一章
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「しておぬしら、ヤマイグチ城が陥落したというのは本当か?」
「はい。火の回りが相当速く、助かったのは門番と周辺警護をしていた兵士達数人のみと思われます。」
「……女・子ども関係なく全て焼けてしまったと考えた方が良いでしょう。」
学園長の庵では淡々と任務報告が行われていた。少なからず犠牲を出してしまった事実を、その場の全員が沈痛な面持ちで聞いていた。
「私たちの推測不足です。申し訳ありませんでした。」
いつもの溌溂とした彼の姿はなく、唇を噛んで隣の級友と共に頭を下げた。
「いや、全ての責任は儂にある。おぬしらが気を病む必要はない。報告を続けよ。」
再び謝罪を口にし、聞きこみ調査の結果に移ろうとしたところ突然障子が開いた。
「任務報告中失礼いたします。五年ろ組鉢屋三郎・不破雷蔵・竹谷八左ヱ門只今戻りました。怪我人を保護しております。」
六年ろ組の二人は驚いてそちらを見た。
まさか、そんなはずはない。あの焼け野原から生存者が見つかるなどと微塵も思っていなかったのだ。
「なんと、怪我人がおるのか。新野先生と共に早く医務室へ。」
「あ、いえ。外傷は何処にもないのですが、気分が優れず気を失ってしまったようでして。」
三郎が答えると少女を抱えた雷蔵が前に出た。その顔を見て小平太と長次は思わず声を上げた。
「どうした二人とも。まるで幽霊でも見たかのような顔をしておるぞ。」
突然立ち上がった二人にその場の視線が集まる。信じられない光景を目の当たりにした二人はやっとのことで口を開いた。
「姫様です。城と共に焼けたはずの……。」
「この方は、ヤマイグチ城の姫様であらせられます。」
「なんじゃと!?」
未だ目を覚まさない少女にとっての、物語の始まりであった。