一章
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一年い組の教室はいつもより騒がしかった。
伝七と左吉が新しい事務員さんがいかに怪しいかを演説しているからだ。安藤先生が棘のある言い方をしていたからか、二人の中ではその人が間者であることはもう決定事項らしかった。
みんながキラキラした目で二人の演説に夢中になっていたので、僕は教室の隅で考え込んでいる様子の彦四郎に話しかけることにした。
「彦四郎、どうしたの。暗い顔して。」
「ああ、一平……。」
「僕さ、事務員の人ってお姫様なんじゃないかって思うんだけど、どう思う?」
「え、間者だって思ってないの?」
「うん。実際見てないからわかんないけど、何か事情があって身分を隠さなきゃいけないお姫様が学園にいるって考えた方が、面白いじゃない?」
「そんな考え方もあるんだ……。」
彦四郎の顔は、さっきよりも少し柔らかくなったように見えた。
「あの二人の手前言えなかったんだけど、僕、姫の亡霊なんじゃないかって想像しちゃって……。」
「亡霊?」
「うん、だから怖かったんだ。でも一平の話聞いたら幽霊でも間者でもないのかもしれないね。ちょっと安心したよ。」
ありがとう、とお礼を言われたけど結局事務員さんの正体についてはよくわからない。今度竹谷先輩に聞いてみようかな。