一章
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風が涼しい。昨日の夜と同じく綺麗な月だ。
元いた世界では見たことがなかった、まるで宇宙にいるかのようなたくさんの星に見惚れてしまう。その美しさに思わず足を止めていると、不意に人影が現れた。
「よりにもよって六年長屋の空き部屋に置かれるとはな。」
低い、低い声だった。
その人の顔にはまるで見覚えがない。にも拘らず、その目は敵意に満ちていた。忍者ではない私でもわかるほど禍々しい雰囲気を醸し出し、確かに悪意が向けられている。恐怖で手が震えてきた。
「お前がどう忍たまを取り込んでるのかは知らんが、俺は騙されん。」
一言一言が、刃物のように鋭く尖っている。
「二度と俺の部屋の前に立つな。」
捨て台詞のように吐き捨てると、名前も知らない彼は消えてしまった。
あまりにも突然であまりにも短い時間だったが、私にとっては永遠のようにも感じられた。
誰、だったんだろう。あれほどまでに明確に敵意を向けられたことは初めてだ。昨日の学園長室で受けたものともまた違う悪意に満ちた視線だったように思う。
いや、今日出会った人達がみんな優しかったから忘れかけていたが、きっとあれが普通の反応なのだ。私は彼らにとって決して好ましい存在ではないのだ。
彼の何かを憎むような目が、鉛のように心を重くした。