弾に入っていたのは個性ってことなのだろうか。個性を壊す個性を銃弾にして売っている。銃弾が作られる過程はわからないけど、あまりに非人道的な話だ。
「うーん……さっきから話が見えてこないんだが、それがどうやって八斎會とつながる。」
痺れを切らしたヒーローの一人が質問した。確かにこれだけなら八斎會のみを追跡する理由が見えてこない。ファットさんは全員がわかるように順を追って説明を続けた。
今回私たちが捉えた刃男が使用していた違法薬物。その複雑な流通経路を探っていくと、中間売買組織の一つと八斎會に交流があったことが判明した。ただし薬を捌いていた証拠もなくそれだけなら特定できない。けれど先日リューキュウさんたちが対峙した敵グループ同士の抗争。片方のグループの元締めがその中間売買組織だったのだ。彼女たちが戦った一人もブースト薬物を使っていたらしい。
それだけでなく最近多発している組織的犯行の多くが八斎會につながっているということだ。けれどいまいち決め手に欠ける。これらの情報だけでは八斎會が計画的に動いているのかどうか確信が持てないだろう。それは他のヒーローも同じ考えのようで首を傾げていた。
ナイトアイさんは他にも何か情報を得ているんだろうか。勝算もなく人を巻き込むような性格じゃないからきっとまだ隠していることがあるはずだ。黙って彼の方を見つめると重々しく口が開かれた。
「若頭、治崎の個性はオーバーホール。対象の分解・修復が可能という力です。」
その言葉に一気に体温が下がった気がした。そんな。そんなことってあるのか。ドクドクと鼓動が脈打つ。不意に対面の緑谷くんが目に入った。彼も通形先輩も、私以上に青ざめている。嫌な予感がした。
「分解……一度壊し治す個性。そして個性を破壊する弾。治崎には娘がいる……。出生届もなく詳細は不明ですが、この二人が遭遇した時は手足に夥しく包帯が巻かれていた。」
ナイトアイさんの声がぐるぐると頭に響く。なんだか吐き気がしてきて思わず口許を抑えた。銃弾が作られる過程。それはきっとその女の子の身体を、分解して、治してる。あまりの凄惨さに涙が滲んできた。
緑谷くんたちはその女の子に遭遇してたんだ。今、どんなに悔しいだろう。
「まさか……そんなおぞましい事……。」
「超人社会だ。やろうと思えば誰もが何だってできちまう。」
「何?何の話ッスか……!?」
切島くんはピンと来ていないようで置いてけぼりの状況に焦っている。答えてあげたいけど、気分が悪くてうまく話せそうにない。座っているのがやっとだ。
「やっぱガキはいらねーんじゃねーの?わかれよな。つまり娘の身体を銃弾にして捌いてんじゃね?って事だ。」
突きつけられた現実に、誰もが息を呑んだ。途方もない悪意というのはこんなにも当たり前に転がっているのか。ぐっと唇を噛む。
ナイトアイさんは説明を続けた。実際に治崎という男が銃弾を売買しているのかはわからない。しかも現時点ではその性能も中途半端だ。けれどそれが試作段階だとしたら。プレゼンのためのサンプルを仲間集めに使っていたら。仮定でしかないけど動くには十分すぎる内容だった。
弾の完成形が個性を完全に破壊するものだとしたら、いくらでもこの社会を揺るがすことができる。その大きすぎる野望を成し遂げるために薬を売りながら資金と仲間を集めているのにも頷ける。そこまで聞くとファットさんが大きな声をあげた。
「想像しただけで腹ワタ煮えくり返る‼今すぐガサ入れじゃ‼」
血気盛んに立ち上がった彼はさすがのヒーローだった。いまだ吐き気に襲われている私とは大違いだ。けれど次に強面の人が吐き捨てた言葉に私は一瞬気持ち悪さを忘れた。
「こいつらが子ども保護してりゃ一発解決だったんじゃねーの!?」
「そ、んな言い方……!」
責任を感じてる二人に対しての非難に、思わず抗議の声を上げた。この人緑谷くんたちの顔が見えてないのか。今の二人にそんなこと言うなんていくらなんでもひどすぎる。言い返そうとしたけどナイトアイさんに制された。
「すべて私の責任だ。二人を責めないで頂きたい。知らなかった事とはいえ……。二人もその娘を救けようと行動したのです。今この場で一番悔しいのはこの二人です。」
二人を気遣ったナイトアイさんの言葉。それを受けて緑谷くんと通形先輩が勢い良く立ち上がった。
「今度こそ必ずエリちゃんを……‼」
「「保護する‼」」
その真剣な目にナイトアイさんが頷き、ようやく結論にたどり着いたのだとわかった。治崎を捕らえ、泣いている女の子を救う。それが今回の、私たちの目的。