一章
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寒い。体中が冷え切っている。足が痛い。頭が割れるようだ。
何も考えられずただ闇雲に走っていた。近くで雷も鳴っているようだったが、そんなことを気にする余裕などなかった。
来たくて来たわけではない。
それは確かに本音であったが、口にするつもりは微塵もなかった。しかし自らが言ってしまった言葉はどれだけ後悔してもなかったことにはできない。もうあそこに戻ることはできないだろう。
あれだけよくしてもらったのに、結局はみんなを傷つけてしまった。このまま倒れて死ねるのならそれがいいのかもしれない。回らない頭でぼんやりとそんなことを思った。
足元がふらふらする。もうほとんど感覚がない。
「あ、」
とうとう上がらなくなってしまった足がもつれ、途端に地面へと倒れ込む。何とか起き上がろうと試みるが、もう自分を支える力すらも残っていなかった。
段々と意識が遠のいていく。目を開けていられない。
痛みすらもよくわからなくなっている。もしかしたら本当に死んでしまうのかもしれない。
ああまだお礼も言えてないのにな。あれ、お礼って誰に言うんだっけ。忘れちゃった。
やっぱり駄目だな、私。
「た、ちばな、く……。」
無意識に呟いた名前を最後に私の記憶はぷつんと切れた。