一章
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やはりなかなか寝つけない。昼間の眠気は嘘のようにどこかへ消えてしまった。
目を瞑っていると文次郎くんに言われた短い言葉が鋭く私を突き刺す。特に今日は自分の無力さばかりが浮き彫りになっていたこともあり、さらに痛みが増しているようだった。
初日だから仕方ないと言えばそこまでだが、今日の私はまるで役に立なかった。
井戸の水も満足に汲めず、掃除をすれば穴に落ちてまた色んな人に迷惑をかけた。反省することばかりで情けなくなってくる。
そっと起き出して鞄の中のスマホを手に取る。どうにか頑張ってみたけれどやはり完全に充電がなくなっており、画面が光ることはなかった。
この中に入っている写真だけがここに来てからの心の支えだったように思う。一人の夜を過ごすにはあまりに暗い絶望だった。
しかしまだ望みはある。このスマホは分かりやすく私が別の世界にいた証拠だ。
ここで過ごすうちに元いた世界での出来事が現実だったのかわからなくなってしまうのではないかという漠然とした不安があった。段々と輪郭がぼやけ、自分の家族すらも忘れてしまうのではないかと、そんな恐ろしい想像をしてしまう。
しかしこれさえあればまだ私は私を信用できる。まだ元の世界と繋がっていられる。そんな気がした。
やはり画面は真っ暗なままだが今日は枕元に置いて眠ることにしよう。
自分を見失ってしまわないように、聳え立つ孤独に耐えられるように。
その後もすぐに寝つけるわけではなかったが、どこか寂しさは和らいでいた。