期末テスト
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久しぶりの学校。教室は爆笑に包まれてる。
「アッハッハッハマジか‼マジか爆豪‼」
注目の的はもちろん爆豪くん。ベストジーニストさんのところで矯正されたままピッチリ髪型継続中。瀬呂くんと切島くんがひーひー言いながら笑ってる。初日の私と同じだ。
「笑うな!クセついちまって洗っても直んねえんだおい笑うなブッ殺すぞ!」
「やってみろよ8:2坊や‼アッハハハハハハ‼やっぱ生で見ると100倍おもしれー‼」
「ちなみにツーショットもあります。」
「ヒー!なんでみょうじはちゃんとした髪型なんだよアッハッハッハ‼」
爆豪くんに気づかれないようにインカメでこっそりツーショット撮ってたの。記念だから。せっかくベストジーニストさんに可愛く結ってもらってたし。
「テメ何勝手に撮ってやがンだコラァ‼」
「私とジーニストさんでピースして遠くの爆豪くんと一緒に写ってるのもある。」
「もうやめて‼ヒー笑い死ぬ‼」
ベストジーニストさんもオールマイトに負けず劣らずお茶目だった。やっぱりプロヒーローたるものユーモアも必要なんだなあ。あ、爆破で髪の毛戻った。
「アンタ爆豪のこと怖がんなくなったね。」
「何か慣れちゃって……。みんなどんな感じだったの?」
「ウチのとこは敵退治に同行させてもらった。」
「へえー、敵退治までやったんだ!うらやましいなあ!」
「避難誘導とか後方支援で実際交戦はしなかったけどね。」
「それでもすごいよー!」
三奈ちゃんのところは私たちと同じで街の見まわりが多かったみたい。まあ事件がないのはいいことなんだけどね。やっぱりプロの現場での敵退治は憧れる。
「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。一度隣国からの密航者を捕らえたくらい。」
「それすごくない!!?」
「み、密航。」
とんでもない現場に居合わせている。それをサラッと話す梅雨ちゃんもかなり大物だ。
「なまえのとこは?」
「私も個人訓練と見まわりばっかだったよ。あ、猫ちゃん助けた。」
「ネコチャン!」
「お茶子ちゃんはどうだった?」
「とても、有意義だったよ……。」
「作画とフォントが……。」
「目覚めたのねお茶子ちゃん。」
格闘技の型のようなものをかまえるお茶子ちゃん。呼吸の仕方が違う。何かの使い手のようになってしまったお茶子ちゃんは完全に目が別人だ。ガンヘッドさんのところで何があったの。たった1週間だったのにみんな色々変わってる。かくいう私も岩を粉砕できるようになってしまったんだけど。
「ま、一番変化というか大変だったのはお前ら3人だな!」
上鳴くんの言葉にみんな緑谷くんたちの方を向く。
「そうそうヒーロー殺し‼」
「……心配しましたわ。」
「命あって何よりだぜマジでさ。」
ヒーロー殺しステインと遭遇してしまった3人。飯田くん、緑谷くん、焦凍くん。ニュースで見たけど、ステインは敵連合ともつながっていたらしい。高い能力を持つ3人に怪我を負わせてしまうような敵が、USJに来る可能性があった。考えるだけで背筋が凍る。
「でもさあ。確かに怖えけどさ。尾白動画見た?アレ見ると一本気っつーか執念っつーか。かっこよくね?とか思っちゃわね?」
誰かが撮影したヒーロー殺しの動画。今ネットで話題になっている。削除されてもまたすぐに投稿されるその動画には、現代のヒーローの在り方に疑問を呈し、自分が粛清することで世界を正そうとするヒーロー殺しの姿が収められていた。
確かにこのヒーロー飽和社会。正義のためではなく私欲のために活動しているヒーローも少なくはないだろう。それでも世の中を変えたいがために人を殺めるというやり方を選んでしまった彼は敵以外の何者でもない。その主張を認めることも決してできない。
「それは、思ってても今言うべきことじゃないよ。」
「え?あっ……飯……ワリ!」
上鳴くんが失言に気づき慌てて口を抑える。飯田くんのお兄さんは実際ヒーロー殺しに襲われて、飯田くんもまた怪我を負った。そんな彼の前でヒーロー殺しを褒めるなんていくらなんでも無神経だ。
「いや……いいさ。確かに信念の男ではあった……。クールだと思う人がいるのも、わかる。ただ奴は信念の果てに粛清という手段を選んだ。どんな考えを持とうともそこだけは間違いなんだ。」
ヒーロー殺しにやられた腕をじっと見つめながら真剣な表情で語る彼からは、職場体験前の思いつめた様子は感じられなかった。
「俺のような者をもうこれ以上出さぬ為にも‼改めてヒーローへの道を歩む!!!」
ああ、いつもの飯田くんだ。やっぱり溌溂とした彼を見ないと学校が始まったって感じがしない。
「さァそろそろ始業だ席に着きたまえ‼」
普段通りの大きな声が響いて、教室に元気が戻ってきた気がした。
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