個性把握テスト
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「んー、こんなもんかな。」
鞄の中身は問題なし。最後に制服がおかしくないか鏡で最終確認。よし、大丈夫。
雄英の制服、やっぱり可愛いな。着てると自然に背筋が伸びる気がする。
1週間前雄英の近所に引っ越してきて、ようやく昨日全部部屋が片づいた。
父は静岡に事務所を構えていたので本来実家から通える距離なんだけど、ヒーローは自己管理しながら任務をこなさなければならないという教育理念から一人暮らしすることになった。
家事全般は教えられているため困ることはない。ただ家に帰っても誰もいないというのは、少し寂しい。いや弱音吐いてちゃ駄目だな。
「行ってきます!」
わざと大きめに口に出して学校へと向かった。
えーと、1Aの下駄箱どこだ。雄英は敷地が広すぎて自分の下駄箱を探すのも一苦労。あ、あったあった。
「あれ、A組の人?」
上履きに履き替えたばかりの女の子と目が合い、声をかけられた。
「うん。あなたも?」
「そうそう。ウチ、耳郎響香。よろしくね。」
「あ、みょうじなまえです。よろしくお願いします。」
「!……てか雄英広すぎない?」
紫色の目が微かに見開かれた。それでも触れずに関係のない話を続けてくれたのは、きっと彼女の優しさだ。
「ほんとに。下駄箱にすら辿りつけないかと思った。」
「だよね。」
早速女の子と仲良くなれるなんて幸先がいい。私も上履きに履き替えて二人で教室へと向かう。
「ドアでっか。」
「どんな個性でも通れるように配慮されてるのかな……。」
見上げるほど大きなドアは開けてみると案外軽かった。何の素材で作られてるんだろ。
教室内は賑やかでかなり人が集まっていた。私の席どこかな。
「これ、席順どうなってるんだろ。」
「ああ、なんか初日は適当でいいみたいよ?」
耳郎さんと話していたら金髪の男の子が教えてくれた。
「そうなんだ。ありがとう。」
「いいってことよ。それより俺、上鳴電気。電気って呼んでくれて良いぜ。」
「呼ばないけど。ウチ、耳郎響香。」
「みょうじなまえです。よろしくね。」
私が自己紹介をすると、教室内は一瞬静まり返った。うーんやっぱ名字でばれるなあ。隠すつもりはないけど。
「みょうじさん、なまえって呼んでいい?」
「え、呼んでくれるの?」
「呼んでいいなら。ウチのことも好きに呼んで。」
「呼んでほしい!じゃあ、響香ちゃん?」
「ちゃんはやめて!こそばゆい!」
「……響香?」
「ん、それなら大丈夫。」
な、名前で呼び合うお友達ができてしまった……!高校ってすごい。
「電気くんもいますよ~。」
「呼ばないから。」
「んふっ。」
会ったばかりなのに2人とも息ぴったりすぎ。
「机に足をかけるな!」
「!?」
びっくりした。急に大きい声聞こえると心臓出そうになるよね。
見ると前の席で眼鏡の人とヤンキーみたいな人が言い合いをしている。初日から喧嘩することある?
「てめーどこ中だよ端役が!」
こ、怖い。顔が完全に敵だけどあの人もヒーロー志望でここに来てるんだよね?対人訓練とか当たりたくない。
「あー、お話し中悪いけど、覚えてる?」
若干気まずそうに私たちの輪の中に入ってきたのは、見覚えある人。
「テープの!」
「あ、よかった。忘れられてっかと思った。」
「会えたね。ちゃんとお祈りしたからかな。」
「え、まじで祈ってくれてた?」
「もちろん。」
偶然とはいえ初めて話したクラスメイトだもんね。私が祈って会えるならいくらでも祈る。
「2人知り合い?」
「うん、実技試験の時ちょっと話したの。」
「あの時名前聞かなかったの後悔したんだよな~。俺、瀬呂範太ね。3人の名前はさっき聞こえた。」
「よろしくね、瀬呂く「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。」
わあ、聞き覚えのある低い声。
「ここはヒーロー科だぞ。」
寝袋に入ったまま廊下に横たわる消太くん。芋虫みたい。
最近輪をかけて見た目に頓着しなくなったなあ。というかあの姿勢のままどうやって移動してきたんだ。
「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね。」
ぬるりと寝袋から脱皮した消太くんは体操服を着てグラウンドに行くよう指示した。入学式もガイダンスもなしだ。担任になる可能性はなくはなかったけどなかなか無茶苦茶するなあ。
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