一章
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夜御飯を食べに食堂に入ると割烹着姿のなまえさん。いつもと違っていたのはその髪型と艶やかな口元だった。
「え、なまえさんその格好……。」
注文するのも忘れて彼女に釘付けになる。だってこんなの、素通りする方が無理な話だ。
「ん、これ?さっきまで六年生と町に行ってたの。本当は解いても良かったんだけど……勘ちゃんに会えるかなと思って。」
心臓が鷲掴みにされたみたいに痛い。今何て言った?勘ちゃんに会えるかなと思って?こんな可愛い格好で、俺を待っていてくれたというのか。
「前に約束したでしょ?今度タカ丸くんに髪結ってもらう時には見せるって。」
あの時の約束、覚えててくれたのか。どうしよう、泣きそうなほど嬉しい。色んな忍たまにこの姿を見られるのはかなり複雑ではあるが。
「……っすごい、似合ってます。可愛い。惚れちゃいそう。」
もうとっくに惚れてるけど。でもこれは称賛せずにはいられない。化粧は恐らく立花先輩だろうから正直すごく嫌だ。嫌なんだけど。これほど綺麗な彼女が見られたんだから今日だけは許そう。
「ふふ、ありがとう。こんなに褒めてもらえるならおめかしした甲斐あったなあ。」
くすくすと笑っている彼女にのぼせてくる。風呂、まだ入ってないのにな。自分の顔が真っ赤に染まっていないかとてつもなく心配だった。
「こんばんは。あれ、なまえさん可愛い。いつも可愛いですけど。」
「次屋くん、こんばんは。」
二人きりの時間は脆く儚い。彼女の視線はあっという間に後ろからやってきた次屋に向けられてしまう。
というかこいつ開口一番口説いてくるってどういうことなんだよ。やはり敵は六年生だけじゃない。
「そういえば勘ちゃんの注文聞いてなかったね。どうする?」
「あ……刺身定食で。」
「かしこまりました。」
ふわりと目を細めてなまえさんは厨房へと入っていく。味噌汁を注いだりおかずを盛りつけたりする仕草に今日は一段と胸が掴まれた。
「綺麗ですね、なまえさん。」
「……そうだな。」
こっちの気も知らないで次屋は堂々と彼女を眺めている。愛おしそうなその目を隠しもせずに。こういうことにおいても無自覚なのかこいつは。
「お待ちどおさま。」
お決まりの文言と共にお盆を運んできてくれる彼女。俺はすぐにそれを受け取った。
「美味しく頂きます。」
もう一度目に焼きつけるようにその顔を見てから空いてる席を探す。紅で赤く染まっている唇が、どうにも色っぽかった。
なまえさんが俺のことだけ見てくれたらいいのに。みっともない独占欲ばかりが渦巻いて、しばらく頭の熱は冷めてくれそうになかった。